2009年12月31日木曜日

米国の12月のシカゴ地区購買部協会景気指数

12月30日(現地時間)、公表された米国の12月のシカゴ地区購買部協会景気指数は60.0、前月比プラス3.9ポイントとなりました。


これは事前の大方の市場予想を上回る水準と言えます。


シカゴ地区購買部協会景気指数は、シカゴ地区の製造業に新規受注や価格指数、在庫などに関するアンケート調査にもとづく指数です。50を分かれ目として、50を下回ると景気後退、50を上回ると景気拡大とされています。


シカゴは、アメリカ第2の経済、金融拠点で、五大湖工業地帯の中心で、人種の比率、都市・地域構造、文化、などの観点から最も典型的な米国の大都市と言われます。


今回の結果からすると、米国の大都市の景気は、市場が思っているより、良好な水準にあるのではないかと連想します。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年12月30日水曜日

米国の12月のコンファレンス・ボード消費者信頼感指数

12月29日(現地時間)、公表された米国の12月のコンファレンス・ボード消費者信頼感指数(1985年=100、季節調整済)は52.9、前月比プラス2.3ポイントとなりました。


米国の消費者心理は改善に向かっていると言えます。


期待指数は75.6、前月比プラス5.3ポイントとなりました。
現況指数は18.8、前月比マイナス1.4ポイントとなりました。


この結果からすると、米国の消費市場の足元の厳しさは増しているが、先行きへの期待は膨らんでいるといった感じに見えます。


最近、米国のクリスマス商戦の小売売上高は前年比プラス3.6%となったとのデータが公表(マスターカード・アドバイザーズ調査)され、米国小売市場は思っていたほど悪くないとの印象です。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の10月のケース・シラー住宅価格指数

12月29日(現地時間)、公表された米国の10月のケース・シラー住宅価格指数(20都市圏)は、前月比で横ばいでした。


前月まで5カ月連続で前月比プラスとなっていましたが、今回は横ばいとなりました。


事前の大方の市場予想では前月比プラスの予想だったと言えます。


20都市圏の中で前月比プラスになったのは半分以下(7都市圏)に留まったことは気になりますが、季節的に見て新規住宅販売の盛んな時期ではないと考えると、深刻に受け止めるまでのことはないのかも知れません。


個人的には、目先、前月比マイナスを記録する月があったとしても、現状では米国住宅市場が二番底となる可能性は低いと考えますが、米国の中でも依然として下落が続くラスベガスのような地域があり、当面、米国の全ての主要地域の住宅価格が一斉にプラスに向かうといった状況になる可能性は低いと思います。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年12月29日火曜日

日本の11月の商業販売統計


12月28日、公表された日本の11月の商業販売統計による小売業販売額(全店ベース、速報)は11兆390億円、前年比マイナス1.0%となりました。


これで前年比マイナスは15カ月連続となりました。


ただ、マイナス幅は、事前の大方の市場予想より小幅に留まったと言えます。


小売販売は、前年を下回るボーナス支給動向や雇用環境などから、厳しさを増していますが、市場が考えているほど悪くはないのかも知れません。


今回、小売業を業種別にみると、各種商品小売業(百貨店など)が前年同月比マイナス9.6%、飲食料品小売業が同マイナス4.1%、、その他小売業が同マイナス2.8%、燃料小売業が同マイナス2.2%、織物・衣服・身の回り品小売業が同マイナス1.0%となりました。

一方、自動車小売業が同プラス21.1%、機械器具小売業が同プラス0.6%となり、自動車や家電の販売が好調でした。


日本の小売業販売額の前年比でのマイナスは、6月のマイナス2.9%以降、マイナス幅は縮小に向かっています。


今後の推移を見守りたいと思います。



日本の11月の鉱工業生産

12月28日、公表された日本の11月の鉱工業生産指数(2005年=100、季調済、速報値)は88.3、前月比プラス2.6%となりました。


これで9カ月連続のプラスとなりました。


11月は、生産(プラス2.6%)、出荷(プラス0.9%)、在庫(プラス0.2%)が前月比でプラスとなりました。


在庫率は112.8と前月比マイナス3.8%(=改善)となりました。


製造工業生産予測調査によれば、12月(プラス3.4%)、1月(プラス1.3%)ともにプラス予測となっています。


予測調査では、12月は、鉄鋼業、電子部品・デバイス工業、電気機械工業等がプラスとなり、1月は、一般機械工業、輸送機械工業、情報通信機械工業等がプラスとなっています。


11月の鉱工業生産指数は事前の大方の市場予想よりもプラス幅が大きく、この点では好ましい兆しと言えます。


予測修正率は9月調査ではマイナス1.5%でしたが、10月調査以降3ヵ月連続してプラスとなっています。


これは、当初の想定より需要が強く、生産計画を上方修正していることを表していると言え、個人的には好ましい兆候として注目したい点です。


日本国内の景気刺激策の行方、アジア、米国における需要動向を含め、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年12月28日月曜日

欧州の排出量取引相場

先日、欧州で、排出量取引相場が急落しました。


欧州は、排出量取引の最大の取引市場となっています。


今回の急落は、12月19日に閉幕したCOP15(第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議)に対する失望が大きな要因になったようです。


COP15の合意では温暖化ガス排出量の具体的削減目標などを設定できず、法的拘束力のある合意はもちろん、多くが予想していた「政治合意」よりも弱い「合意に留意」するという形での合意に終わりました。


これにより、先行きの排出権取引市場の需要に対する不透明感が大きくなったようです。


排出量取引は、市場参加者が価値があると信じるから市場が成立するもので、温暖化対策に関する制度の行方などにより価値が大きく変動しますし、場合によっては市場そのものが無くなります。


国際的に温暖化対策に対する強いコンセンサスが得られるかどうかが、排出量取引の先行きを決定すると言えます。


COP15終了後、欧州は、米中を批判する姿勢を示しています。


COP16に期待しつつ、今後の推移を見守りたいと思います。



ベツレヘムでのクリスマスの祝賀行事

12月24日から25日にかけて(現地時間)、ヨルダン川西岸のベツレヘムで、クリスマスの祝賀行事が行われました。


ベツレヘムは、イエス・キリスト生誕の地とされ、現在はパレスチナ自治区となっています。


クリスマスの映像をみると、和平問題があることが不思議な気がしました。


12月26日(現地時間)、イスラエル軍は、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区で6人のパレスチナ人を殺害しました。


イスラエル軍は、ユダヤ人入植地に住むイスラエル人が銃撃されて死亡する事件に、これら6人のパレスチナ人が関与したと説明しています。


急に現実に戻されたような思いでした。


最近、ネタニヤフ首相が発表した入植凍結、イスラエル国内での入植凍結への反発、イラン核開発問題など、和平への途は遠いとの感ですが、期待を込めて今後の推移を見守りたいと思います。



2009年12月27日日曜日

トヨタに関する最近の話題


12月25日、トヨタは2010年の世界生産台数(単体ベース)を2009年比プラス110万台の750万台とする計画を公表しました。


最近の米国の調査によれば、トヨタのレクサスブランドの中古車価格は最も値段が高いと評価されました。


5年落ちのレクサスの中古車価格は新車購入価格の39.3%と米自動車の平均32.6%よりも高い評価になったようです(米自動車調査会社ケリー・ブルー・ブック調査)。


トヨタは、こうしたポジティブな話題に先行きの期待がかかるところ、懸念される話題もあるようです。


12月23日(現地時間)、ベネズエラのチャベス大統領は、トヨタ自動車が、地方の悪路を走行できる四輪駆動車をベネズエラ国内で生産しなければ国外退去を求める可能性があると警告したとのことです。


過去、チャベス大統領は民族主義的な政策を取り入れ、20世紀初頭に欧米企業によって開発されたベネズエラの石油部門を国有化し、続いてベネズエラ最大の電話通信会社を国有化するなど様々な産業分野の企業を国有化しています。


こうした国有化の資金の原資は、ベネズエラの石油収入が大きく、石油価格の下落を反映して、ベネズエラ政府の財政状況の前途も、厳しいと指摘されていましたが、最近の原油価格の回復により、ベネズエラの財政も改善に向かっている可能性が高いと想像します。


とすれば、トヨタの現地法人がベネズエラの国有企業になるということもあり得ないシナリオではないのかも知れません。


こうした話題があるのもトヨタが世界有数の企業になったことからであって、これからも色々な話題がトヨタに降りかかると思いますが、これを乗り越え、世界経済の中で日本企業が発展していくことを期待して今後の推移を見守りたいと思います。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


28日(月曜)
国内:鉱工業生産 11月
   商業販売統計 11月
   毎月勤労統計 11月 速報
   石油統計 11月


29日(火曜)
海外:米 ケース・シラー住宅価格指数 10月
   米 消費者信頼感指数 12月


30日(水曜)
国内:貸出約定平均金利 11月
海外:米 シカゴ購買部協会景況指数 12月
   EU ユーロ圏マネーサプライ 11月


31日(木曜)
海外:米 新規失業保険申請件数 先週分


1日(金曜)
国内:祝日(元旦)


個人的には、月曜公表の鉱工業生産、商業販売統計と火曜の米国の住宅価格指数と消費者信頼感指数を確認していきたいと思います。



2009年12月26日土曜日

日本の12月のCPI(東京都区部、中旬速報値)


12月25日、公表された日本の12月のCPI(消費者物価指数、東京都区部、中旬速報値、平成17年=100、生鮮食品を除く総合)は99.3、前月比マイナス0.2%、前年同月比マイナス1.9%となりました。


8ヵ月連続のマイナスでした。


食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は98.5、前月比マイナス0.2%、前年同月比マイナス1.5%となりました。


12ヵ月連続のマイナスでした。


日本の需給ギャップは大幅マイナス圏にあり、当面CPIはマイナス圏で推移する可能性が高いと考えます。


隣国の中国は大幅な設備過剰にあると考えられ、マイナス圏で推移していた中国のCPIは、11月に10カ月ぶりにプラスに転じましたが、金融政策の行方によっては再びマイナス圏に陥る可能性があるのではないかと思います。


日本も中国もCPIの抑制圧力が高い状況のもと、景気対策と金融政策が重要な時期が続いていると言えそうです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の11月の耐久財新規受注

12月24日(現地時間)、公表された米国の11月の耐久財新規受注(輸送機器を除く)は前月比プラス2.0%となりました。


事前の大方の予想を上回るプラス幅となったと言えます。


これは、市場が考えているより、米国企業の投資は加速している可能性があるように見えます。


仮に、そうであるならば、米国の経済成長率は市場で見込んでいるよりも上方に修正される可能性があります。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年12月25日金曜日

米国の先週分(12月19日終了週)の新規失業保険申請件数

12月24日(現地時間)、公表された米国の先週分(12月19日終了週)の新規失業保険週間申請件数は45万2千件、前週比マイナス2万8千件となりました。


これは事前の大方の市場予想を大きく上回るマイナス(=改善)と言えます。


4週間移動平均ベースで46万5250件、前週比マイナス2750件となりました。


従来、米国の新規失業保険週間申請件数は40万~45万以下の水準になると、民間雇用はプラスに転じる傾向があり、先週分の水準は、ほぼこの水準に達しました。


週ごとの数字はブレが大きく、4週間移動平均ベースでみるとまだこの水準に達していないものの、こうした傾向が続くならば、今年12月ないし来年1月に米国の民間雇用がプラスに転じたとしても不思議ではないように見えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



日本の11月の国内パソコン出荷台数

12月24日、公表された日本の11月の国内パソコン出荷台数実績は67万3000台、前年同月比プラス4.8%となりました(電子情報技術産業協会調べ)。


PC出荷台数は、これで3カ月連続で前年同月比プラスとなりました。


デスクトップ型、ノート型の何れも前年同月比でプラスとなりました。

デスクトップ型の台数がプラスになったのは、17ヶ月ぶりのことでした。
これは、法人向けなどを中心に買い替え需要などが増えたようであり、好ましい動きのように思います。


しかし、出荷金額は前年同月比マイナス9.0%となりました。

出荷金額は、デスクトップ型が同マイナス1.8%、ノート型が同マイナス12.0%と、ノート型の価格下落が大きかったと言えます。


ネットブックの台数が微減となったことからすると、ネットブックの市場拡大によって、ネットブック以外のノート型の単価がネットブックに引っ張られる形で単価が下落したのではないかと想像します。


Windows7効果によりPC販売台数は堅調に推移しているようです。


高速な通信サービスながら、期待されたほど普及していないWiMAXも、普及のネックと指摘されているサービスエリアの狭さも改善に向かって動きだしている模様であり、今後、PC市場の推移が見守られるところかと思います。



2009年12月24日木曜日

米国の12月のミシガン大学消費者信頼感指数

12月23日(現地時間)、公表された米国の12月のミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)は72.5、前月比プラス5.1ポイントとなりました。


消費者期待指数は68.9、前月比プラス2.4ポイントとなりました。


前月(11月)、何れの指数も前月比マイナスとなり、消費者心理の厳しさと先行きが懸念されましたが、今回、前月比プラスに転じました。


事前の大方の市場予想もプラスを予想しており、プラスは想定の範囲であったと言えますが、プラス幅は大方の市場予想より小幅に留まったと言えます。


依然、雇用情勢は厳しいものの、早ければ来年2月にも米国の民間雇用はプラスに転じる可能性があり、消費者心理も好転に向かうことが期待されるのではないかと考えます。


米国の雇用、家計に関し、今後の推移が見守られるところかと思います。



イラクとイランの国境に位置する油田からイラン軍が撤退

12月21日(現地時間)、イラクとイランの国境に位置する油田に侵入、占拠していたイラン軍が撤退し、一時高まっていた両国の国境紛争に関する危機は回避されたようです。


この油田は、ファッカ油田といい、イラクの首都バグダッドから約320キロにあります。


今回の侵入、占拠に際し、イラン軍は、イラン領土と主張していました。


イラクは、外資導入による経済発展策を進めていますが、このファッカ油田は、イラクが国際入札の対象としていました。


仮に、国境問題が激化すれば、イラクの外資導入政策に悪影響を及ぼしかねないところでした。


最近(12月20日、現地時間)、イラクのバグダッドで、日本の経済界の代表団がイラク側と投資や貿易促進を話し合いました。


この話し合いは、昨年7月に続く2回目で、商社、石油、プラントなどの企業関係者が参加しました。


今回の話し合いは、外務省によれば、2003年以降イラク国内で開催された二国間経済フォーラムとしては最大規模とのことであり、イラク経済に対する日本経済界の関心の高まりが示された格好です。


期待をこめて、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年12月23日水曜日

ヨーロッパが大規模な寒波

ヨーロッパが大規模な寒波に見舞われています。


12月20日から23日までにポーランド、ウクライナなどでおよそ100人が寒波により死亡した模様です。


運行を見合わせていたユーロスターも動き出したようですが、全面再開とはいかないようです。


米国東海岸でも大雪となったようです。


こうした動きを反映してか、原油価格は上昇しているようです。


最近、米原油先物は、1バレルあたりほぼ70~80ドルのレンジで推移しています。


これは、OPECが好ましいと考える水準と言えます。


12月22日(現地時間)、OPEC(石油輸出国機構)は、生産目標を据え置くことで合意しました。


仮に、原油価格が急騰すれば、回復に向かっている世界経済は打撃を受ける可能性が高いと考えます。


エネルギー価格の行方が気になるところ、今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の第3四半期のGDP確報値

12月22日(現地時間)、公表された米国の第3四半期のGDP(国内総生産、確報値)は、年率換算で前期比プラス2.2%と、前月発表された改定値(プラス2.8%)から下方修正されました。


事前の大方の市場予想を大きく下回る水準だったと言えます。


今回の下方修正は、設備投資と在庫調整が要因となったようです。


それでも、米国経済は回復基調にあり、第4四半期の経済成長率は加速する見通しであり、ヨーロッパを上回る成長率となるとみられます。


米国経済は、政府の景気刺激策による支えが重要な状況が当面続く可能性が高いと思いますが、自律的な回復に向かうかどうかを占う上では、失業率、長い目でみた商業用不動産市場の動向などが重要ではないかと考えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年12月22日火曜日

米国で医療保険制度改革が成立に向けて前進

米国で医療保険制度改革が成立に向けて前進したようです。


リード民主党院内総務は、採決を実施するのに必要な60票を確保したことを明らかにしました。


法案を審議中の米上院では、共和党の時間稼ぎが終わり、民主党の中で税金が中絶に使われるとして最後まで反対していた議員も賛成に回ることになったようです。


60票のうち、仮に1票でも反対に回れば、可決は見送られることになりますが、順調に行けば、医療保険制度改革法案はクリスマスイブに可決される見通しです。


今回、可決に必要な60票を確保するために多くの妥協をしており、また、上院で可決されれば、次は下院との折衝が必要となるなど、医療保険制度改革の成立までにはまだ道のりがありますが、少なくとも前進したことは間違いありません。


オバマ大統領への信頼を確保するためには、医療保険制度改革の成立が必要と理解されているところ、今後の推移が見守られるところかと思います。



11月のコンビニエンスストアの売上高

12月21日、公表された11月のコンビニエンスストアの売上高(既存店ベース)は、5851億円、前年同月比マイナス6.3%となりました。


前年比マイナスは、6カ月連続となりました。


タスポ効果の反動減があると思いますが、来店客数、客単価ともに落ち込みが続いているようです。


割安なスーパーやディスカウント店に顧客の一部が流れたとの指摘もあります。


個人的には、コンビニエンスストアという業態が日本経済で確固たる地位を築き、日本経済に組み込まれ、日本経済の大きな帰趨が影響する成長段階に達したことの表れのように見えます。


大手コンビニエンスストア業界では、新たな業態開発に向けた動き、大規模統合などが進んでいます。


大手コンビニエンスストアの動きは必ずしも一様ではないように見えます。


今後の新たな成長段階の推移が見守られるところかと思います。



2009年12月21日月曜日

フィリピンのマヨン火山が噴火の可能性

12月20日(現地時間)、フィリピンのマヨン火山が今にも噴火するのではないかとみられています。


マヨン火山は、1日に7千トンの溶岩を噴出し、揺れも出ているようです。


フィリピン政府は周囲10キロを立ち入り禁止とし、約4万人(5万人との報道もあり)が避難する事態にあるようです。


今回の火山活動は、フィリピン南部にあります。


フィリピン南部と言えば、先日(12月13日、現地時間)は、フィリピンの南部イサベラ市にある刑務所からイスラム過激派の受刑者約30人が脱走し、治安に対する不安が指摘される事態が起きていました。


また、今は解除されましたが、フィリピン南部のミンダナオ島で11月に57人が惨殺された事件を受け、12月4日に戒厳令が布告されていました。


フィリピンの持続的な経済成長を確保する基盤として、経済構造改革、財政赤字解消、不良債権処理、治安回復によるフィリピン経済への信頼回復が課題と考えられます。


マヨン火山の山麓にはレガスピ市をはじめとする街があり、その総人口は100万人に達すると言われています。


今回の噴火の規模がどの程度になるのか、気になるところです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



イランのモンタゼリ師が死去

12月19日(現地時間)、イランのイスラム教シーア派最高権威の一人であるモンタゼリ師が、死去しました。87歳でした。病死のようです。


モンタゼリ師は、イスラム革命の立役者の一人であり、1986年にはホメイニ師の後継最高指導者に指名されましたが、反体制派との交遊が問題視され、1989年に次期指導者の地位を奪われました。


モンタゼリ師は、広く国民の信頼を得ており、イラン改革派の精神的支柱と知られていました。


今回、モンタゼリ師の死亡によって、改革派が勢いづくことが予想されています。


今後、1週間以内にも改革派によって何か起きるのではないかとの見方も出されているようです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年12月20日日曜日

COP15閉幕


COP15(国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議)が閉幕しました。


今回、コペンハーゲン合意については、正式な採択を見送り、合意に留意するとして承認されました。


合意の実効性は不透明な状況です。


今回、英国は楽観的な見通しを示し、米国は合意の可能性を示し、日本も主導的役割を果たしたいとしていましたが、当初より、日本をはじめとした先進国と中国やインドなどの新興国の溝の深さは、COP15開幕前に指摘されていたところでした。


期待された分、失望もありますが、冷静に受け止め、今回、採択さえできなかったのは厳しいと言えますが、まがりなりにも承認されたことは前向きに考えたいと思います。


今後、今回の合意内容に賛同する国は来年1月末までに温室効果ガスの削減目標を同合意の別表に書き込むことになりますが、当面はどれだけの国が参加するかが焦点になりそうです。


COP15では米国は新たな温室効果ガス排出量削減数値目標は設定しませんでしたが今後設定するのかどうか、途上国側に来年のCOP16に参加を求めていくとしても、COP15で世界190カ国の合意を得ることの難しさを改めて確認したと言える状況にあって、日本政府は25%削減という目標を記載するのでしょうか。


今後の推移を見守りたいと思います。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


21日(月曜)
国内:貿易統計 11月
   全産業活動指数 10月
   コンビニエンスストア売上高 11月


22日(火曜)
国内:全国スーパー売上高 11月
海外:米 GDP 7-9月 確定
米 中古住宅販売件数 11月


23日(水曜)
国内:祝日(天皇誕生日)
海外:米 MBA住宅ローン申請指数 先週分
   米 個人所得、個人消費支出 11月
   米 ミシガン大学消費者マインド指数 12月 確定
   米 新築住宅販売件数 11月
   EU ユーロ圏鉱工業新規受注 10月


24日(木曜)
国内:法人景気予測調査 10-12月
  パソコン出荷 11月
海外:米 新規失業保険申請件数 先週分
   米 耐久財受注 11月


25日(金曜)
国内:完全失業率 11月
   有効求人倍率 11月
   家計調査 11月
   消費者物価指数 東京都区部 12月中旬
   企業向けサービス価格 11月
   自動車生産、輸出台数 11月
   住宅着工統計 11月
   建設工事受注額 11月
海外:祝日(クリスマス)


個人的には、10月22日に発売されたWindows7との関係で木曜のパソコン出荷、金曜の自動車関係の統計、米国の水曜公表の個人消費関係の指標に注目したいと思います。



2009年12月19日土曜日

日本の11月の全国百貨店売上高

12月18日、公表された日本の11月の全国百貨店売上高(店舗数調整後)は5635億円、前年比マイナス11.8%となりました。


前年比マイナスは21カ月連続となりました。


全体として、現金給与が厳しい状況にあり、冬のボーナスも前年比でマイナスとみられるところ、消費が冷え込んでいるとしても2ヵ月連続の2桁マイナスは厳しいと感じます。


クリスマス商戦に合わせたかのような政府のデフレ宣言による心理的影響も要因になったのではないかとの印象です。


百貨店売上高がマイナスになったのは、百貨店業界の問題と思いますし、11月の小売市場で百貨店が低調なのは、日本だけに限ったことではないのも事実です。


現政権は、デフレ宣言によってこうした影響が出ると予想していたのか、影響が出てから気づいたのか解りませんが、政府は自らのの動向が市場に大きな影響を及ぼすことの理解を速やかに深め、適切で迅速な前向きな対応を講じていくことを期待したいと思います。


今後の推移を見守りたいと思います。



日銀 白川総裁の会見

12月18日、日本銀行の白川総裁は、会見で、日銀が消費者物価指数の前年比でマイナスの領域を容認しているとか、あるいはデフレを容認しているといった誤解があるのであれば、その誤解は解いた方がいいと述べ、デフレ脱却の重要性を改めて表明しました。


日本銀行は、中長期的な物価安定の理解として、消費者物価指数の前年比で2%以下のプラスの領域にあり、委員の大勢は1%程度を中心と考えていると表現を変更しました。


また、物価安定のもとでの持続的成長を実現する上では、資産価格や信用量の動向など金融面での不均衡の蓄積も含めたリスク要因を幅広く点検していく必要があるとの認識が、各国においても広がっているとの文言も盛り込み、一般物価だけに焦点を当てているわけではないことを強調しました。


先日、政府はデフレ宣言を行いましたが、日銀が追加の金融政策として出せるものは何があるのでしょうか。


今回、白川総裁は、量的緩和は、金融システムが不安定な状況では、安定確保に有効だと指摘しましたが、一方で、一旦、量的緩和を行い、金融システムが安定している下では、量的緩和による経済刺激効果は非常に限定的であるとの見方を示しました。


日本銀行は、GDPギャップが大幅なマイナス圏にある現状では、需要不足が問題であって、流動性供給だけでは物価は上昇しないとの考えを述べているように見えます。


これは、従来からの日本銀行の主張通りの内容と言えます。


厳しく、穿った見方かも知れませんが、今回、日銀がデフレ容認せずと表明したのは好感されるとしても、中身があるかと言えば、ほとんど見あたらず、その意味では、デフレ対策がないままにデフレ宣言した日本政府とあまり変わりないような気がします。


今後の政府、日銀の対応の行方を見守りたいと思います。



2009年12月18日金曜日

米国のFOMC(連邦公開市場委員会)声明

12月16日(現地時間)、米国のFRB(米連邦準備理事会)は、FOMC(連邦公開市場委員会)声明文を発表し、政策金利(フェデラルファンドレート)の誘導目標を0-0.25%に据え置くこと、また、緊急流動性対策の大半を来年2月1日終了する予定であると表明しました。


FRBは、景気に関しては、経済活動は引き続き持ち直しているとの見方を示しました。

また、労働市場の悪化は和らいでいるとの認識を示したものの、失業率は少なくとも来年末まで9%を上回る水準に高止まりするとみているようです。


FRBの金融政策は、インフレ率と失業率を見ていると言われており、失業率に対する見方からすると、来年後半までは利上げの可能性は低いように見えます。


12月17日(現地時間)、米国の上院銀行委員会は、FRBのバーナンキ議長の再任を賛成多数で承認しました。
バーナンキ議長の任期は来年1月末までですが、順調に行けば、年明けの上院の本会議での採決により再任される見通しです。


FOMC議事録などからすると、量的緩和に関し、一方のグループは量が出ているので、将来のインフレが心配だと主張し、他方のグループは量自体は結果であって、これで物価が上がるわけではない、インフレは心配ないと主張しています。

バーナンキ議長は、後者の立場にあるようです。

そうすると、少なくとも利上げの時期は当面ないと考えるのがやはり自然と言えそうです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の先週分(12月12日終了週)の新規失業保険週間申請件数

12月17日(現地時間)、公表された米国の先週分(12月12日終了週)の新規失業保険週間申請件数は48万件、前週比プラス7千件となりました。


事前の大方の市場予想では、前週比マイナスを予想していたところ、予想外のプラスになりました。


ただ、4週間移動平均では、46万7500件、前週比マイナス5250件となりました。


これで、4週間移動平均は15週連続でマイナス(=改善)となりました。


先週分の申請件数が予想外のプラスになったことはネガティブな印象ですが、トレンドを見るには4週間移動平均が適していると言え、今のところ、改善トレンドには変わりはないように見えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年12月17日木曜日

日本のGDPギャップ

12月15日、公表された日本のGDPギャップ(7-9月期)はマイナス7.0%(内閣府推定値)になりました。


7-9月期のGDP(国内総生産)が1次速報から2次改訂値が下方に修正されたことに伴い、GDPギャップは1次速報値より拡大しました。


7-9月期のマイナス幅は、過去最大の2009年1-3月期のマイナス7.5%、2番目の2009年4-6月期のマイナス7.1%に次ぐ過去3番目の大きさとなりました。


GDPギャップのマイナス幅は、デフレ圧力として作用すると考えられ、急速な需要回復がない限り、日本のデフレは当面続く可能性が高いと言えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



COP15の議長が辞任

12月16日(現地時間)、COP15(国連気候変動枠組み条約第15回締結国会議)で議長を務めているデンマークのヘデゴー氏が議長を辞任すると発表しました。


後任の議長は、デンマークのラムスセン首相が務めるとのことです。


COP15出席各国間では、突然の辞任に驚いているとのコメントが挙がっているようです。


ヘテゴー氏は、インタビューに対し、突然ではなく、予定通り、COP15へ各国首脳が到着しており、議長も首脳が務めるのが適切との考えによるものと話しました。


COP15も終盤にありますが、合意に至るのかどうか、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年12月16日水曜日

ギリシャの予算案に反対するデモ

12月15日(現地時間)、ギリシャでは政府の予算案に反対する抗議デモが行われ、財務省の入口は組合により封鎖され、首相は予算案の支持を得るため、野党と協議を行っています。


12月14日(現地時間)、ギリシャのパパンドレウ首相は、社会保障支出の削減や銀行賞与に対する大幅課税などを内容とする財政赤字削減策を発表しました。


市場ではギリシャが、ユーロ圏にとって次のリーマン・ブラザーズになる可能性があるとの見方も出されているようです。


12月15日(現地時間)、公表されたドイツの12月の独ZEW景気期待指数は50.4と、前月からマイナス0.7ポイントとなりました。


これでマイナスは3カ月連続となりました。


ドイツはユーロ圏最大の経済規模を有する国です。


ギリシャ、ドイツなどユーロ圏の今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の11月の鉱工業生産・設備稼働率

12月15日(現地時間)、公表された米国の11月の鉱工業生産指数は99.4、前月比プラス0.8%となりました。


設備稼働率は71.3%、前月より0.7%改善しました。


今回、何れの指数も事前の大方の市場予想を上回ったと言えます。


ただ、依然として設備稼働率は一般に設備投資が活発になると言われる80%を大きく下回っています。


現在の設備稼働率の改善ペースが続くとすれば、14~15カ月後に設備稼働率は80%に達することとなります。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年12月15日火曜日

11月のユーロ圏の製造業PMI

12月1日(現地時間)、公表された11月のユーロ圏の製造業PMI(購買担当者景気指数、季節調整済、改定値)は51.2、前月比プラス0.5ポイントとなりました。


新規受注は53.8、前月比プラス0.5ポイントとなりました。


12月14日(現地時間)、公表されたユーロ圏の10月の鉱工業生産は、前月比マイナス0.6%、前年比マイナス11.1%となりました。


事前の大方の市場予想より若干良かった水準だったと言えます。


こうした結果を見る限り、ユーロ圏の設備投資の先行きに期待がかかるところです。


今後の推移を見守りたいと思います。



日銀短観 12月調査

12月14日、公表された日銀短観によれば、12月調査で、業況判断指数(DI)は、大企業製造業でマイナス24と、前回調査から9ポイント改善しました。

これで改善は3期連続となりました。


事前の市場の見方として、円高の影響を懸念する声が大きかったものの、蓋を開けてみれば、思っていたほど悪くないとの印象でした。


新興国経済向けの輸出好調や政府による景気対策の効果と考えられます。


指摘されていた景気の二番底に陥る可能性は低くなったとの見方が市場の大勢を占めていると言えます。


ただ、2009年度の設備投資計画は大企業製造業は前年度比マイナス28.2%と、過去最大の減少幅となりました。


市場では日本の景気は踊り場入りの可能性があるとの見方が出ています。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年12月14日月曜日

スーダンの南部の独立の是非を問う住民投票に関する合意

スーダンの南部の独立の是非を問う住民投票に関し、スーダン政府と南部のゲリラ組織が合意したようです。


スーダンでは、2005年1月9日、20年以上続いた内戦を終結させる南北包括和平合意が成立、同年7月に統一暫定政府が樹立され、現在に至っています。


スーダンは、イギリス統治時代にアラブ系人口の多い北部と黒人系の多い南部の交流を禁止していたこともあり、北部と南部の違いは大きいと言われています。


今回の合意は、住民投票の結果、50%以上の賛成を得た場合、スーダン南部の独立を認めるとの内容のようです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



フィリピンの刑務所で脱走

12月13日(現地時間)、フィリピンの南部イサベラ市にある刑務所で、イスラム過激派の受刑者約30人が脱走しました。


海外メディアによれば、イスラム過激派の武装集団70人余り(100人という報道もあり)が刑務所の外から壁に穴をあけて、マシンガンを乱射して侵入、看守1人が死亡したようです。


脱走した中には、イスラム過激派武装集団の指導者2名が含まれていたようです。


先日(12月12日)、フィリピンでは、州知事選に絡む大量殺人事件から、南部ミンダナオ島マギンダナオ州に発令していた戒厳令を解除したばかりの出来事となりました。


現在、フィリピンでは、経済構造改革、財政赤字解消、不良債権処理などに取り組んでいますが、治安回復によるフィリピン経済への信頼回復が重要と言われています。


今回の事件により、フィリピンの治安に対する不安が高まることが予想されます。


フィリピンにとって、日本は米国に次ぐ、第2位の貿易相手国であり、フィリピンにとって日本は最大の援助供与国、日本にとっては、フィリピンは最重点供与国の一つとなっています。


日本とフィリピンは緊密な関係にあり、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年12月13日日曜日

金融システムに対する新たな動き

最近、金融システムに対する新たな動きが出はじめているようです。


先日(12/9)、英国で金融機関の賞与に高い税率を課すと決定しました。


EUは、12月10日から11日にかけてブリュッセルで首脳会議を開催し、英国とフランスから、金融機関の支払う賞与について高い税率をかけるとの提案を行いました。


今回は、この提案は幅広い支持を得られなかったようです。


IMFは、今回の国際的な金融危機を受け、今後のリスク管理の方法について検討していると言われています。
トービン税の導入も検討しているとの風評も出ています。


トービン税とは、トービン博士により'70年代に提唱された税制度で、外国為替取引に低率の課税をするというものです。


トービン博士は投機的な外為取引を抑制することに提唱の主眼があったようですが、最近では、税収の活用が議論される傾向があるようです。


基本的にトービン税は、世界各国が同時に導入しなければ効果が出ない仕組みであり、国際機軸通貨の米国、これに次ぐEU、日本などが全て賛成しない限り導入は困難と思います。


この点、米国政府はトービン税導入に反対の立場のようですが、英国は導入に前向きのようです。


個人的には、財政赤字に苦しむ英国などの苦し紛れの提案との印象ですが、最近の世界的な中道左派の台頭からすると全くないとは言えないのかも知れないとの思いもよぎります。


こうした制度を金融市場が嫌うことは疑いがなく、また、万一、導入となれば角を矯めて牛を殺すことになりかねないと強く懸念を感じます。


今回は取り上げませんでしたが、BIS規制の行方も気になります。


今後の推移を見守りたいと思います。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


14日(月曜)
国内:日銀短観 12月調査
   マネタリーサーベイ 10月
   製造業部門別投入・算出物価指数 11月
   マンション販売 11月
   商業販売統計 10月 確報
海外:EU ユーロ圏雇用 7-9月
   EU ユーロ圏鉱工業生産 10月


15日(火曜)
海外:米 PPI(生産者物価指数) 11月
   米 鉱工業生産 11月
   米 設備稼働率 11月
   米 FOMC(連邦公開市場委員会)
  EU 独ZEW景況指数 12月


16日(水曜)
国内:第3次産業活動指数 10月
   毎月勤労統計 10月 確報
海外:米 MBA住宅ローン申請指数 先週分
   米 CPI(消費者物価指数) 11月
   米 経常収支 7-9月
   米 住宅着工件数 11月
   米 建設許可件数 11月
   米 FRB 政策金利発表
   EU ユーロ圏景気総合指数 12月 速報
   EU CPI(ユーロ圏消費物価指数) 11月


17日(木曜)
国内:資金循環統計 7-9月 速報
   石油消費動態 10月
   景気動向指数 10月 改定
海外:米 新規失業保険申請件数 先週分
   米 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 12月
   EU 建設支出 10月


18日(金曜)
国内:鉄鋼生産 11月
海外:EU ユーロ圏経常収支 10月
   COP15(第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議) 首脳級会合


個人的には月曜に公表予定の日銀短観、金曜に最終日を迎えるCOP15などに注目したいと思います。



2009年12月12日土曜日

米国の10月の企業在庫


12月11日(現地時間)、公表された米国の10月の企業売上は前月比プラス1.1%、企業在庫は前月比プラス0.2%となりました。


対売上高在庫比率は、1.30カ月分と、前月の1.31カ月から0.01ヵ月低下しました。


対売上高在庫比率が改善される範囲内で企業在庫が増加していると言えます。


市場では、企業が在庫削減から在庫投資に向かいはじめていることの表れとの見方が出されています。


内訳をみると、在庫増の主たる要因は自動車であり、当面、自動車市場の回復がどこまで進むかが重要のように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



米国の11月の小売売上高

12月11日(現地時間)、公表された米国の11月の小売売上高は前月比プラス1.3%、前年比プラス1.9%となりました。


大方の事前の市場予想を上回る水準だったと言えます。


同日(現地時間)、公表された米国の12月のミシガン大消費者信頼感指数(速報値)は73.4、前月の67.4(確報値)から改善しました。


こちらも大方の事前の市場予想を上回る水準だったと言えます。


これら米国の消費関連の指標が市場予想を上回ったことはポジティブサプライズでした。


思ったほど米国の小売市場は悪くなく、改善に向かっているとの印象です。


こうした傾向が続くのかどうか、今後の推移を見守りたいと思います。



2009年12月11日金曜日

ブラジルの第3四半期のGDP

12月10日(現地時間)、公表されたブラジルの第3四半期のGDP(国内総生産)伸び率は、前期比プラス1.3%となりました。


ただ、プラス幅は、事前の大方の市場予想を、下回ったと言えます。


12月9日(現地時間)、公表されたブラジルの11月の消費者物価指数は、前年比プラス4.22%と、政府が設定するインフレ目標4.5%を下回る水準となりました。


12月9日(現地時間)、ブラジルの中央銀行は、政策金利を8.75%に据え置きました。


ブラジル経済は、市場が考えているより弱かったと考えられますが、第3四半期のGDPはブラジル国内消費と設備投資の伸びが貢献したことは好ましい兆しのように見えます。


インフレ率が目標の範囲内で、政策金利の引き上げが尚早とならなければ、ブラジルの経済成長は続いていくのではないかとの印象です。


今後の推移を見守りたいと思います。



米国の先週分(12月5日終了週)の新規失業保険週間申請件数

12月10日(現地時間)、公表された米国の先週分(12月5日終了週)の新規失業保険週間申請件数は47万4千件、前週比プラス1万7千件となりました。


大方の市場予想を上回るプラス幅と言えます。


4週間移動平均では47万3750件、前週比マイナス7750件となりました。


先週分の新規失業保険申請件数がプラスになったことはネガティブな印象ですが、一般に、週ごとの新規失業保険申請件数はブレがあること、今回は、感謝祭の週に出されていなかった申請が翌週にずれたと考えられることなどからすると、一時的なもののように見えます。


4週間移動平均は14週連続のマイナスになっており、今のところ新規失業保険週間申請件数の減少傾向は変わらないと言えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年12月10日木曜日

英国の来年度予算編成方針

12月9日(現地時間)、英国の財務相は、来年度予算編成方針を発表しました。


財務相は、公的部門の借入額が過去最大(約2900億USドル)になるとの見通しを示すとともに、増税の方針を示しました。


今回の増税は、主として富裕層を対象としたもので、税収増のうち半分以上は上位2%の高額所得者の負担になるようです。


また、英国で営業活動を行う銀行が一定金額(約4万1000USドル)を超えるボーナスを支払う場合、支払った銀行に50%を課税し、受け取った役職員にも所得税を課税する方針を発表し、即日実施としました。期間は2010年4月5日までとしました。


この、賞与に対する課税により、銀行が海外へ流出するのではないかとの懸念に対し、英国政府は、そのおそれはないとの見方を示しました。


外国銀行からの反発が予想されるところ、仮に、目立った海外への流出が無かったとしても、今回の措置は、世界の金融センターとしての英国金融市場に対する国際的な評価を悪化させ、地盤低下に繋がっていくような気がします。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の10月の卸売在庫

12月9日(現地時間)、公表された米国の10月の卸売在庫は前月比プラス0.3%となりました。


米国の卸売在庫は前月比マイナスが続いていたところ、14ヵ月ぶりのプラスとなりました。


卸売売上高は前月比プラス1.2%となりました。


米国の卸売売上高は前月比プラスが続いており、7ヵ月連続のプラスとなりました。


対売上高在庫比率は1.16ヵ月と前月から0.01ヵ月低下しました。


米国の卸売対売上高在庫比率は前月比マイナスが続いており、7ヵ月連続のマイナスとなりました。


売上高が増加し、在庫比率が低下する範囲で在庫が増加していると言えます。


今回の在庫増加を、在庫削減から在庫投資に向かい、経済が上向く可能性を示す兆しとの見方も出されているようです。


確かに、従来の米国の卸売対売上高在庫比率の平均的な水準、1.21カ月(2001年~2007年平均)を下回る水準にあります。


ただ、足元の米国のクリスマス商戦は振るわない模様であることは気になるところです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年12月9日水曜日

イラクの首都バグダッドで同時爆弾テロ


12月8日(現地時間)、イラクの首都バグダッドで、同時爆弾テロにより、少なくとも127人が死亡したようです。


爆弾テロは5カ所、何れも政府庁舎、大学といった政府系建物を狙ったもので、被害を受けた中にはオーケストラの楽団もありました。


爆発は、ラッシュアワーの時間帯を狙ったものでした。


イラク政府は、今回の同時爆弾テロをアルカイダによるものとの見方を示しているようです。


しかし、市民の中には、誰が厳しい検問をかいくぐって首都中心部の政府の象徴とも言える建物を爆弾テロにさらすことが出来たのか、疑問の声も出ているようです。


先日(12月6日)、イラク連邦議会は、連邦議会選実施に関する選挙法の修正案を承認し、当初は来年1月16日に予定されていた選挙を2月27日頃を目途に実施する見通しとなりました。


イラク政府は、選挙に対する反政府勢力による攻撃から市民を守るという姿勢を示していましたが、今回の同時爆弾テロにより、こうした姿勢は挫かれた格好となりました。


今回の同時爆弾テロにより、イラクの治安、選挙への不安からマリキ政権への批判が高まる可能性が高いと思います。


日本の資源開発大手の石油資源開発は、イラクのバグダッドで11、12日に行われる予定の油田開発の第2次入札に参加する予定と伝えられるなど、日本企業によるイラク開発の動きが進んでいます。


イラクの治安の行方、選挙が適切に行われるのかなど、日本の経済関係の動向も含め、今後の推移が見守られるところかと思います。



日本の11月の企業倒産件数

12月8日、公表された日本の11月の企業倒産件数は1132件、前年同月比マイナス11.4%、倒産企業の負債総額は6948億円、前年同月比プラス20.6%となりました(東京商工リサーチ調べ、負債総額1000万円以上、銀行取引停止処分等含む)。


倒産件数が前年同月を下回ったのは、これで4カ月連続となりました。


従来の動きからすると、企業倒産件数がピークを打った後は景気回復に向かっており、今回の公表結果は、景気は回復に向かっていることの表れのように見えます。


しかし、同日発表された日本の11月の景気ウオッチャー調査によれば、街角の景気実感を3カ月前と比較した現状判断指数は33.9、前月比マイナス7.0ポイントとなりました。


これで同指数の低下は2カ月連続となりました。


マクロ的に見れば、企業倒産件数は減少に向かい、景気は回復に向かっているっているとしても、円高やボーナスの大幅減などで世間の心理は最近厳しさが増しているということのように見えます。


個人的には、市場の雰囲気や心理といったものは重要であり、気になるところです。


補正予算の効果や政権のメッセージなどを含め今後の推移を見守りたいと思います。



2009年12月8日火曜日

イランで改革派のデモ

12月7日(現地時間)、イランでは、学生の日と呼ばれるこの日に行われた改革派のデモに対し、治安部隊が弾圧を行いました。


当局は、事前に、デモ計画の動きに対し、厳しい取り締まりを警告していたようです。


今回のデモは、6月に行われたイランの大統領選をめぐる不満が影響しているようです。


11月には、改革派のアブタヒ元副大統領が禁固6年の刑を言い渡されるなどしていましたが、その後も、イランの大統領選をめぐって、アフマディネジャド大統領に不正があったとして、改革派による反発は続いているようです。

蛇足ながら、隣国のイラクの首都バグダッドの学校で、爆弾により生徒7人(6人との報道もあり)が死亡しました。
国際テロ組織アルカイダの掃討作戦で当局に協力しているスンニ派住民を狙ったとみられるテロも続いているようです。


12月6日、イラクでは、選挙法案を賛成多数で再可決し、今後、大統領評議会による承認が得られれば、成立し、来年選挙の運びになる見通しです。選挙が適切に行われることを期待したいと思います。


こうした動きから、個人的には適正な手続きの重要さを改めて感じるところです。今後の推移を見守りたいと思います。



米国の10月の消費者信用残高

12月7日(現地時間)、公表された米国の10月の消費者信用残高は前月比マイナス35億ドルの2兆4829億ドル、年率ベースでマイナス1.7%となりました。


米国の消費者信用残高はマイナスが続いており、消費者が借入を避け、支出に消極的になっていることを示唆しているように見えます。


ただ、マイナス幅は縮小傾向にあり、このままのペースで推移すれば、先行き、消費者信用残高はプラスに転じる可能性が高いと考えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年12月7日月曜日

ギニアの大統領が銃撃受け負傷

先日(12月3日)、ギニアの首都コナクリで、軍事指導者であるカマラ大統領が銃撃を受け、負傷しました。大統領の命に別条はないとのことです。


大統領報道官によれば、銃撃は大統領側近により実行された、クーデター未遂事件であったとのことです。


昨年12月、ギニアのコンテ前大統領が病気により死去し、その翌日に、カマラ大尉を中心とするグループがクーデターにより政権を掌握し、暫定軍事政権が発足しました。


国際社会はクーデターを非難し、AU(アフリカ連合)、ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)等はギニアの参加資格を凍結しています。


ギニアでは、来年1月に大統領選が予定されていますが、カマラ大統領が当初の立場を翻して出馬を示唆し、国内外から批判を浴びるなど、ギニアの政情は混迷が深まっています。


ギニアでは、こうした動きに関連してカマラ大統領に対する反対派を弾圧し、人権侵害が行われているとの見方も出されています。


ギニアは、世界の3分の1のボーキサイト埋蔵量を有するなど、地下資源に極めて恵まれていると言われているところ、中国はギニアに多額の投資を行っているようです。


ギニアの政情安定化を期待しつつ、今後の推移を見守りたいと思います。



ゲーツ米国防長官がビンラディン容疑者の所在把握についてコメント

最近、ゲーツ米国防長官は、TV番組の中で、ビンラディン容疑者が今どこにいるか解らず、確実な所在はもう何年間も把握していないと述べました。


9.11事件以降、テロとの戦いに8年が経過しました。


ビンラディン容疑者は、9.11事件の背後にいる人物として手配されている人物ですが、現在も捕まっておらず、情報もない状況です。


米国には既にビンラディン容疑者は死亡しているとの見方もあります。


今回のゲーツ長官のコメントは、米国民の間で失望感が広がる懸念があるように感じます。


こうした発言が長い目でみてオバマ政権のアフガン戦略への支持に影響していくのかも知れません。


先日オバマ大統領から発表されたばかりのアフガニスタンからの2011年7月からの米軍撤収開始も、ごく小規模にとどまる可能性があるとの見通しが出されるなどしています。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年12月6日日曜日

昨年11月のインドのムンバイ同時テロから1年

昨年11月にインドのムンバイでタージマハルホテルなどを対象とした同時テロから1年が経過しました。


この同時テロにより外国人を含む164人が犠牲になり、ムンバイ各地で追悼行事が行われました。


先日(11月25日)、同時テロの容疑者として当局に拘束されていた7人が、起訴されました。


今のところ、7人全員が無罪を主張しているようです。


ムンバイはインド第一の商業の中心都市であり、昨年の同時テロ発生当時、インドの治安に対する不安が指摘されるなどしました。


最近公表されたインドの7-9月期のGDP伸び率は前年比プラス7.9%と、大方の市場予想を上回るペースで回復しています。


最近、日本の鉄鋼大手、JFEスチールは、インドの鉄鋼大手、JSWスチールと包括提携を発表しました。


同時テロという悲しい出来事を乗り越え、日本とインドの経済関係は深まっていくと期待されるところ、今後の推移が見守られるところかと思います。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


7日(月曜)
国内:マネタリーベース
海外:米 消費者信用残高 10月


8日(火曜)
国内:国際収支 10月
   企業倒産 11月
   景気動向指数 10月
   景気ウォッチャー調査 11月


9日(水曜)
国内:国内総生産 7-9月 2次速報
   工作機械受注 11月 速報
海外:米 MBA住宅ローン申請指数 先週分
   米 卸売在庫 10月


10日(木曜)
国内:機械受注 10月
   企業物価指数 11月
   中古車販売台数 11月
   オフィス空室状況 11月
海外:米 新規失業保険申請件数 先週分
   米 貿易収支 10月
   米 財政収支 11月
   英 BOE(イングランド銀行) 政策金利発表
ブラジル GDP(国内総生産)


11日(金曜)
国内:消費動向調査 11月
海外:米 輸入物価指数 11月
   米 ミシガン大学消費者マインド指数 12月 速報
   米 企業在庫 10月
   中国 生産者・消費者物価


個人的には、新興国の経済指標、金曜に公表予定の米国のミシガン大学消費者マインド指数に注目したいと思います。



2009年12月5日土曜日

10月のユーロ圏の小売売上高

12月3日(現地時間)、公表された10月のユーロ圏の小売売上高は、前月比で横ばいとなりました。


事前の大方の市場予想では、前月比でプラス予想だったところ、予想に反して横ばいに留まったと言えます。


12月1日(現地時間)、公表された10月のユーロ圏の失業率は9.8%、前月比で横ばいとなりました。


9.8%という水準は、1998年10月の9.9%以来の高い水準です。


ユーロ圏の雇用情勢の厳しさからすると、ユーロ圏の小売市場は厳しい状況が続きそうなように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



米国の11月の雇用統計

12月4日(現地時間)、公表された米国の11月の雇用統計によれば、米国の非農業部門雇用者数はマイナス1万1千人となりました。


事前の大方の市場予想よりマイナス幅は小幅に留まったと言えます。


米国の11月の失業率は10.0%、マイナス0.2%となりました。


事前の大方の市場予想よりごく小幅ながら改善したと言えます。


今回の結果のみからすると、米国の雇用情勢は、市場が考えているよりも回復している可能性を示唆したように見えます。


市場では、回復に向かっていく兆しとして歓迎する見方がある一方で、一時的な動きで最悪期は脱していないとの見方もあります。


個人的には、新規失業保険申請件数などからみて最悪期は脱していないとしても、現在の改善ペースが続けば、最悪期を脱するのは遠くないと思います。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年12月4日金曜日

ソマリアの大学の卒業式で自爆テロ

12月3日(現地時間)、ソマリアの首都モガディシオで行われていた大学の卒業式で自爆テロがあり、参列していた閣僚5人の内、保健、教育、高等教育を担当する各閣僚3人が死亡、残る2人も重傷を負うなど多数の死傷者が出ました。


卒業式は、アフリカ連合の平和維持部隊が駐留する場所から僅か1キロしか離れていない、安全とみられていたホテルで行われていました。


アフリカ連合の平和維持部隊の至近距離で自爆テロが行われたことは、ソマリアの暫定政府に対する、強い圧力になり、ソマリアにおける統治の困難さを表しているように思えます。


今回の自爆テロは、イスラム原理主義グループの男性メンバーが女装して行ったとの見方もあるようですが、現時点では背後関係などは明らかになっていないようです。


台頭していると言われるイスラム原理主義グループはイスラム市民の支持を必ずしも得ていないとの見方も出される中、これからソマリアの統治はどうなっていくのか、現在、ソマリアには緊急に食糧援助を必要とする人口は数百万人存在すると言われ、今後の推移が見守られるところかと思います。



ECBは、政策金利を1.00%に据え置き

12月3日(現地時間)、ECB(欧州中央銀行)は、政策金利を1.00%に据え置くことを決定しました。


事前の大方の市場予想では、据え置くと予想していたところ、予想通りの結果になったと言えます。


また、ECBは、資金供給オペを一部終了すると発表しました。


同日、ECBは、最新の景気予想を発表し、2010年の成長予想を従来の0.2%から0.8%に上方修正しました。

インフレ率は2010年が平均で1.3%、2011年は1.4%と予想しました。


今回、ECBは、金融システムの安定に向けた緊急対策を縮小することを決定し、今後、利上げに向かっていくと思われますが、ECBはインフレ率2%弱を政策の目安にしていることからすると、利上げのペースは速くないように見えます。


今後の欧州の景気動向や資産価格などの行方を含め、推移が見守られるところかと思います。



2009年12月3日木曜日

米国の新たなアフガニスタン戦略

12月1日(現地時間)、米国のオバマ大統領は、陸軍士官学校で3万人の増派を行い、2011年7月から撤退を開始するという新たなアフガニスタン戦略を発表しました。


今回の増派決定は、現在の米軍の士気を高める効果がありました。


米国市民には、現在でも何故米国がアフガニスタンに派兵しなければならないのかその理由を理解できないとの見方が広く存在するようですが、今回、オバマ大統領は、米国の国益がかかっていると表明しました。


共和党のマケイン議員は、今回の決定に関し、撤退時期について言及したことは、敵に悪いメッセージを伝えることになるとして強く懸念を表明しました。


アフガニスタンではカルザイ政権が2期目に入りましたが、カルザイ大統領は、就任演説で駐留外国部隊の撤退を5年以内に実現することを掲げています。米国にとって、カルザイ政権が汚職などにどう取り組むかが新戦略の成否に大きな影響を与える可能性があります。


現地のアフガニスタン市民の間には、外国の兵士が国内に存在することが問題との見方が多いようですが、今回の増派がアフガニスタン市民にどう受け止められていくか気になるところです。


英国は既にアフガニスタンへの増派を決定しています。


フランスのサルコジ大統領は、従来、フランス軍のアフガニスタンへの増派を否定していましたが、米国の増派に追随する可能性がある模様です。


米国のアフガニスタン新戦略は、それぞれ異なる受けとめ方、影響を及ぼすことになりそうです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の11月のADP雇用報告

12月2日(現地時間)、公表された米国の11月のADP雇用報告によれば、米国の民間部門雇用者数はマイナス16万9千人となりました。


事前の大方の予想よりマイナス幅は大きかったと言えます。


ADP雇用報告は、今週金曜に公表予定の米国の雇用統計に先行する指標と理解され、米国の雇用統計の厳しさを示唆したと言えます。


ただ、毎週木曜に公表される米国の新規失業保険申請件数は、減少傾向にあり、先行きの失業率改善を示唆しているように見えます。


市場では、現在の雇用の改善ペースが続くならば、米国の民間雇用は来年2月に増加に転じるとの見方が出されています。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年12月2日水曜日

米国の11月のISM製造業景気指数

12月1日(現地時間)、公表された米国の11月のISM製造業景気指数は53.6、前月比マイナス1.9ポイントとなりました。


景気の分かれ目である50を4カ月連続で上回りました。


11月のISM製造業景気指数が前月比でマイナスになったことは気になりますが、同日公表された米国内の11月の自動車販売台数はフォード(前年比プラス8.6%)、トヨタ(同プラス11.5%)、日産(同プラス31.3%)、ホンダ(同プラス5.5%)など好調な結果となったことで、市場でのそうした懸念は薄れたようです。


米国の自動車販売台数は増加傾向にあり、どの程度の水準で安定していくのか、今後の推移が見守られるところかと思います。



オーストラリアの中央銀行は、政策金利を0.25%引き上げ

12月1日(現地時間)、オーストラリアの中央銀行は、政策金利を0.25%引き上げ年3.75%と決定しました。


これでオーストラリアは、3カ月連続の利上げとなりました。


事前の大方の市場予想でも利上げを予想していました。


オーストラリアの中央銀行は、今回の利上げで、2010年の経済成長率の過熱懸念を押え、インフレターゲットに一致させることに効果が発揮されるとコメントしました。


他方、12月1日、日本の日銀は、臨時の金融政策決定会合で、追加の金融緩和策の導入を決定し、長めの金利のさらなる低下を促すことを通じて金融緩和の一段の強化を図るとしました。


デフレ宣言が出されるなど、厳しい経済情勢を反映したものと言えます。


個人的には、デフレ脱却には需給ギャップの解消ないし縮小が必要であり、需要を喚起するような経済対策が必要と思います。


日銀の金融緩和策は政府の経済対策と併せて期待される効果が発揮されるところ、政府の打ち出す経済対策と成長戦略に期待したいと思います。



2009年12月1日火曜日

ドバイと欧州

11月30日(現地時間)、ドバイの財務長官は、ドバイ政府はドバイ・ワールドの債務保証を行わないとの意向であり、また、UAEの中央銀行は市中銀行への追加流動性を供給する方針を表明しているところ、追加流動性を必要とする状況にはないとの認識を示しました。


11月30日、アジアの株式市場は概ね反発しましたが、欧州の株式市場は値を下げました。


欧州株式市場の動きはドバイショックが影響しているとの印象です。


しかし、欧州にとって良いニュースもありました。


11月30日(現地時間)、公表された11月のユーロ圏のCPI(消費者物価指数、16カ国、速報値)は、前年同月比プラス0.6%となりました。


7ヵ月ぶりのプラスで、事前の大方の市場予想を上回るプラス幅となりました。


市場では、今回のプラスは原油価格の上昇が主因であり、インフレ圧力が大きく高まっているといった状況にはないという見方にあるようです。


今後、ユーロ圏のCPIは上昇傾向が続くのか、インフレ圧力は高まっていくのか、推移が見守られるところかと思います。



インドの7-9月期のGDP

11月30日(現地時間)、公表されたインドの7-9月期のGDP(国内総生産)は、前年比プラス7.9%となりました。


これは、事前の大方の市場予想を上回る水準と言えます。


インド国債の利回りは上昇(5年債:+3bp、10年債:+2bp)しました。


過日(11月19日)公表されたOECDの報告書で、インドの中央銀行はインフレを抑制するため、金融政策をかなり早期に引き締める必要があるとの認識を示しています。


OECDによれば、来年度のインドの経済成長率は、今年度より加速する公算が高く、来年度のインドの消費者物価指数は、今年度の倍以上に上昇する可能性があると指摘しています。


今回、インドの7-9月のGDP伸び率が市場予想を上回るペースとなったことで、インドの利上げ圧力はさらに高まる可能性が高いと考えられます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月30日月曜日

スイスで、イスラム教の礼拝所建設に関する国民投票

11月29日(現地時間)、スイスで、イスラム教の礼拝所建設に関する国民投票が行われ、今後、スイス国内でミナレットと呼ばれるイスラム教の礼拝所に付属する塔の新規建設禁止が過半の支持を得たようです。


事前の調査では、新規建設禁止の支持は半数以下に留まると見込まれていたところ、予想に反した結果になったようです。


今回の国民投票の実施は、右派政党が中心になって求められたものですが、スイス政府は、イスラム教の礼拝所に付属する塔の新規建設禁止は、信教の自由に反するもので、反対の立場を明らかにしていました。


現在、スイス国内にはイスラム教の礼拝所が4ヵ所ありますが、今回の国民投票の結果は、これら既存の礼拝所には影響しないとのことです。


それでも、今回の国民投票の結果、ミナレットと呼ばれるイスラム教の礼拝所に付属する塔の新規建設禁止が認められれば、スイスとイスラム教圏各国との関係が悪化することは避けられない情勢です。


スイス国内でイスラム過激派が国際的にみて特に活発に行動しているといった動きにはなく、何故、イスラム教の台頭に対しスイスがここまで拒絶反応を示すのか理解に苦しむといった見方が出されています。


スイスでは近年、労働力不足に伴って移民が急増したようです。


最近(11月6日、現地時間)公表されたスイスの10月の失業率は4.0%と、1998年5月以来の高い失業率にあり、特に15~24歳の若年層の失業率は5.3%に達しているようです。

個人的な印象に過ぎませんが、今回のスイスの国民投票の結果は、イスラム教への恐れというより、悪化するスイス国内の雇用情勢に関し、移民への反発があるのかも知れません。


今後の推移が見守られるところかと思います。



イランの新たなウラン濃縮施設建設計画

海外メディアによれば、11月29日、イランは、新たなウラン濃縮施設を、イラン国内に10カ所建設する計画を承認したとのことです。


詳細は不明ですが、2カ月以内に5カ所の建設を開始する動きにあるようです。


イランは、IAEA(国際原子力機関)からの低濃縮ウランのイラン国外での燃料加工をするという構想を巡り、合意できるかどうか注目されていましたが、今回の計画からすると、イラン側のIAEA提案に反発する動きは強いようです。


米国は、IAEA提案を受け入れなければ、制裁強化を示唆しています。


こうした中、海外メディアによれば、中国の石油大手企業がイランの石油精製施設建設に約65億ドルを投資する覚書を交わしたと報じられました。


イランに対する制裁の行方などが気になるところですが、少なくとも、イランと米国の対立は深まり、中東和平はさらに遠のいたとの印象です。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月29日日曜日

オーストラリア ラッド首相のCOP15に関するコメント

先日(11月23日)、オーストラリアのラッド首相は、12月に開催予定のCOP15(国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議)で、政策合意が出来るとの見通しと2010年中に法的拘束力をもつ合意に至りたいとの期待を明らかにしました。


オーストラリアは、鉄鉱石や石炭など中国の資源需要増加により、急速に経済を回復させ、オーストラリアの2009会計年度のGDP成長率見通しは、当初予想のマイナス0.5%からプラス1.5%に上方修正されています。


石炭のサウジアラビアとも言われるオーストラリアは、温暖化問題で重要な責任を持つと言えます。


オーストラリアでは、排出量を2020年までに2000年比で5~25%削減するとの法案が議会に提出されていますが、オーストラリアでは、地球温暖化の原因は人類の活動ではないとの考えから政府と対決する勢力もあり、法案の審議は慎重に行われているようです。


COP15での合意が進むのかどうか、進んだとして、中国の経済成長にどの程度の影響が出るのか、資源国への影響はどうか、などが気になるところです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


30日(月曜)
国内:鉱工業生産 10月
   毎月勤労統計 10月 速報値
   石油統計 10月
   住宅着工統計 10月
   建設工事受注額 10月
海外:EU ユーロ圏消費者物価指数 11月 速報値


1日(火曜)
国内:新車販売台数 11月
海外:米 ISM製造業景況指数 11月
   米 中古住宅販売成約指数 10月
   米 自動車販売台数 11月
   EU ユーロ圏製造業景気指数 11月
   EU ユーロ圏失業率 10月
   EU リスボン条約発効
   豪 中銀 政策決定会合


2日(水曜)
国内:マネタリーベース 11月
   貸出約定平均金利 10月
海外:米 MBA住宅ローン申請指数 先週分
   米 ADP雇用統計 11月
   米 ベージュブック
   EU ユーロ圏生産者物価指数 10月
   EU 財務相理事会


3日(木曜)
国内:法人企業統計調査 7-9月
海外:米 新規失業保険申請件数 先週分
   米 非農業部門労働生産性 7-9月 確定値
   米 ISM非製造業景況指数 11月
   米 チェーンストア売上高 11月
   EU ユーロ圏サービス業景気指数 11月
   EU ユーロ圏小売売上高 10月
   EU ユーロ圏GDP 7-9月 改定値
   EU ECB(欧州中央銀行) 政策金利発表


4日(金曜)
海外:米 雇用統計 11月
   米 製造業受注額 10月


個人的には、金曜に公表予定の米国の雇用統計、ドバイショックでエクスポージャーから最も影響を受けるとみられる欧州金融機関に関し、水曜のEUの財務省理事会、木曜のECBのトリシェ総裁の会見などに注目したいと思います。



2009年11月28日土曜日

ドバイショック

ドバイショックが注目を集め、日本の建設、銀行などの企業とドバイとの関わりが取りざたされています。


BIS(国際決済銀行)の統計によれば、UAE(アラブ首長国連邦)向けのエクスポージャーは、英国系金融機関が大きいようです。


UAEへの融資総額:1230億ドル(6月末時点)


1.英国:500億ドル
2.フランス:113億ドル
3.ドイツ:106億ドル
4.米国:106億ドル
5.日本:90億ドル


個別行では、英HSBCの融資額 175億ドル、英スタンダード・チャータード 78億ドルなどが大きいようです。


UAE向けエクスポージャーからすると、英国系金融機関にとって大きな問題と言えそうです。


なお、上記はUAE全体であり、今回注目を集めているドバイ・ワールドと系列の不動産開発会社ナヒールに限ったものではありません。
ドバイ・ワールドとナヒール向けのエクスポージャーは数百億ドルの模様です。


仮に、地域全体の問題と理解すれば、UAEだけでなく、近隣諸国にも目を向ける必要があるのかも知れません。


今後の推移が見守られるところかと思います。



11月の東京都区部の消費者物価指数

11月27日、公表された日本の11月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年比マイナス1.9%となりました。


食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合指数は前年比マイナス1.3%でした。


生鮮食品を除く総合指数は、今年4月以降前年比マイナスが続いており、
食料およびエネルギーを除く総合指数は、今年1月以降前年比マイナスが続いています。


ちなみに、前年比で上昇幅が大きかったもの、下落幅が大きかったものは下記の通りですが、景気に関わらず、日本では学習や医療といったサービスに対するニーズは強いように見えます。


前年比で上昇幅が大きかったもの


1.教科書・学習参考教材 +7.2%
2.乳卵類        +1.5%
3.保健医療サービス   +1.2%


前年比で下落幅が大きかったもの


1.他の光熱 -23.4%
2.教養娯楽用耐久財 -22.7%
3.ガス代 -10.8%


デフレという単語がマスコミを賑わしているようですが、個人的には、需給ギャップが大きいとしても、縮小傾向であれば、消費者物価のマイナス幅は縮小に向かうと考えます。


金融システムが十分に回復していない中での足元の円高は気になるところですが、需要が着実に回復に向かっていくならば、デフレが深刻化する懸念は弱まっていくと思います。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月27日金曜日

COP15への米中首脳の出席

12月に開催予定のCOP15(国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議)に各国首脳が出席する見通しです。


米国はオバマ大統領のCOP15への出席と、2005年比17%削減という目標を発表しました。


中国は温家宝首相のCOP15への出席と、2020年までに40~45%削減という目標を発表しました。


英国のブラウン首相、フランスのサルコジ大統領も出席の予定です。


ただ、COP15は12月7日から18日にかけて開催されるところ、各国首脳は全ての期間に出席するものではなく、前半に出席する首脳、後半に出席する首脳など一様ではありません。


会議の最大のヤマ場は最終日と言えますが、米国のオバマ大統領は前半に出席するので最終日には出席していません。


それでも、主要な温室効果ガス排出国である米国と中国が数値的な目標を示したこと、首脳が出席することは、前進と言えようかと思います。


温暖化をめぐる交渉の行方が注目されるところかと思います。



10月のユーロ圏のマネーサプライ

11月26日(現地時間)、公表された10月のユーロ圏のマネーサプライ(M3)の伸び率(季節調整済)は、前年同月比プラス0.3%となりました。


9月は同プラス1.8%、8月は同プラス2.5%、7月は同プラス3.0%であり、10月にユーロ圏のマネーサプライは大きく減速したと言えます。


10月のユーロ圏の民間向け貸出は前年比マイナス0.8%と9月の同マイナス0.3%からマイナス幅が拡大しました。


ECB(欧州中央銀行)は、インフレリスクを回避するために、流動性支援策を段階的に解除することを明らかにしていますが、今回の結果を見ると、自律的な景気回復力の弱い現状での流動性の解除は景気回復を失速させる懸念があるとの見方が強まるように見えます。


ユーロ圏の失業率の動向なども含め、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月26日木曜日

米国の10月の個人消費支出


11月25日(現地時間)、公表された米国の10月の個人所得は前月比プラス0.2%、個人消費支出は前月比プラス0.7%となりました。


個人の貯蓄率は4.4%、前月より0.2%マイナスとなりました。


個人消費支出の拡大は好ましい兆しであり、個人的には、個人貯蓄率の低下も歓迎される動きと思います。


同日に公表された米国の11月のミシガン大消費者信頼感指数(確報値)は67.4と、前月(70.6)より低下したものの、速報値(66.0)より若干改善しました。


ミシガン大消費者信頼感指数からすると消費者心理の改善は若干後退しているものの、個人消費支出や個人貯蓄率からすると個人消費が拡大に向かう可能性を示唆したように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



米国の10月の耐久財新規受注

11月25日(現地時間)、公表された米国の10月の耐久財新規受注は、前月比マイナス0.6%となりました。


事前の大方の市場予想では、プラスを予想していたところ、予想外のマイナスになったと言えます。


民間の設備投資の先行指標である、航空機を除く非国防資本財は同マイナス2.9%となりました。


先日(11月17日)に公表された米国の10月の設備稼働率が70.7%と、前月比プラス0.2ポイントと小幅ながらプラスになったことを併せてみると、米国の設備投資に対する厳しさがうかがわれます。


設備稼働率と併せ、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月25日水曜日

米国の11月のコンファレンス・ボード消費者信頼感指数

11月24日(現地時間)、公表された米国の11月のコンファレンス・ボード消費者信頼感指数は49.5、前月比プラス0.8ポイントとなりました。


期待指数は68.5、前月比プラス1.5ポイントとなりました。


コンファレンス・ボード消費者信頼感指数は10月まで2ヵ月連続でマイナスとなり、足元の米国の消費者マインドの悪化傾向を示していましたが、今回、プラスに反転したことからすると、悪化に歯止めがかかったように見えます。


足元の消費者マインドからすると、クリスマス商戦は厳しい状況が予想されるものの、先行きの消費者マインドと消費回復に期待するという状況にありそうです。


今後の推移を見守りたいと思います。



米国の9月のケース・シラー住宅価格指数

11月24日(現地時間)、公表された米国の9月のケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏)は、前月比プラス0.3%となりました。


主要10都市圏は前月比プラス0.3%でした。


これで、主要20都市圏が前月比でのプラスは5カ月連続となりました。


ただ、20都市圏で前月比プラスとなったのは10、マイナスになったのは10であり、全面的にプラスに向かっているという状況ではないようです。


好調な地域とそうでない地域があるようです。


個人的には、当分の間、地域間格差がありつつ、緩やかに不動産価格が回復していくシナリオをイメージしています。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年11月24日火曜日

ユーロ圏の11月のPMI

11月23日(現地時間)、公表されたユーロ圏の11月のPMI(購買担当者景気指数、速報値、総合)は、53.7、前月比プラス0.7ポイントとなりました。


サービス部門のPMIは53.2、前月比プラス0.6ポイント、
製造部門のPMIは51.0、前月比プラス0.3ポイントでした。


PMIは50が景気の先行きの分かれ目で、8月以降、50を上回っていることからすると、ユーロ圏の景気は回復基調が継続していると見てよいかと思います。


PMIの推移からすると、ユーロ圏ではサービス業の回復が先行しているようです。


今後の推移を見守りたいと思います。



米国の10月の中古住宅販売戸数

11月23日(現地時間)、公表された米国の10月の中古住宅販売戸数は年率610万戸、前月比プラス10.1%となりました。


これは、事前の大方の市場予想を上回るプラス幅だったと言えます。


当初、米国の初回住宅購入者向け税控除措置の期限は11月末までであり、延期が明確になったのは11月初旬であったことから、個人的には10月は駆け込み需要があったのではないかと想像します。


米国の中古住宅の価格中央値は前年比マイナス7.1%となりました。


この結果を、小幅なマイナスに留まったとみるか、需要の盛り上がりを見せてもマイナスとなったとみるか、微妙なような気がします。


米国の初回住宅購入者向け税控除措置の期限は延長されていることから、11月以降、当面は堅調に推移する可能性が高いと考えます。


価格の動向もあわせ、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月23日月曜日

インドネシアでフェリーが沈没

11月22日(現地時間)、インドネシアで、バタム島からドマイに向かっていたフェリーが沈没し、218人が救出されたものの、23人が死亡し、現在も行方不明者が存在するようです。


このフェリーは定期便で、バタム島とドマイの間を頻繁に行き来していました。


沈没の理由は、まだ明確ではないようですが、モンスーンの季節で、予期せぬ天候の変化があり、高波が影響したとの報道もあります。


最近、インドネシア中央銀行の副総裁が、中央銀行の発行する短期証券に関する外国人投資家の保有制限を検討していると発言し、インドネシアルピア通貨が下落するといった動きがありました。


これは、インドネシアに流入する投機的な国外資本を抑制するという趣旨によるもののようです。


インドネシアでは、投機的な国外資本が流入することで、インドネシアの株価や不動産などの資産価格が過度に上昇し、通貨高が輸出回復を妨げ、資本流入を促すという動きを懸念しています。


世界経済の回復にアジア諸国は大きな役割を果たしていると考えられますが、アジア諸国の通貨が上昇することで世界経済の不均衡を解消する必要性も指摘されています。


考えすぎと思いますが、今回のフェリー沈没は、悲しい出来事であり、インドネシア国民の心理を低下させるなどし、インドネシアの不安定要因は増えるのかも知れません。


今後の推移を見守りたいと思います。



イラクの議会選挙を実施するための法案に対する拒否権行使

先日(11月18日、現地時間)、イラクで、来年1月に予定されている議会選挙を実施するための選挙法案に拒否権が行使されました。


この拒否権行使の理由は、国外に逃亡したイラク人の権利が保障されていないとしているようです。


拒否権の行使により、来年1月に予定されている議会選挙は延期される可能性が高まっています。


仮に、延期となれば、イラクの治安情勢に影響を与え、結果として駐留している米軍の撤退スケジュールも延びてしまうのかも知れません。


イラクでは日本企業がイラク南部の巨大油田を開発する動きにあるなどしています。


イラクの治安情勢の動向によっては、こうした動きに水を差しかねません。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月22日日曜日

イランに対するIAEA草案

イランの核交渉、イランが貯蔵する低濃縮ウランを国外輸送し、研究用原子炉の燃料として返還するというIAEA(国際原子力機関)草案が合意できるかどうか、先行きは不透明のようです。


11月20日(現地時間)、国連安全保障理事会の常任理事国にドイツを加えた6カ国は、IAEA草案に関する基本合意をイランがまだ受け入れていないことに失望を表明すると共に将来の追加制裁の可能性を示唆しました。


外部から見ていると、今回、イラン側がIAEA草案を検討に至った要因の一つに、かねてイランとの対話を主張していたIAEAのエルバラダイ事務局長の存在があったように見えます。


エルバラダイ事務局長は、今月末に退任することから、個人的には、11月中に進展があるのではないかと期待していましたが、現時点では期待した動きにはないようです。


12月1日には日本の天野之弥氏が新事務局長に就任します。

天野氏は複雑で困難な問題を引き継ぐことになりそうです。


天野氏にエールを送りつつ、今後の推移を見守りたいと思います。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


23日(月曜)
海外:米 中古住宅販売件数 10月
   EU ユーロ圏景気総合指数 11月 速報値


24日(火曜)
国内:スーパー売上高 10月
海外:米 GDP 7-9月 改定値
   米 ケースシラー住宅価格指数 9月
   米 消費者信頼感指数 11月
   EU 鉱工業新規受注 9月


25日(水曜)
国内:貿易収支 10月
   企業向けサービス価格 10月
海外:米 MBA住宅ローン申請指数 先週分
   米 新規失業保険申請件数 先週分
   米 個人所得・個人支出 10月
   米 耐久財受注 10月
   米 ミシガン大消費マインド指数 11月
   米 新築住宅販売件数 10月


26日(木曜)
海外:EU ユーロ圏マネーサプライ 10月


27日(金曜)
国内:完全失業率 10月
   有効求人倍率 10月
   家計調査 10月
   消費者物価指数 東京都区部 11月中旬
   商業販売統計 10月
海外:EU 業況判断指数 11月
   EU ユーロ圏景況感指数 11月 速報値


月曜は日本の休日(勤労感謝の日)、木曜は米国の休日(感謝祭)です。個人的には、金曜に発表予定の完全失業率、家計調査、商業販売統計の内容などが気になります。



2009年11月21日土曜日

10月のコンビニエンスストア売上高

11月20日、公表された日本の10月のコンビニエンスストア売上高(既存店ベース)は、前年同月比マイナス5.5%となりました。


前年同月比でのマイナスは5カ月連続でした。


タスポ効果が切れたことが影響したと思いますが、10月としては過去最大の下げ幅となったことからすると、景気低迷による消費不振が少なからず影響していると思います。


全店ベースながら、食品のマイナス幅が大きかった(日配食品:マイナス3.5%、加工食品:マイナス4.6%、何れも前年同月比)ことからすると、コンビニエンスストアの収益構造の修正を促していくのかも知れません。


ただし、サービスはプラス3.4%と伸びていることからすると、コンビニエンスストアに対する消費者の潜在需要は拡大しているのではないかとも思います。


今後の推移を見守りたいと思います。



アフガニスタン カルザイ大統領の就任式

11月19日(現地時間)、アフガニスタンの首都カブールで、カルザイ大統領の就任式が行われました。


米国からは、クリントン国務長官が出席しました。


カルザイ大統領は、5年以内にアフガニスタンの治安を外国人部隊ではなく、自国が主導できるようになることを目指す旨を表明しました。


クリントン米国務長官は、アフガニスタンが治安に関する期待に応え、責任ある政府となること、また、不正に対して厳しい態度でのぞむことが必要であり、言葉ではなく行動が大切と発言しました。


かねてよりアフガニスタンでは汚職の横行が指摘されており、最近も、アフガン政府当局者が、鉱山開発の見返りとして中国企業から賄賂を受け取った疑惑が報道されています。


個人的な印象としては、治安の回復も汚職の一掃もアフガニスタンにとって解決は容易ではないと思います。


仮に、こうした点の問題が深刻化していくならば、米国のアフガニスタンへの支援は不安定になっていくのではないかと想像します。


アフガニスタン問題が解決に向かい、治安も回復していくことを願いつつ、今後の推移を見守りたいと思います。



2009年11月20日金曜日

米国の先週分(11月14日終了週)の新規失業保険週間申請件数


11月19日(現地時間)、公表された米国の先週分(11月14日終了週)の新規失業保険週間申請件数は50万5千件、前週比で変わらずとなりました。


4週間移動平均では、51万4千件、前週比マイナス6500件でした。


米国の失業率の先行指標である4週間移動平均の新規失業保険週間申請件数は、減少基調(=改善基調)にあります。


ただ、市場では、失業率が今後も増加するのではないかとの見方が出されています。


また、米国の失業率の改善は経済にとって好ましい事ですが、失業率改善は安全資産としての米国債の人気を低下させる面も指摘されています。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の10月の景気先行総合指数

11月19日(現地時間)、公表された米国の10月の景気先行総合指数(コンファレンス・ボード調査)は、103.8、前月比プラス0.3%となりました。


これで、前月比プラスは7カ月連続となりました。


ただ、9月のプラス幅が1.0%であったのに比べると、鈍化の兆しを示しているように見えます。


日本の同様の指標である景気先行指数(内閣府調査)は、景気の方向性を示す(DI)のに対し、米国の景気総合指数は、相対的な大きさやテンポも表す(CI)となっています。


そうしてみると、米国は景気回復基調にあるものの、そのペースは鈍化してきているようです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月19日木曜日

米国の10月のCPI

11月18日(現地時間)、公表された米国の10月のCPI(消費者物価指数、総合指数)は、前月比プラス0.3%となりました。


エネルギー・食品を除いたコア指数は前月比プラス0.2%でした。


何れも事前の大方の市場予想を上回るプラス幅だったと言えます。


今回、中古自動車及びトラック(プラス3.4%)の上昇が目立ちました。
ちなみに、新車はプラス1.6%でした。


思うに、米国政府による自動車買い替え支援策によって、新車市場が活性化し、中古市場に反映したのかも知れません。


今後の推移を見守りたいと思います。



米国の10月の住宅着工件数

11月18日(現地時間)、公表された米国の10月の住宅着工件数は年率52万9千戸、前月比マイナス10.6%となりました。


事前の大方の市場予想では、前月比プラスと予想していたところ、予想外のマイナスになったと言えます。


米国の住宅市場は、米国政府による支援策(初回住宅購入者向け税額控除措置)による効果が大きく、11月期限のところ、11月初旬に同支援策の延長が明確になった経緯があります。


今回の結果からすると、米国政府による支援策による効果は、市場が想定しているよりも大きいことの表れと見ることが出来るのかも知れません。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年11月18日水曜日

米国のオバマ大統領と中国の胡錦濤国家主席との会談


11月17日(現地時間)、訪中している米国のオバマ大統領は、中国の胡錦濤国家主席と会談し、共同で記者会見を行いました。


米国のオバマ大統領は、中国に対し、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世との対話再開を求めました。
この米国のチベット問題に関するコメントは、最小限度のものと言えます。


中国の胡錦濤国家主席は、米国に対し、米国は国内産業を安い製品から守ろうとしていると保護主義に反対すべきと強調しました。


米国は中国の資金を、中国は米国の市場を各々必要としており、経済に関する協調を優先した姿勢がにじんでいるように見えます。


今回の首脳会談では、為替問題も話し合われたようですが、共同声明には言及がありませんでした。


今後、米中関係は中期的に緊密化していくとみられるところ、まずは今回の首脳会談で合意に至った12月のコペンハーゲンでのCOP15(国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議)での米国を含む先進国の温室効果ガス削減目標と、中国など新興国も含む途上国の削減策が具体的に盛り込まれるのかどうか、ポスト京都議定書の行方が注目されるところかと思います。



米国の10月の鉱工業生産、設備稼働率

11月17日(現地時間)、公表された米国の10月の鉱工業生産指数(2002年=100)は、98.6、前月比プラス0.1%となりました。


前月比でのプラスは4ヵ月連続となりましたが、今回のプラス幅は事前の市場予想より小幅に留まったと言えます。


米国の10月の設備稼働率は70.7%、前月比プラス0.2ポイントとなりました。


一般に、設備稼働率が80%を超えると、設備投資が活発になる傾向があり、今回の公表結果である70%程度という水準は、まだ設備投資が活発になるような水準には達していないように見えます。


今回のこれら公表結果は、自動車産業の生産水準低下が影響しており、その背景には米国政府による自動車買換え支援策の終了があるようです。


市場には、自動車買換え支援策の終了によるインパクトはそれほど深刻にはならないとの見方があり、この見方に立てば、米国の鉱工業生産と設備稼働率は底堅く推移する可能性が高いと言えます。


米国製造業が自立的に回復していく力は未だ弱いものの、底割れするほどは弱いのか、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月17日火曜日

米国の10月の小売売上高

11月16日(現地時間)、公表された米国の10月の小売売上高は、前月比プラス1.4%となりました。


これは、事前の大方の市場予想を上回るプラス幅だったと言えます。


小売部門別にみると、自動車及び同部品は、同プラス7.4%と、小売売上高を牽引しました(自動車及び同部品を除く小売売上高は、同プラス0.2%でした)。


8月26日に米国政府による自動車買い替え支援策の終了を受け、支援策終了後の米自動車業界の動向が注目され、9月の自動車及び同部品は、マイナスでした。


今回の公表結果を見る限り、8月の自動車買い替え支援策終了後の反動は深刻なものにはならないのかも知れません。


米国の自動車需要は、買い替え支援策実施前の900万─950万台という水準を上回っていくのかどうか、行方が気になるところです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



日本の7-9月GDP

11月16日、公表された日本の7-9月GDP(実質国内総生産、速報値)は、前期比プラス1.2%、年率換算プラス4.8%となりました。


前期比でのプラスは2四半期連続、事前の大方の市場予想を上回るプラス幅となりました。


内需の寄与度は0.8%、外需が同0.4%でした。


自立的な回復にはまだ至っていないと考えられるところ、2次補正予算の行方が気になります。


菅直人副総理兼国家戦略担当相は1次補正の執行停止によって捻出された2.7兆円を基本に、2次補正予算の検討を進めているようですが、亀井担当相は上限を定めずに検討すべきとの発言をしています。


厳しい財政状況の中、民主党のマニフェストの実現なども考えると、2次補正予算規模はそれほど大きくできないように思えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月16日月曜日

コソボで地方選挙

現在、コソボでは地方選挙が行われています。


従来、セルビア系住民がボイコットしていましたが、今回の選挙は予想より高い投票率になっているようです。


コソボ独立は、日本や米国など63カ国が承認していますが、国連加盟192カ国の3分の1程度に留まっています。


今回の選挙は国際的な監視団も派遣されており、民主的な選挙が行われていることを国際的にアピールできれば、コソボ独立を承認する国が増えるのかも知れません。


ただ、最近(10月下旬)、来日したセルビアのイェレミッチ外相は、日本のマスコミとの会見で、コソボの独立は決して認められないとの立場をあらためて強調しました。


コソボは、将来のEU加盟等、欧州・大西洋統合を目標とし、国連等国際機関への加盟を目指していますが、一筋縄ではいかないようです。


現在、国際司法裁判所がコソボの独立宣言の正当性を審理しており、どのような結論が出されるのかが注目されます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国のオバマ大統領が、ミャンマー首脳と会談

11月15日(現地時間)、APEC出席のためシンガポールに滞在中の米国のオバマ大統領は、ミャンマーに対し、アウン・サン・スー・チーさんの解放を要請しました。


ミャンマーはAPECのメンバーではありませんが、今回、アメリカとの首脳会議に出席するため、軍事政権の首相がシンガポールを訪れたものです。


アメリカの大統領がミャンマーの首脳と同じテーブルにつくのは、1年前は考えられないことで、アメリカのミャンマーに対する政策転換による対話姿勢の表れと言えます。


アメリカの政策転換によってミャンマー軍事政権の民主化が進展するのかどうか、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月15日日曜日

シンガポール滞在中の鳩山首相の財政に関するコメント


11月14日、APEC出席のためシンガポールに滞在中の鳩山首相は、来年度の国債発行額を44兆円に抑えたいとあらためて表明したようです。


鳩山政権の経済政策は矛盾が指摘されるなど、明確さに欠けるとの見方がありますが、今後、2次補正予算に向けた動きも含め、鳩山政権の経済政策はより明確になっていくと思います。


期待を込めて今後の推移を見守りたいと思いますが、鳩山首相は、財政に関し、特別会計の見直しや現在行われている事業仕分けへの期待を表明しているようであり、直感的には、鳩山政権下で国債発行残高は膨張していく可能性は少なくないような気がします。


直感が外れることを祈ります。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


16日(月曜)
国内:GDP(国内総生産)7-9月 1次速報
マネタリーサーベイ 9月
製造業部門別投入・算出物価指数 10月
海外:米 小売売上高 10月
   米 企業在庫 9月
   EU ユーロ圏CPI(消費者物価指数) 改定値


17日(火曜)
国内:第3次産業活動指数 9月
海外:米 生産者物価指数 10月
   米 鉱工業生産 10月
   米 設備稼働率 10月
   EU ユーロ圏貿易収支 9月


18日(水曜)
国内:貸出先別貸出金 9月末
   石油等消費動態統計 9月
海外:米 MBA住宅ローン申請指数 先週分
   米 CPI(消費者物価指数) 10月
   米 住宅着工・建設許可件数 10月
   EU ユーロ圏経常収支 9月
   EU ユーロ圏建設支出 9月


19日(木曜)
国内:全産業活動指数 9月
   景気動向指数 9月 改定値
   鉄鋼生産 10月
   全国百貨店売上高 10月
海外:米 新規失業保険申請件数 先週分
   米 景気先行指標総合指数 10月


20日(金曜)
国内:コンビニエンスストア売上高 10月


個人的には、月曜に公表予定の米国の小売売上高に注目したいと思います。



2009年11月14日土曜日

EUのユーロ圏16カ国の第3四半期のGDP

11月13日(現地時間)、EUのユーロ圏16カ国の第3四半期のGDP(国内総生産)伸び率は、前期比プラス0.4%、EU加盟27カ国は同0.2%となりました。


ユーロ圏の回復を牽引したのは、ドイツ、フランスでしたが、スペインなどはまだ厳しい状況にあるようです。


今回の公表結果からすると、ユーロ圏はリセッションから脱却し、回復に向かっていると言えます。


先日(11月3日)、EUの欧州委員会は、ユーロ圏16カ国の2010年のGDP伸び率をプラス0.7%、2011年同プラス1.5%とする予測を発表しました。


今後、ユーロ圏内の各国の景気回復の動きは一様ではないと思いますが、ユーロ圏内の金融政策の舵取りはどうなるのか、今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の11月のミシガン大消費者信頼感指数

11月13日(現地時間)、公表された米国の11月のミシガン大消費者信頼感指数(速報値)は、66.0、前月比マイナス4.6ポイントとなりました。


11月のミシガン大消費者期待指数(速報値)は、63.7、前月比マイナス2.9ポイントとなりました。 


今回の公表結果をみる限り、米国の消費者心理はやや後退し、先行きの消費動向が厳しさを増す可能性を示唆しているように見えます。


11月11日、来日した米国の財務省のガイトナー長官は、記者会見で、強いドル政策を維持するとの立場を踏まえ、貯蓄率を向上させ、科学技術や教育に投資すると指摘しました。


米国の消費者心理が冷え込み、貯蓄率が高まれば、米国の消費支出は落ち込むと考えられます。


米国のクリスマス商戦の行方が気になります。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月13日金曜日

米国の先週の新規失業保険週間申請件数


11月12日(現地時間)、公表された米国の先週(11月7日終了週)の4週間移動平均ベースの新規失業保険週間申請件数は51万9750件、前週比マイナス4500件となりました。


先週分の新規失業保険週間申請件数は50万2千件、前週比マイナス1万2千件となりました。


4週間移動平均ベースの新規失業保険週間申請件数が減少傾向にあることは、先行きの米国の失業率の改善を示唆しており、好ましい兆しと言えます。


しかし、絶対的な水準は、過去に比べ高く、また、米国企業は雇用調整により効率性を回復しつつあるものの需要回復力は弱く、急激な回復が見通せる状況にないことなどからすると、歴史的にみて厳しい雇用情勢が続く可能性が高いように見えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



ロシア メドベージェフ大統領の年次教書演説

11月12日(現地時間)、ロシアのメドベージェフ大統領は、年次教書演説を行い、ロシア経済の現状に対し警告を発しました。

(注)年次教書演説では政治、外交についても述べましたが、ここでは省きます。

今回の世界的な経済変動でロシアは大きな打撃を受けましたが、回復に向けた動きが弱いのは、石油・天然ガスなど地下資源に依存する旧来の経済体質にあるとの理解を示しました。


そして、内閣に対して追加的景気対策を実施するよう求めるとともに、国営企業に会計監査を導入して透明化を図り、民営化を進める意向を表明しました。


ロシアは、資源大国とのイメージが強いですが、今後、ロシアは産業の多様化に取り組んでいく可能性がありそうです。


こうした動きが、競争促進に向かうのか、それともロシアの自国産業の保護強化に向かうのか、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月12日木曜日

11日に発表されたECB(欧州中央銀行)の論文から連想するもの

11月11日(現地時間)、ECB(欧州中央銀行)は、過度に緩和的な金融政策が続けば、インフレの可能性を高めるとする論文を発表しました。


この論文では、原油高はインフレの原因ではないとも指摘しています。


また、途上国ではプラスの需給ギャップも、インフレ発生に関連があるとしました。


今回の論文は、1960年から2006年を対象にしたもので、ECBの公式見解ではないものの、個人的には、量的緩和を継続しつつ金利を引き上げる選択肢を連想します。


今後の推移が見守られるところかと思います。



ドイツで働くエジプト人女性を殺害した犯人に対して終身刑

ドイツで薬剤師として働くエジプト人女性を殺害した犯人に対して終身刑が言い渡されました。


事件は、エジプト人女性が人種差別を受けたとして証言を行っていたところ、突然襲われ、数分後に死亡したものです。


今回の裁判は、ヨーロッパにおけるイスラム教徒に対する差別の象徴として特に中東で注目されていました。


景気は回復に向かっていると考えられますが、依然として厳しい雇用環境が続いているところ、人種差別の問題は顕在化しやすい環境にあるのではないかと想像します。


今後、差別問題に由来する凶悪事件が続かないことを祈りつつ、経済動向などの推移を見守りたいと思います。



2009年11月11日水曜日

長期金利の上昇

最近、長期金利の上昇しています。


英米でのイールドカーブのスティープ化(※1)が指摘されています。
※1.イールドカーブとは、債券投資における利回り曲線を言い、一般に横軸に債券の残存年数、縦軸に利回りとったグラフで表されます。そして、短期から長期にかけての曲線の傾きが急になること、短期金利と長期金利の差が大きくなることをイールド・カーブがスティープ化すると言います。


需給ギャップがマイナス圏にあることからデフレが懸念されていますが、イールドカーブのスティープ化に着目すると先行きのインフレが懸念されます。


最近、金や原油といった商品相場では上昇傾向にあります。


先進国経済は、回復傾向にあるものの自立的な回復段階には至っていないと考えられるところ、仮に、インフレとなれば、スタグフレーション(※2)に陥ることになりかねません。
※2.不況(Stagnation)と、インフレーション(Inflation)の合成語。景気後退期における物価上昇をいい、失業率が上昇する中で貨幣や預貯金の価値が低下するので、消費は低迷し、国民生活も大きく圧迫することになります。


今後の推移が見守られるところかと思います。



ドイツの11月のZEW景気期待指数

11月10日(現地時間)、公表されたドイツの11月のZEW景気期待指数は51.1、前月比マイナス4.9ポイントとなりました。


10月23日(現地時間)、公表されたドイツの10月のIFO独業況指数は91.9、前月比プラス0.6ポイントとなりました。

ドイツのZEW景気期待指数は、6カ月先の景気が良くなるか、悪くなるかを市場関係者にアンケート調査したものですが、IFO指数や鉱工業生産指数に対する先行指標と言えます。


10月23日に公表されたドイツの10月のIFO独業況指数は改善したものの、事前の大方の市場予想を下回る改善幅だったと言えます。


11月9日(現地時間)、ECB(欧州中央銀行)のトリシェ総裁は、世界経済は従来予想されていたよりも若干良好な水準の成長が確認されたと述べるなど、今後の金融政策の行方に注目が集まりました。


12月には、ユーロ圏経済に関するECBスタッフ予想が公表される予定であり、市場では成長率見通しが上方修正される可能性が指摘されています。


EU最大の経済大国であるドイツの経済指標等と併せ、今後の推移が見守られるところかと思います。




2009年11月10日火曜日

ベルリンの壁が崩壊して20年

11月9日は、ベルリンの壁が崩壊して20年を迎え、ベルリンでは記念式典が行われました。


式典には、ワレサ元ポーランド大統領、サルコジ・フランス大統領、ブラウン英首相、メドベージェフ・ロシア大統領、クリントン米国務長官らも出席し、ベルリンの壁崩壊を盛大に祝いました。


ドイツは、東西ドイツの経済格差解消のため、百数十兆円を投下し、東西の格差は大きく縮小してきていますが、依然として西に比べ、東の失業率は高いなどの状況にあるようです。


ドイツは日本にとり欧州最大の、また日本はドイツにとって中国に次ぐアジア第2位の貿易相手国であり、両国は強い経済関係にあります。


日本にとっても、ドイツの動向は影響が小さくないと言えます。


また、韓国と北朝鮮が統一したとすれば、東西ドイツのような推移が想定されるのだろうかなどと思います。

今後の推移が見守られるところかと思います。



ECB(欧州中央銀行)のトリシェ総裁がBIS会議後に記者会見

海外メディアによれば、11月9日(現地時間)、ECB(欧州中央銀行)のトリシェ総裁は、BIS(国際決済銀行)での会議終了後に記者会見をし、次のようにコメントしたようです。

①米経済は7-9月期にプラス成長になり、ユーロ圏経済もプラス成長が見込まれているなどの状況にある。世界の経済成長について、新興市場国が主導し従来予想よりも若干上向いているが、まだ安心するべき段階ではない。


②今後、物価安定確保に向け各国中銀は段階的かつ適切なタイミングで異例の措置を解除していく。


③引き続き世界レベルで銀行セクターのバランスシートの健全化に焦点を当て、資本基盤や株式発行など存在するすべての適切な手段を利用していく。


トリシエ総裁の会見の全文に目を通したものではないので、確かなことは言えませんが、以前のトリシエ総裁の慎重なコメントからすると、明るい表現をしているように感じます。


同日、ダウ欧州600指数は前週末比プラス1.9%と、資源株をはじめ大きく値上がりしました。


まだ先進国経済の多くは、各国政府の刺激策の効果が期待される段階と考えますが、自律的な回復が本格化する前に、資源価格が上昇し、物価に波及して金利が上昇するといった事態は考えたくないシナリオです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月9日月曜日

サウジアラビア軍は、イエメンとの国境付近の反政府武装組織を攻撃

11月6日(現地時間)、サウジアラビア軍は、イエメンとの国境付近の反政府武装組織を、領内侵犯をしたとして攻撃しました。


攻撃対象は、イスラム教シーア派の反政府武装組織で、イエメン北部で独立を求めている組織のようです。


サウジアラビア側は、今回の攻撃で、こうした組織が自国内に入り込むことを許さない姿勢を示したと理解できますが、イエメン内の紛争がサウジアラビアに関わることになったとも言えます。


サウジアラビアは、世界有数の石油輸出国であり、日本は輸入原油の約28%をサウジアラビアから調達(2007年)しています。


今後、イエメン内での独立紛争がサウジアラビアに波及していく懸念があり、推移が見守られるところかと思います。



中国・アフリカ協力フォーラムで、中国はアフリカ向け低利融資を表明

エジプトで開かれている中国・アフリカ協力フォーラムで、中国の温家宝首相は今後3年間にアフリカ向けに新たに100億ドルの低利融資を実施する考えを表明しました。


また、中国の温家宝首相はアフリカでのクリーンエネルギーのプロジェクトを多数予定していることを表明しました。


中国は、自国の経済成長に必要な資源を獲得するため、アフリカとの関係を強めています。


ただ、人権問題を抱える国に対する中国の資源外交は、欧米から批判の声が上がっている他、アフリカからも多くの中国人労働者がアフリカで働くことや安い中国製品がアフリカに入ることによって、アフリカ現地の雇用や産業が期待通りに伸びないなどの反発もあるようです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月8日日曜日

週明け後、来日予定の米国のオバマ大統領

週明け後、米国のオバマ大統領が来日の予定です。


先日(11月3日、現地時間)、オバマ大統領は、ホワイトハウスで、訪米中のドイツのメルケル首相と首脳会談を行い、コペンハーゲンで開く国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)までに、各国がさらに努力する必要があるとの認識で一致したようです。


オバマ大統領は、アフガニスタンの情勢安定に向けたドイツの軍部隊派遣などの協力にあらためて謝意を表明すると共に、米独関係を米欧関係の特別な支柱と評価しました。


現在、ドイツ国内ではアフガン撤退を求める世論が強まっているものの、9月の総選挙の結果、保守・中道連立政権になり、ドイツの派兵継続や増派の可能性が出ているようです。


ドイツのメルケル首相は、米国の上下両院合同会議で演説し、COP15で次期枠組み合意達成の必要性を強調すると共に、審議中の米温暖化対策法案の可決を急ぐよう議会に訴えました。


11月6日(現地時間)に開催された国連気候変動枠組み条約作業部会は、ほとんど進展なく閉幕しました。

2009年中のポスト京都採択に向け、約40カ国・地域の首脳が出席すると言われる12月にコペンハーゲンで開催されるCOP15(国連気候変動枠組み条約締約国会議)に注目が集まるところです。


今回のオバマ大統領の来日時にアフガン、温暖化問題、日米関係などに関連し、どういったメッセージが出されるのかなどが注目されるところかと思います。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


9日(月曜)
国内:マネタリーベース 10月
海外:EU 財務相会合


10日(火曜)
国内:国際収支 9月
   企業倒産 10月
   特定サービス産業動態 9月
   景気ウォッチャー調査 10月
   工作機械受注 10月
   米国ガイトナー財務長官 来日
海外:EU 独ZEW景況感指数 11月
   EU 財務相会合


11日(水曜)
国内:機械受注 9月


12日(木曜)
国内:米国オバマ大統領、来日
   企業物価指数 10月
   オフィス空室状況 10月
   マンション発売 10月
海外:米 MBA住宅ローン申請指数 先週分
   米 新規失業保険申請件数 先週分
   米 財政収支 10月
   EU ECB月報 11月
   EU ユーロ圏鉱工業生産 9月
   シンガポール APEC財務相会合


13日(金曜)
国内:鉱工業生産 9月 確報
   商業販売統計 9月 確報
   消費動向調査 10月
海外:米 貿易収支 9月
   米 輸入物価指数 10月
   米 ミシガン大消費者マインド指数 11月 速報
   EU ユーロ圏消費者物価指数 10月 改定値
   EU のユーロ圏GDP 7-9月 速報


週明け後、米国のガイトナー財務長官、オバマ大統領が来日、APEC財務相会合、同首脳会合が開催され、注目されるところかと思います。



2009年11月7日土曜日

米国の9月の消費者信用残高

11月6日(現地時間)、公表された米国の9月の消費者信用残高は年率換算マイナス7.2%となりました。


内訳としては、リボ払いがマイナス13.3%、リボ払い以外がマイナス3.7%でした。

これで、米国の消費者信用残高は8ヵ月連続で減少しました。


雇用統計の結果が厳しかったことからすると、高水準の失業率を背景に消費支出がさえない状況が続く可能性が高いように思います。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の10月の雇用統計

11月6日(現地時間)、公表された米国の10月の雇用統計によれば、米国の失業率は10.2%、非農業部門雇用者数はマイナス19万人となりました。


失業率、非農業部門雇用者数の何れも、事前の大方の市場予想より厳しい(=悪化)結果だったと言えます。


厳しい雇用統計の結果が公表されたことで、安全資産である金に注目が集まるなどしました。


厳しい雇用情勢から、米国政府による景気刺激策に期待が集まることになりそうです。


同日、オバマ大統領は、住宅購入者向け税制優遇措置の拡大や失業給付期間の延長などを盛り込んだ法案に署名したことを明らかにしました。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月6日金曜日

EUの9月のユーロ圏小売売上高指数

11月5日(現地時間)、公表されたEUの9月のユーロ圏小売売上高指数は、前月比マイナス0.7%、前年同月比マイナス3.6%となりました。


事前の大方の市場予想を下回る水準だったと言えます。


これで、ユーロ圏小売売上高指数は、16カ月連続の前年比マイナスとなりました。


昨年の9月にリーマンショックがあったこと、8月のリーマンショック前の前年同月比のマイナス幅は0.1%であり、今回はこれよりマイナス幅が拡大したことからすると、EUの小売市場は相当に厳しいように見えます。


先日(10月30日、現地時間)、公表された9月のユーロ圏失業率は9.7%、前月比プラス0.1%となり、1999年1月以来の高水準に悪化しました。


EUの失業率はさらに悪化するとの見方が出されており、EUの小売市場の厳しさが続く可能性は少なくないと思います。


今後の推移が見守られるところかと思います。



ECB(欧州中央銀行)は、政策金利を1.00%に据え置くと発表

11月5日(現地時間)、ECB(欧州中央銀行)は、政策金利を1.00%に据え置くと発表しました。


政策金利の据え置きは事前の市場予想通りの結果と言えます。


事前に市場で注目されていたのは、トリシェ総裁のコメントでした。


今回、トリシェ総裁は、1年物資金供給オペを年内で終了する考えを示唆し、欧州経済は年内にプラス成長を回復する可能性があると指摘しました。


市場では、ECBが出口戦略に向かっているとの見方が出され、ユーロ高(対ドル)、短期金利上昇の動きが出ました。


今後、12月のECBスタッフ経済予想などが注目されるところかと思います。



2009年11月5日木曜日

米国の先週分(10月30日までの週)のMBA住宅ローン申請指数

11月4日(現地時間)、公表された米国の先週分(10月30日までの週)のMBA住宅ローン申請指数(季節調整後、新規購入・借り換えを含む)は前週比プラス8.2%となりました。


4週間ぶりのプラスとなりました。


ただ、住宅ローン借り換え申請指数はプラス14.5%となったものの、新規住宅購入のためのローン申請指数はマイナス1.8%でした。


4週間ぶりのプラスは、米国住宅市場にとって好ましい兆しと言えますが、今回のプラスの要因は、住宅ローンの借り換え需要の高まりによるもののようです。


11月末に期限を迎える米国の住宅購入者向けの税額控除は、来年4月まで期限が延長される方向で検討が進んでいるようです。


今後、新規住宅購入のためのローン申請指数もプラスに向かっていく可能性が高いと思います。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国のFOMCは、米国の政策金利を据え置くと発表

11月4日(現地時間)、米国のFOMC(連邦公開市場委員会)は、米国の政策金利(フェデラルファンドレート)の誘導目標を0%~0.25%に据え置くと発表しました。


また、政策金利は、長期にわたり異例な低水準に維持する方針をあらためて示しました。


米国株式市場は、政策金利が据え置かれるかどうかが注目される中、FOMCの公表を前にして様子見の動きも見られましたが、公表を受けて、高い水準でもみ合いました。


今回のFOMC声明で、米国景気については、引き続き上向いているとの見方を示しました。


ただ、同日公表された米国の10月のADP雇用報告によれば、民間部門雇用者数はマイナス20万3千人となり、足元の厳しい雇用情勢を示した格好となりました。


米国景気が回復に向かう中で、何時、どの程度のペースで雇用が拡大していくのか、市場には来年初めにも雇用が拡大していくとの見方も出されています。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月4日水曜日

欧州委員会は、ユーロ圏の秋季経済見通しを発表

11月3日(現地時間)、EUの欧州委員会は、ユーロ圏の秋季経済見通しを発表しました。


欧州経済は2009年がマイナス4.0%、2010年がプラス0.7%、2011年がプラス1.5%と予測しました。


また、2011年に財政の出口戦略を開始する時期としました。


出口戦略の前提は、自律的な経済回復であり、今後の自律的な回復力やスピードが重要と言えます。


欧州では、チェコの憲法裁判所がリスボン条約はチェコの憲法に抵触しないとの判断を示し、リスボン条約に関する法的な障害は取り除かれ、チェコのクラウス大統領の署名を待つばかりとなりました。


欧州は、政治的にも経済的にも好ましい動きが出てきているように見えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



オーストラリアは、政策金利を0.25%引き上げ

11月3日(現地時間)、オーストラリアは、政策金利を0.25%引き上げ、3.50%と決定しました。


これで、オーストラリアは、2ヵ月連続の政策金利引き上げとなりました。


事前の大方の市場予想も、利上げを予想しており、大方の予想通りの利上げと言えます。


市場では、12月にも追加の利上げを行うとの予想が出されています。


利上げの背景にはオーストラリア経済の回復があり、オーストラリア政府による今年度(2009年7月~2010年6月)の経済見通しは、オーストラリアのGDP(国内総生産)成長率は、今年5月時点のマイナス0.5%から、プラス1.5%に上方修正されています。


順調に行けば、来年は各国で利上げが行われる見通しですが、経済の回復見通しにより利上げタイミングは異なってくると考えられます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月3日火曜日

米国の9月の中古住宅販売保留指数


11月2日(現地時間)、公表された米国の9月の中古住宅販売保留指数は前月比プラス6.1%となりました。


これで前月比でのプラスは8カ月連続となりました。


米国の中古住宅市場の先行指標である中古住宅販売保留指数のプラスが続いていることは、米国の先行きの中古住宅市場の回復を示唆するものと言えます。


ただ、中西部(8.1%)、南部(4.9%)、西部(10.2%)はプラスだったものの、北東部はマイナス2.0%と全ての地域でプラスになったわけではないこと、米国政府の新規住宅取得促進策初が11月30日に期限を迎えること、米国雇用情勢の大幅な改善は短期的に期待することは難しいと考えられることなどを勘案すると、このまま米国の中古住宅市場の回復が継続していくかどうかは、未だ確信が持てない状況にあると言えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の10月のISM製造業部門指数

11月2日(現地時間)、公表された米国の10月のISM製造業部門指数は55.7、前月比プラス3.1ポイントとなりました。


これで前月比でのプラスは3カ月連続となりました。


景気の分かれ目である50を3ヵ月連続で上回りました。


今回の結果は、非常に好ましいもので、米国景気の先行きの景気回復スピードは市場予想を上回っている可能性を示唆しているように見えます。


一方で、同日、米国のオバマ大統領は、米国の雇用状況の厳しさについて言及し、レバレッジをかけた消費拡大に否定的な見方を示したようです。


消費者が、貯蓄率を高めることを念頭に置いていると思われるオバマ大統領のコメントは、ある程度のレバレッジによる消費拡大を期待していると思われるバーナンキFRB議長の考え方と一致しないようにも見えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月2日月曜日

スーダンの指導者サルバキール氏が南スーダンの独立を支持する考えを表明

今般、スーダンの指導者サルバキール氏は、2年以内にスーダンの将来について行われる予定の国民投票に関し、南スーダンの独立を支持する考えを表明しました。


サルバキール氏は、南スーダンが北と統一すると、2級の市民になるからというのが、独立支持の理由のようです。


スーダンに関しては、アメリカが、2005年に調印された和平協定の履行を促すため、経済制裁を中心とした従来の圧力に加え、対話と国際社会による見返りを併用する新路線に転換するとの方針を明らかにしています。


ダルフール紛争を抱えるスーダン情勢は改善に向かうのかどうか、今後の推移が見守られるところかと思います。



イギリスで公的資金が投入された銀行の行方

イギリスで、公的資金が投入され、政府の強い影響下にあるRBS、ロイズ、ノザンロックの3行を売却し、銀行への新規参入を促すという考え方が出されているようです。


まずは、来年早々にノザンロックが対象になる可能性が高いようです。


売却先は、銀行業以外の会社が対象で、テスコ、バージンなどが候補に挙がっているようです。


ただ、公的資金を投入した銀行を安売りするのは適当でないという考え方も出されており、順調に売却にこぎつけるかはまだはっきりしません。


公的資金を投入された金融機関はイギリスだけの問題ではなく、世界各国に存在します。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年11月1日日曜日

パキスタンを訪問した米国のクリントン国務長官

過日、パキスタンを訪問した米国のクリントン国務長官は、テロとの戦いは、パキスタン自身の戦いでもあり、米国はこれを支援すると述べました。


パキスタンでは、クリントン国務長官訪問中にもペシャワールの市場で自爆攻撃があり、90人以上が犠牲となったようです。


こうした攻撃を通じ、パキスタン国内では、アメリカのテロとの戦いに疑問をもつ声があり、米国のクリントン国務長官のコメントはこうした事情を意識したものとみられます。


米国のクリントン国務長官は、大学生との対話などを通じ、反米感情の払拭に努めましたが、一方で、パキスタン政府がアルカイダ指導者の潜伏先を知らないというのは信じられない等、パキスタン政府への疑念も示しました。


クリントン国務長官の訪問は、両国の微妙な関係を浮き彫りにし、パキスタンの行方は混沌としいくのではないか、少し頭をよぎった次第にて、今後の推移を見守りたいと思います。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


2日(月曜)
国内:毎月勤労統計 9月 速報
   新車販売台数 10月
海外:米 ISM製造業景況指数 10月
   米 中古住宅販売成約指数 9月
   EU ユーロ圏製造業景気指数 10月 改定値


3日(火曜)
国内:祭日
海外:米 製造業受注 9月
   米 自動車販売台数 10月
   米 FOMC(連邦公開市場委員会)
EU 欧州委員会 経済見通し発表。
豪 オーストラリア中央銀行 金融政策決定会合


4日(水曜)
国内:マネタリーベース 10月
海外:米 MBA住宅ローン申請指数 先週分
   米 ADP雇用統計 10月
   米 ISM非製造業景況指数 10月
   米 FOMC 政策金利発表
  EU ユーロ圏サービス業景気指数 10月 改定値
   EU ユーロ圏生産者物価指数 9月


5日(木曜)
国内:鉱工業出荷内訳表 9月
海外:米 新規失業保険申請件数 先週分
   米 非農業部門労働生産性 7-9月 速報値
   米 チェーンストア売上高 10月
   EU ユーロ圏小売売上高 9月
   EU 欧州中央銀行 政策金利発表


6日(金曜)
国内:景気動向指数 9月
海外:米 雇用統計 10月
   米 卸売在庫 9月
   米 消費者信用残高 9月
   英 G20 財務相・中央銀行総裁会議(~11/7)


週明け後、米国では金曜に雇用統計が発表されます。また、イスラエル、オーストラリア、ノルウェーの中央銀行が政策金利を引き上げていますが、G20での会議内容なども気になるところです。



2009年10月31日土曜日

日本銀行は 展望リポート(経済・物価情勢の展望)を公表

10月30日、日本銀行は 展望リポート(経済・物価情勢の展望)を公表しました。


市場では、今回初めて公表される2011年度の日本経済見通しに注目が集まりました。


今回、日銀は、2011年度の経済見通し(大勢見通し)について、GDP成長率を2.1%、消費者物価指数(除く生鮮食品)をマイナス0.4%としました。


需給ギャップは改善に向かっていくと予想するもののマイナスは2010年度以降も続き、また、賃金は低下傾向が続いていく可能性が高いとの見通しと述べています。


景気に関しては、民間需要が依然として脆弱な状況との認識に立ち、各国政府の需要刺激策の効果が薄れていく場合には、景気が下振れるリスクがあると指摘しています。


今回の日銀の展望レポートに関し、2011年度の経済見通し、GDP成長率2.1%に注目が集まっているようですが、その前提は、グローバルな需要に関する企業の中長期的な成長期待が大きく下振れするという事態が生じない限りなどとしており、やや楽観的な前提を置いているように見えないこともないとの印象です。


2011年度の消費者物価指数予測をマイナス0.4%としたことにこそ、日銀の日本経済に対する見方が表れているように感じました。


今後の推移を見守りたいと思います。



米国の10月のミシガン大消費者信頼感指数

10月30日(現地時間)、公表された米国の10月のミシガン大消費者信頼感指数は、70.6、前月比マイナス2.9ポイントになりました。


先日、10月27日(現地時間)に公表された米国の10月のコンファレンス・ボード消費者信頼感指数は、47.7、前月比マイナス5.7ポイントとなったことと併せてみると、足元の米国の消費者マインドは厳しさ増したようです。


これからクリスマス商戦が注目されるところ、こうした消費者マインドをみると、米国の当面の消費動向は厳しく、米国小売の価格競争はより激しくなっていくのかもしれません。


また、消費者が貯蓄を増やしていく傾向が強まれば、米国の購買力は低下し、目先の米国の貿易赤字は縮小したとしても世界経済にとってはネガティブではないかと連想します。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年10月30日金曜日

米国の先週分の新規失業保険週間申請件数


10月29日(現地時間)、公表された米国の先週分(10月24日終了週、季節調整値)の新規失業保険週間申請件数は53万件、前週比マイナス1000件となりました。


4週移動平均は52万6250件、前週比マイナス6000件となりました。


4週移動平均のマイナス(=改善)は8週連続になったことからすると、米国の先行きの失業率は改善に向かっていくように見えます。


また、地域別の新規失業保険週間申請件数的を見る限り、カリフォルニアを除き、多くの地域で雇用情勢は改善の兆しを見せているようです。


ただ、確かに失業率の先行指標である米国の新規失業保険週間申請件数の4週移動平均は改善にむかっているものの、改善ペース(マイナス幅)は大きくないこと、仮に、クリスマス商戦が不調に終われば、小売業界のさらなるリストラが行われる可能性も否定できないと思われることなどを勘案すると、十分に確信が持てる状況とは言えないように思います。


今後の推移を見守りたいと思います。



米国の第3四半期のGDP

10月29日(現地時間)、公表された米国の第3四半期のGDP(国内総生産、速報値)は、前期比年率プラス3.5%となりました。


マイナスを続けていた米国GDPは、5四半期ぶりにプラスに転じました。


今回、プラスに転じた要因は、民間住宅投資(プラス23.4%)と個人消費(プラス3.4%)の伸びが大きかったと言えます。


プラスに転じたことは好ましいと言えますが、民間住宅投資は、米国政府の景気刺激策の成果が大きいなど、目先、自立的な回復に移行するかは微妙なように見えます。


同日、米国のFRB(連邦準備理事会)による国債買い切りオペが実施され、買い入れ総額は3000億ドルの上限に達し、買い入れオペは終了したようです。


今回の大幅な景気後退で、米国では多くの金融機関が破綻しましたが、米国の失業率は高く、今後も住宅ローンの焦げ付きは続き、米国金融機関のストレスになる可能性が高いと思います。


米国政府の景気刺激策の果たす役割は引き続き高いと考えられるところ、金融政策も含め、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年10月29日木曜日

米国の9月の新築住宅販売戸数

10月28日(現地時間)、公表された米国の9月の新築住宅販売戸数(戸建て)は、前月比マイナス3.6%となりました。


事前の大方の市場予想では、プラスを予想していたので、予想外のマイナスになったと言えます。


同日、公表された米国の先週分(10/23日まで)のMBA住宅ローン申請指数(季節調整後、新規購入・借換含む)は、前週比マイナス12.3%となりました。


ローン審査のかかる日数から逆算すると、米国政府による初回住宅購入者向け税控除の手続きが、期限の11月末までに間に合わないことがMBA住宅ローン申請指数がマイナスになった背景との見方が出されています。


米国の住宅市場は、最近数カ月の間、回復に向かっているとの見方にありましたが、政府の支援の果たす役割を改めて認識させられ、自律的回復は未だ遠いとの印象を受けました。


財政面の制約から、米国政府による初回住宅購入者向け税控除の延長は難しいとの見方にありましたが、最近では延長の可能性は高いとする見方が出ているようです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の9月の耐久財新規受注

10月28日(現地時間)、公表された米国の9月の耐久財新規受注は前月比プラス1.0%となりました。


航空機除く非国防資本財は前月比プラス2.0%でした。


耐久財新規受注統計は、景気、設備投資の先行指標と言え、今回、前月比プラスとなったことは、先行きの米国景気、設備投資が回復していく兆しと理解でき、好ましい結果と言えます。


ただ、一般に、耐久財新規受注統計は、月次の振れが大きく、一喜一憂するのは適当ではないと思います。


トレンドがどうなるのか、今後の推移を見守りたいと思います。



2009年10月28日水曜日

米国の8月のケース・シラー住宅価格指数


10月27日(現地時間)、公表された米国の8月のケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏)は、前月比プラス1.2%となりました。


これで4カ月連続のプラスとなりました。


8月の住宅販売保留指数が前月比プラス6.4%(10月1日(現地時間)公表、全米不動産業者協会)と、7カ月連続のプラスになったことを併せて考えると、米国の住宅市場は、価格低下による需要喚起の段階から進展し、住宅市場は回復に向かっているように見えます。


ただ、今年11月に米国の初回住宅購入者向け税控除措置が期限を迎える予定であり、12月以降のこれら指標がどのように推移するかが気になるところであり、見守りたいと思います。



米国の10月のコンファレンス・ボード消費者信頼感指数

10月27日(現地時間)、公表された米国の10月のコンファレンス・ボード消費者信頼感指数は47.7、前月比マイナス5.7ポイントとなりました。


事前の大方の市場予想では、横ばいを予想していたところ、市場予想に反してマイナスになったと言えます。


昨年の米国のクリスマス商戦は、大幅な値下げをしたにもかかわらず、振るわず、クリスマス商戦終了後に小売各社のリストラが加速しました。


今年のクリスマス商戦は、昨年よりも良好になり、売り上げは1~2%増加するとの予測も出されているようです(米ショッピングセンター国際評議会による9月27日時点の予想)。


直感的には、昨年が不振だった分、前年比では多少はプラスになってもよさそうなものとの印象ですが、米国の小売各社は、価格競争を行うようであり、昨年より多少は量が増えただけでは、売上は伸びないのかもしれません。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年10月27日火曜日

アフガニスタンの大統領選の決選投票に関する選挙管理委員会の委員長解任の要求

8月に行われたアフガニスタンの大統領選で、カルザイ大統領の得票が過半数に達しなかったことで、11月7日にカルザイ大統領とアブドラ元外相との決戦投票を行うことが決まりました。

これで安定に向かうかと期待されましたが、決戦投票を前にして混乱は続いているようです。


アフガニスタンのアブドラ前外相は、首都カブールの私邸で記者会見し、大統領選挙の決選投票に関する選挙管理委員会のロディン委員長を解任するよう要求しました。


アブドラ前外相は、選挙には透明性が必要であり、ロディン委員長は適任ではないとしています。


カルザイ大統領は、ロディン委員長の解任要求を拒否したようです。


米国のオバマ大統領は、アフガニスタンへの増派の検討など新戦略を検討していますが、民主党からはベトナム戦争の二の舞になるのではないかとの懸念が出され、共和党からはもっと迅速に増派を決定すべきと批判され、難しい立場にあるようです。


オバマ大統領は、アフガニスタン大統領選決選投票が行われる11月7日までに、新たなアフガン戦略を策定することは可能との見解を示しています。


米国経済は回復に向かっているものの、自立的な回復力は弱く、政府の景気刺激策が重要な状況が当面は続くと考えられるところ、オバマ大統領の指導力が重要と思いますが、アフガン問題の行方は、オバマ大統領の支持率に大きく影響する可能性があると推測します。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2 ■Re:リンクのお願い

10月26日(現地時間)、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争時のセルビア人組織の指導者のカラジッチ被告に対する国際裁判が開始されましたが、カラジッチ被告は欠席し、同日の審理は行われませんでした。


カラジッチ被告は、名前を変え、セルビアの首都ベオグラード市内に潜伏していたところを、昨年7月に逮捕されました。


1992年からのボスニア・ヘルツェゴビナ紛争によっておよそ25万人が犠牲になりましたが、カラジッチ被告は、非セルビア人の大量虐殺を命じた疑いがかけられています。


海外メディアによれば、今回、カラジッチ被告は、準備書類が不十分として欠席したとのことです。


10月15日、ボスニアは、国連安全保障理事会の非常任理事国に選任されましたが、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争という戦争を経験した国として安保理入りして平和に貢献することの意義は大きいと表明しています。


過日、日本メディアとの会見で、ボスニアは、エネルギー・自動車業界で日本との協力関係をより深めたい意向を伝えたようです。


ボスニアが悲しい過去に決着をつけ、前進していくことを期待しつつ、今後の推移を見守りたいと思います。



2009年10月26日月曜日

チュニジアで大統領選


10月25日(現地時間)、北アフリカに位置するチュニジアで大統領選が行われ、現職のベン・アリ大統領の当選が確実な情勢にあるようです。


ベン・アリ大統領は、1987年以降20年にわたり、大統領の職にあり、近代化・西欧化を推進する一方で、社会主義運動及びイスラム過激主義運動を弾圧し、政治的安定を維持してきました。


チュニジアは、穏健な親欧米国であり、欧米各国にとって好ましい選挙結果と言えます。


日本に関しては、アブデルワヘブ・アブダッラー・チュニジア外務大臣が、7月に訪日し、外相会談などを行い、日本とチュニジアとの二国間関係、国際場裡における協力、地域情勢等について幅広い意見交換を行い、日本の対アフリカ政策へのチュニジアの協力について確認するなどしました。

ただ、一般に洋の東西を問わず長期政権は大きな弊害をもたらす傾向があるところ、ベン・アリ大統領の長期政権を見ると懸念も感じないではありません。


チュニジアでは、下院選は議席数の75%がまず与党の立憲民主連合に割り当てられ、残りを野党などが競う仕組みとか、民主化の一層の推進が課題なように見えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



イラクの首都バグダッドで自爆攻撃

海外メディアによれば、イラクの首都バグダッドで自爆攻撃があり、少なくとも136人以上が死亡し、500人以上が死傷したようです。


今回の自爆攻撃は、爆弾を積んだ2台の車によるもので、グリーンゾーンの近くで起きました。


法務省庁舎や商店街などで多くの被害が出ているようです。


8月19日に起きたバグダッドでの爆弾テロとの関係が疑われているようです。


イラクでは、来年1月中旬に総選挙が予定されています。


今後、総選挙に向けて、こうした爆弾テロが増加していくのではないかと懸念されています。


爆弾テロに備えた検問を行っていたのに爆弾テロが発生したことについて、検問が機能していないではないか、あるいは、当局内部に抵抗勢力が入り込んでいるのではないかといった見方が出されています。


イラクで、次の総選挙が平和的に実施され、安定した政権ができるかどうか、イラクの治安の行方が見守られるところかと思います。



2009年10月25日日曜日

マイクロソフトが新しいOS、Windows7を発売開始

マイクロソフトが新しいOS、Windows7を発売開始し、多くのマスコミが盛んに取り上げています。


Windows7の特徴は、動作の軽快さとタッチパネル機能にあるようです。


マイクロソフトによれば、事前予約で前のOS(Windows Vista)の発売後3カ月の販売本数に達したとのことです。


テレビ放送を見ていたら、東海地区の銀行にWindows7が導入されていて驚きました。
一般に、金融機関は、技術的な問題が出るのを嫌う傾向が強く、評価の確立したOSを使うのが当たり前と思っていたからです。


アップルは、新型マウス(Magic Mouse)でマイクロソフトのWindows7に対抗するようです。


これから、年末商戦に向かいます。


年末商戦で売れる家庭用ゲーム機器は、景気の動きにあまり影響を受けない傾向があるところ、今回のマイクロソフトの新しいOSが起爆剤になってパソコンも売れ、広がりが出るのかどうか、今後の推移が見守られるところかと思います。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


26日(月曜)
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27日(火曜)
海外:米 ケース・シラー住宅価格指数 8月
   米 消費者信頼感指数 10月
   EU ユーロ圏マネーサプライ(M3) 9月


28日(水曜)
国内:商業販売統計 9月
海外:米 MBA住宅ローン申請指数 先週分
   米 耐久財受注 9月
   米 新築住宅販売件数 9月


29日(木曜)
国内:鉱工業生産 9月
   企業向けサービス価格 9月
   自動車生産台数 9月
海外:米 GDP(国内総生産) 7-9月 速報値
   米 新規失業保険申請件数 先週分
   EU 業況判断指数 10月
   EU ユーロ圏景況感指数 10月
   EU EU首脳会議(~10/30)


30日(金曜)
国内:完全失業率 9月
   有効求人倍率 9月
   家計調査 9月
   消費者物価指数 東京都区部 10月中旬
   住宅着工統計 9月
   建設工事受注額 9月
海外:米 個人所得・支出 9月
   米 雇用コスト指数 7-9月
   米 ミシガン大学消費者マインド指数 10月 確定値
   EU ユーロ圏消費者物価指数 10月 速報値
   EU ユーロ圏失業率 9月
   EU EU首脳会議

個人的には、米国のケース・シラー住宅価格指数、コンファレンスボード消費者信頼感指数、米国の耐久財受注、日本の鉱工業生産速報、消費者物価指数、完全失業率などが注目されるところかと思います。



2009年10月24日土曜日

ユーロ圏の8月の鉱工業受注

10月23日(現地時間)、公表されたユーロ圏の8月の鉱工業受注は、前月比プラス2.0%、前年比マイナス23.1%となりました。


同日、公表されたユーロ圏の10月の製造業PMI(購買担当者景気指数、速報値)は、50.7と、分かれ目である50を上回りました。前月は49.3でした。


ユーロ圏は、景気が回復に向かっていることが明確になりつつあるようです。


市場では、景気の2番底に陥る可能性を指摘する見方があります。

2番底を打つかどうかは、個人的には、各国政府の追加の景気刺激策が、適時適切に行われるかどうかが重要と推定します。

今のところ、各国政府は必要に応じた追加の景気刺激策に前向きな姿勢を表明しています。

ただ、具体論になった時、市場の期待する内容になるかどうかまではわかりません。

今後の推移を見守りたいと思います。



米国の9月の中古住宅販売戸数

10月23日(現地時間)、公表された米国の9月の中古住宅販売戸数は557万戸、前月比プラス9.4%となりました(全米不動産業者協会調べ)。


これは事前の大方の市場予想を上回るプラス幅と言えます。


市場では、政府による住宅取得促進策(初回住宅購入者向け税控除)による効果が大きかったとの見方が出されています。


ただ、この住宅取得促進策は11月末で終了する予定であり、終了後も中古住宅市場の回復が継続するかどうかは不透明な情勢にあります。


個人的には、米国政府が住宅取得促進策を継続することを期待しつつ、今後の推移を見守りたいと思います。



2009年10月23日金曜日

エチオピアで、長引く干ばつ

アフリカ東部に位置するエチオピアでは、長引く干ばつで食糧が不足し、緊急支援を必要としているようです。


エチオピア南部の干ばつ被害が特に深刻で、樹木や農作物が枯れ、収穫は困難な情勢にある模様です。


エチオピアでは、農業が雇用の約85%、国民総所得の約45%を占めている一次産品依存型経済であり、国際市況や天候に影響を受けやすい環境にあると理解されるところ、干ばつの影響は非常に大きいと考えられます。


こうした干ばつは、温暖化の影響との見方も出されているようです。


WFP(国連世界食糧計画)は、エチオピアには、当面、120万トンの食糧が必要との認識を明らかにしています。


エチオピアは、慢性的な貿易赤字にあるところ、海外で働くエチオピア人からの海外送金が国際収支の不均衡を是正していましたが、世界的な経済後退の影響で、雇用が悪化し、海外送金が減少傾向にあると言われています。


なお、アフリカ東部のケニア、ソマリア、タンザニア、ウガンダなども干ばつの被害が広がっているようです。


今回の世界経済の動向の影響、温暖化問題の重要性などを改めて認識した次第です。



米国の先週分(10月17日終了週)の新規失業保険週間申請件数

10月22日(現地時間)、公表された米国の先週分(10月17日終了週)の新規失業保険週間申請件数は、53万1千件、前週比プラス1万1千件となりました。


4週間移動平均の件数は、53万2250件、前週比マイナス750件でした。


米国の新規失業保険週間申請件数は、米国の失業率の先行指標であり、週により振幅が大きく、トレンドを見るには4週間移動平均が適当と考えます。


4週間移動平均は7週間連続して前週比マイナスになっており、米国の失業率悪化は峠を越えた可能性を示唆しているように見えます。


ただ、マイナス幅が小幅であることからすると、失業率悪化の峠は越えたとしても、改善ペースはごく緩やかなものになるように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年10月22日木曜日

米国のFRBは、ベージュブックを公表

10月21日(現地時間)、米国のFRB(連邦準備理事会)は、ベージュブック(地区連銀経済報告)を公表し、米国の大半の地区で経済状況の安定化もしくは小幅な改善が確認され、景気後退からの緩やかな回復が示されたとの認識を示しました。


今回のベージュブックでは、住居用不動産は、政府の支援策の効果などから改善してきているものの、商業用不動産に関しては厳しい見通しにあるとの認識を示しました。


ただ、前日(10月20日、現地時間)、公表された米国の9月の住宅着工件数は、事前の市場予想を下回り、前月比プラス0.5%にとどまり、また、10月21日(現地時間)、公表された先週分(10/16までの週)のMBA住宅ローン申請指数は、前週比マイナス13.7%と、2週連続で低下しました。


米国の住居用不動産は改善に向かっているものの、住宅建設は足元で軟調な模様であり、住宅ローン金利の上昇などから、先行きの住居用不動産の改善が減速する懸念もあり、地合はそれほど強くない微妙な情勢のように見えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



IAEAは、イランの核開発に対する懸念を低下させる合意に至る見通しと発表

10月21日(現地時間)、IAEA(国際原子力機関)のエルバラダイ事務局長は、イランとの間で、イランの核開発に対する国際社会の懸念を低下させる合意に至る見通しであると発表しました。


これは、イランが保有する濃縮ウランの内、約80%(※)をロシアなどイラン国外で再加工し、軍事転用しにくい形にしてイランに戻すという構想の模様です。

※イランの保有する濃縮ウランは、推定1000kg~1500kg、うち80%、800kg~1200kg程度がイラン国外で再加工の見通し。


イランは、前向きと受けとめられるコメントを公表しました。


順調に行けば、11月のIAEA理事会で正式承認される見通しです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年10月21日水曜日

米国の9月のPPI

10月20日(現地時間)、公表された米国の9月のPPI(生産者物価指数)は、前月比マイナス0.6%となりました。


事前の大方の予想では横ばいだったことから、予想に反してマイナスになったと言えます。


食品・エネルギーを除くコア指数は前月比マイナス0.1%でした。


PPIとCPI(消費者物価指数)との間には密接な相関があり、今回、PPIが予想に反してマイナスになったことは、CPIも同様の動きを示す可能性を示唆していると言えます。


PPIは、CPIと異なり、輸入品は対象になっておらず、その分、米国の国内の物価は引下げ圧力が高いのではないかと想像します。


デフレ圧力が高まっている可能性が示唆されたと考えると、米国の金融政策上、少なくとも低金利政策の継続が行われ、FRBが銀行システムに供給した大量の資金を引き上げる時期は遠のいたように見えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



アフガニスタン大統領選に関する決戦投票

10月20日(現地時間)、アフガニスタンで8月に行われた大統領選に関する決戦投票を11月7日に実施することをカルザイ大統領が受け入れました。


アフガニスタンの選挙管理委員会によれば、カルザイ大統領の得票率は49.67%と、過半数に達しませんでした。


11月に予定される決戦投票は、カルザイ大統領と次点のアブドラ前外相との間で争うことになります。


抵抗勢力による攻撃が激化する中、アフガニスタンの人々は再び命の危険を冒して投票することになります。


また、今回の決戦投票の公正さがどのようにして確保されるのかも重要と言えます。


カルザイ大統領は、次点のアブドラ前外相との連立政権樹立を目指すのではないかと思っていたので、意外な推移のように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年10月20日火曜日

アフガニスタンで8月に行われた大統領選の選挙結果での対立

アフガニスタンで8月に行われた大統領選の選挙結果について調査していた国連が支援する委員会とカルザイ大統領が指名した委員会が対立しているようです。


国連が支援する委員会は、8月の大統領選の選挙結果を精査したところ、不正な投票などを考慮すると、カルザイ大統領の得票率は50%を超えず、決戦投票を行う必要があると主張しているようです。


これに対し、カルザイ大統領は激怒し、カルザイ大統領が指名した委員会と国連が支援する委員会との話し合いは紛糾しているようです。


決戦投票を回避するとすれば、大統領選でカルザイ大統領に次ぐ得票率を確保したアブドラ元外相との連立政権を樹立することが考えられますが、カルザイ大統領は、連立政権にも否定的と言われています。


米国はアフガニスタンへの増派など戦略の練り直しを行っており、信頼できる合法的なパートナーが必要との立場です。


仮に、カルザイ大統領が決戦投票も連立政権も拒否し続けるとすれば、米国のアフガニスタン戦略再構築は進まず、両者の関係はこじれていくのではないかと懸念します。


結果として、日本のアフガニスタン支援問題も進捗しないという結果を惹起するのではないかと想像します。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国FRBのバーナンキ議長が講演

10月19日(現地時間)、米国のFRB(連邦準備理事会)のバーナンキ議長は講演で、米国の貿易黒字について言及しました。


先日(10月9日、現地時間)、公表された米国の8月貿易収支によれば、事前の大方の市場予想に反して貿易赤字は前月より縮小しました。予想外に輸入が減少したのが要因でした。


海外メディアによれば、今回、バーナンキ議長は、米国の国内の貯蓄率を高め、輸入業界を支援する政策により達成された貿易黒字は、資源配分をゆがめると指摘したようです。


所得が変わらないならば、国内の貯蓄率を高めれば、米国が海外のモノやサービスを購買する力は低下すると考えられ、購買力が無いのに輸入すると在庫が積みあがるように思えます。


バーナンキ議長は、失業率が改善するとしても非常にゆっくりしたペースであり、また、米国企業の生産性が向上したとしても、向上分は労働分配に回らず、企業の収益力向上が優先されるということを念頭に置いているように見えます。


また、バーナンキ議長は、財政面での出口戦略を策定する必要があることを指摘したようです。


財政面での出口戦略ということは、住宅取得の支援策などを政府が行わない状態に戻っていくことであり、米国経済が自律的に回復していくかどうかが重要と言えます。


単なる思い付きに過ぎませんが、バーナンキ議長が、失業率改善が非常にゆっくりしたペースでの改善を念頭に置いているとすれば、個人の貯蓄率はそれほど向上させる必要はなく、一定のレバレッジを維持していくことで米国経済を自律的に回復し、財政も改善に向かうと考えているように思えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年10月19日月曜日

イラン南東部で自爆テロ


10月18日(現地時間)、イラン南東部、パキスタン国境に近い町で、自爆テロがあり、多数の死傷者が出ました。


今回の自爆テロは、イランの革命防衛隊を狙ったもので、1名ないし2名の自爆テロ犯によるもののようです。


海外メディアによれば、イスラム教スンニ派、反政府武装組織"神の戦士"が、犯行声明を出したとのことです。


イランは、今回の自爆テロにアメリカが関与しているとして非難する声明を出しました。


これに対し、アメリカは関与を完全否定しています。


イランのアフマディネジャド大統領は今回狙われた革命防衛隊の出身で、側近にも同隊出身者を重用しています。


イランの核開発問題の解決に向けた動きは遠のくのでしょうか、今後の推移が見守られるところかと思います。



ボツワナの議会選挙で与党のボツワナ民主党が勝利

アフリカのボツワナで国民議会選挙が行われ、与党のボツワナ民主党(BDP)が勝利しました。


これでカーマ大統領は次期選挙まで5年の任期となります。


今回の選挙は、投票率も高く、円滑に行われたようです。


与党のBDPは、30年以上に亘り与党の位置にあり、安定しており、ボツワナの政治的な安定は続くとみられます。


ただ、カーマ大統領は1966年の独立後の初代大統領の子息であり、独裁化が進んでいるとの批判もあるようです。


ボツワナは、世界的なダイヤモンド産出国であり、アフリカで成功した国の一つに数えられています。


先日、日本の独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構は、オーストラリアの探鉱会社と、ボツワナでのニッケルやプラチナの共同探鉱で契約を結んだと発表しました。


従来、ボツワナと日本との経済関係は、それほど密接ではなかったところ、今後、両国の関係は発展していく可能性があると言えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年10月18日日曜日

アフガニスタンへの英軍の増派決定などから


現在、国際社会は、アフガニスタンに国際治安支援部隊を派遣していますが、タリバンの強い抵抗を受け、期待された成果が上がっていないようです。


先日(10月14日、現地時間)、英国のブラウン首相は、アフガニスタンに駐留する英軍部隊へ500人の増派を発表しました。

英国軍は、アフガニスタンに駐留する軍隊で米軍に次ぐ規模にあります。


10月14日、訪米した日本の長島政務官は、インド洋における海上自衛隊の給油活動を来年1月の法律の期限切れ以降、継続しない方針を表明しました。報道によれば、これに対し、米国のペロシ下院議長は懸念を示したようです。


10月15日(現地時間)、フランスのサルコジ大統領は、アフガニスタンに駐留する仏軍部隊への増派は考えていないと表明しました。


現在、米国のオバマ政権は、米軍の増派を検討しており、オバマ大統領は、10月13日(現地時間)の記者会見で今後数週間で結論を出すと述べていますが、米政府は、各国に対し、増派を含め、さらなる協力を要請していく可能性が高いと見られています。


日本政府は、既にアフガニスタンで民生分野での支援策検討を明らかにしていますが、米政府内には、日本に対し軍事的な貢献も必要という意見もあるようです。


日本は総選挙後、民主党政権になって、政策実行の透明感が増し、閣僚が自らの言葉で説明しようと努力しているように見える点で、個人的にとても好感を持っています。


ただ、アフガニスタン問題など外交問題は、国際社会の中で日本政府がどう役割を果たしていくかということなので、民主党政権の選挙民を向いた手法は、海外からすると、内向きで国際社会を向いていないと誤解される恐れもあるような気がします。


考えすぎかも知れませんが、特に、先の見えにくいアフガニスタン問題が深刻化した場合に、海外からの日本批判に結びつかないか、日本経済の回復には外需が重要なところ、国際政治が国内経済に影を落としはしないか少し心配です。


民主党政権に外交の適切な舵取りを期待しつつ、今後の推移を見守りたいと思います。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


19日(月曜)
国内:第3次産業活動指数 8月
   全国百貨店売上高 9月
   日本銀行支店長会議
海外:米 NAHB住宅市場指数 10月
   米 バーナンキFRB議長講演


20日(火曜)
国内:景気動向指数 8月 改定値
   コンビニエンスストア売上高 9月
海外:米 生産者物価指数 9月
   米 住宅着工・建設許可件数 9月


21日(水曜)
国内:主要銀行貸出動向アンケート調査 10月
海外:米 MBA住宅ローン申請指数 先週分
   米 地区連銀経済報告(ベージュブック)


22日(木曜)
国内:貿易統計 9月
   全産業活動指数 8月
   スーパー売上高 9月
海外:米 新規失業保険申請件数 先週分
   米 景気先行指数 9月
   米 住宅価格指数 8月
   EU ユーロ圏経常収支 8月
   中国 GDP 7-9月


23日(金曜)
海外:米 中古住宅販売件数 9月
   米 バーナンキFRB議長講演
   EU PMI製造業、サービス業景気指数 10月 改定値
  EU 鉱工業新規受注 8月


個人的には、日本銀行の金融政策の先行きをうらなう意味で、月曜の日本銀行全国支店長会議後の会見内容に注目するとともに、米国の金融政策に先行き関して、米国のバーナンキFRB議長の講演内容などが気になるところです。



2009年10月17日土曜日

米国の9月の鉱工業生産

10月16日(現地時間)、公表された米国の9月の鉱工業生産は、98.5(2002年=100)、前月比プラス0.7%となりました。


米国の9月の設備稼働率は、70.5%、前月より0.6%上昇しました。


何れも市場の大方の事前予想を上回る水準だったと言えます。


今回の公表結果を見る限り、米国の生産は堅調に推移しているようです。


しかし、同日に公表された消費者センチメントを表す指標からすると消費の先行きの回復が遠のいたように見えることからすると、米国の生産活動が自律的に継続して回復していくかどうかは微妙な気がします。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の10月のミシガン大消費者信頼感指数

10月16日(現地時間)、公表された米国の10月のミシガン大消費者信頼感指数(速報値)は、69.4ポイント、前月比マイナス4.1ポイントとなりました。


事前の大方の市場予想に反して低下(=悪化)したと言えます。


10月14日(現地時間)に公表された自動車・部品販売を除いた米国の9月の小売売上高は、前月比プラス0.5%となり、市場では先行きの消費支出拡大が期待されるところですが、今回の10月のミシガン大消費者信頼感指数の公表結果をみる限り、遠のいたとの印象です。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年10月16日金曜日

パキスタンで反政府勢力による複数の同時攻撃

10月15日(現地時間)、パキスタンで反政府勢力による複数の同時攻撃があり、多数の死傷者が出たようです。


攻撃を受けたのは、パキスタン第2の都市、ラフォールの政府の建物、警察の訓練センター、空港近くの警察などで、この他、パキスタン北西部で複数の自爆攻撃があったようです。


パキスタンでは、一時、治安が安定に向かうと見られていましたが、米軍によるタリバンの指導者殺害に対する報復攻撃が激化しているようです。


報道によれば、同日、パキスタン北西部で、米軍の無人機による爆撃があり、4人が死亡したようです。


パキスタン軍は本格的な掃討作戦を準備しているとも言われており、パキスタンでの治安は不安定な情勢が続く可能性が高そうです。


アフガニスタンの動向なども含め、今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の9月のCPI

10月15日(現地時間)、公表された米国の9月のCPI(消費者物価指数、総合指数)は、前月比プラス0.2%、前年比マイナス1.3%となりました。


エネルギー・食品を除いたコア指数は、前月比プラス0.2%、前年比プラス1.5%となりました。


新車価格は前月比プラス0.4%、前年比プラス1.6%となりました。

市場では、8月まで実施されていた政府の自動車買い替え支援策が終了した反動との見方が出されているようです。


ただ、中古車価格(自動車及びトラック)は、前月比プラス1.6%、8月が同プラス1.9%だったことからすると、米国の自動車流通価格が上昇しつつあることの表れかも知れません。


今回の結果を見る限り、デフレ圧力への懸念は緩和しているように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年10月15日木曜日

8月のユーロ圏の鉱工業生産

10月14日(現地時間)、公表された8月のユーロ圏の鉱工業生産は、前月比プラス0.9%となりました。


ほぼ事前の市場予想通りの結果だったと言えます。


ユーロ圏経済は最悪期を脱したと思いますが、先行きの景気回復の不透明感は拭いきれておらず、市場では、ECBは金融政策を維持していくとの見方にあるようです。


今後の推移を見守りたいと思います。



米国の9月の小売売上高

10月14日(現地時間)、公表された米国の9月の小売売上高は、前月比マイナス1.5%となりました。


自動車・部品販売が前月比マイナス10.4%と大幅なマイナスになったことが影響しました。


8月で政府の自動車買い替え支援策が終了したことが自動車・部品販売が大幅なマイナスになった要因と考えられます。


自動車・部品販売を除いた米国の9月の小売売上高は、前月比プラス0.5%でした。


市場では、これを好感し、先行きの消費支出が増加に向かう兆しとの見方が出ています。


ただ、先日(10月7日、現地時間)、公表された米国の8月の消費者信用残高が年率マイナス5.81%となったことからすると、米国の消費は依然として厳しい状況にあると考えられます。


また、10月14日(現地時間)、公表されたJPモルガンの第3四半期決算によれば、同社の消費者ローンの純貸倒償却は70億ドルとなり、前年同期の33億ドルから増加したことからすると、米国の金融機関による消費者向けローンの審査は、目先、厳しくなっていくように見えます。


こうしたことからすると、先行きの消費支出は改善するとしても、とても緩やかなペースになるのではないかと思います。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年10月14日水曜日

米国のクリントン国務長官は、ロシアでラブロフ外相と会談

10月13日(現地時間)、欧州歴訪中の米国のクリントン国務長官は、ロシアでラブロフ外相と会談しました。


クリントン国務長官の今回の欧州歴訪の最大のテーマは、イラン問題にあり、イランへの追加制裁についてラブロフ外相と話し合いました。


ラブロフ外相は、イラン核問題で米ロの立場は一致しているとした上で、イランへの追加制裁については、現在のところ、逆効果との認識を明らかにしました。


イランへの追加制裁に積極的なアメリカと慎重なロシアとの温度差が明らかになったと言えます。


しかし、ロシアが"現在のところ"と前置きをしたのは、今後に含みを持たせた表現であり、アメリカとロシアの考え方は従来より接近しているとして、イランへの追加制裁についてロシアの協力に期待する見方もあるようです。


イラン核問題は、中東和平につながる重要な問題であり、今後の行方が見守られるところかと思います。



ドイツの10月のZEW景気期待指数

10月13日(現地時間)、公表されたドイツの10月のZEW景気期待指数は56.0、前月比マイナス1.7ポイントとなりました。


事前の大方の市場予想では、前月比プラスを予想していたところ、予想に反してマイナスになったと言えます。


先日(10月8日、現地時間)、ECB(欧州中央銀行)は、政策金利の据え置きを決定しました。


市場では、ECBの出口戦略の行方に注目が集まっています。


今回、EU最大の経済規模を誇るドイツのZEW景気期待指数が市場予想に反してマイナスとなり、先行きのドイツの景気動向が市場が考えているより弱い可能性を示唆したと言えます。


こうした状況が続くとすれば、ECBが出口戦略に踏み出しにくいように見え、少なくとも、ECBの政策金利の引き上げは、少し遠のくのではないかとの印象を受けます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年10月13日火曜日

米国のクリントン国務長官が北アイルランドを訪問

10月12日(現地時間)、欧州歴訪中の米国のクリントン国務長官は、北アイルランドを訪問し、北アイルランドの第一首相と第二首相と会見しました。


第一首相と第二首相が同席するのは珍しいことのようです。


今年、二人の兵士と一人の警察官が殺害される事件があり、北アイルランド和平問題の行方が不安定になっています。


今回、クリントン国務長官は、北アイルランド議会で経済、政治、暴力について話し、和平プロセスの継続を訴え、政党間の合意を促しました。


今回のクリントン国務長官の訪問によって、政党間の合意にまでは至りませんでしたが、政党間の溝は少し縮まったのかも知れません。


今後の推移を見守りたいと思います。



パキスタン北東部のスワート渓谷で自爆テロ

10月12日(現地時間)、パキスタン北東部のスワート渓谷で、自爆テロがあり、多数の死傷者が出たようです。


パキスタンの治安部隊の車列が通過中、爆弾を大量に載せた自動車が爆発したものです。


タリバンが犯行声明を出したようです。


パキスタンに関して、政府は今年5月に、スワート渓谷のタリバンの掃討作戦を開始、成功を宣言していますが、その後、タリバンによる攻撃は続いています。


報道によれば、米国政府内にはアフガン問題に関し、パキスタン国内にいる国際テロ組織アルカーイダ掃討に焦点をあてるべきとの意見があるようですが、こうした動きがどのように影響するのかどうか、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年10月12日月曜日

米国のクリントン国務長官とイギリスのミリバンド外相が会談

10月11日、米国のクリントン国務長官とイギリスのミリバンド外相が会談しました。


会談後、イランがIAEA(国際原子力機関)による査察へ協力を表明したことについて、言葉だけでは足りないと指摘した上で、国際社会は無期限には待てないと述べました。


報道によれば、最近、イランの原子力庁長官は、イラン中部のコム近郊の第2のウラン濃縮施設に、新型の遠心分離機を設置する意向を明らかにしたようです。


こうした動きからイランと国際社会との紛糾は予想されていました。


国際社会とイランとの外交交渉が長引けば、イランの核開発は進んでしまう可能性があり、国際社会は難しい判断を迫られるのかも知れません。


まあそうはならないだろうと考えていたイランに対する軍事力行使が、先行き現実的なものになる可能性は無くはないのかも知れないという程度に可能性は上昇しているように見えます。


ノーベル平和賞を受賞した米国のオバマ大統領の判断が注目を集めていくことになりそうです。


今後の推移を見守りたいと思います。



岡田外相のアフガニスタン訪問

10月11日、日本の岡田外相は、アフガニスタンを訪問し、カルザイ大統領と会談しました。


岡田外相は、民生分野を中心とした支援を強化する方針を表明し、治安の向上や復興に向けて連携を深めることで一致したようです。


最近、アフガニスタンに駐留している米軍の司令官は、イスラム原理主義勢力タリバン排除のため、4万人の増派を求めています。


米国内では、タリバンはアフガニスタンの政治運動として根深く浸透しており、壊滅は不可能であり、アルカーイダと区別すべきとの意見も出されているようです。


最近、アフガニスタンの首都カブールでは、インド大使館を狙った自爆テロが行われました。


タリバンが犯行声明を出しましたが、背後にパキスタン軍統合情報部がいるとの見方もあるようです。


現在、アフガニスタンの治安向上に向け、どのようなアプローチが適切なのか、色々な見方が成り立ちうる状況にあるように見えます。


アプローチにより、日本の民生支援の意義は違ってくるのかも知れません。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年10月11日日曜日

最近の世界の石油需要見通し等

先日(10月9日、現地時間)、IEA(国際エネルギー機関)は、2010年の世界の石油需要見通しを上方修正し(従来の予想から日量15万バレル引き上げ)、2010年の石油需要は、日量8605万バレルになるとしました。


今回の見直し修正は、先行きの景気回復見通しを反映したとみられます。


OPEC(石油輸出国機構)の産油量は、8月から9月にかけて増加しているようです。


先日(10月6日、現地時間)、米国のEIA(エネルギー省エネルギー情報局)は、今年10-12月期の世界の石油消費量は、中国などの景気回復で消費が伸びるとの推計を発表するとともに、WTI(米国産標準油種)の冬季の平均価格(2009年10月~2010年3月)は、前年同期比で19ドル上昇するとの予想を明らかにしました。


最近(10月8日、現地時間)、英国の調査機関(UKリサーチカウンシル)は、2020年までに石油生産はピークを打ち、減少に向かうとの見方を示しました。


世界の景気見通しと石油の需要・価格は相関しているように見えるところ、長期的な見通しの影響なども含め、今後の推移が見守られるところかと思います。



週明け後の主な予定


週明け後の主な予定は次の通りです。


12日(月曜)
国内:祝日


13日(火曜)
海外:EU 独ZEW景況指数 10月


14日(水曜)
国内:企業物価指数 9月
   マンション発売 9月
   消費動向調査 9月
海外:米 MBA住宅ローン申請指数 先週分
   米 輸入物価指数 9月
   米 小売売上高 9月
   米 企業在庫 8月
   米 FOMC(連邦公開市場委員会)議事録
EU ユーロ圏鉱工業生産 8月


15日(木曜)
国内:マネタリーサーベイ 8月
   鉱工業生産 8月 確報
   商業販売統計 8月 確報
海外:米 新規失業保険申請件数 先週分
   米 CPI(消費者物価指数) 9月
   EU ユーロ圏CPI 9月


16日(金曜)
国内:毎月勤労統計 8月 確報
   特定サービス産業動態月報 8月
海外:米 鉱工業生産 9月
   米 設備稼働率 9月
   米 ミシガン大学消費者マインド指数 10月 速報
   EU ユーロ圏貿易収支 8月


個人的には、14日の米国小売売上高、企業在庫、15日の米国CPI、16日の9月米国鉱工業生産、設備稼働率などが注目されるところかと思います。



2009年10月10日土曜日

米国の8月の貿易収支

10月9日(現地時間)、公表された米国の8月の貿易収支によれば、米国の貿易赤字は307億ドルと赤字幅は縮小しました。


事前の市場予想では、米国の貿易赤字は3カ月連続で拡大するとの見方にあったところ、予想外の縮小となったと言えます。


輸出はプラス0.2%、1,282億ドル、輸入はマイナス0.6%、1,589億ドルでした。


事前の市場の見方としては、米国内の生産の増加に伴って、在庫も積み増し、また原油価格の上昇もあり、輸入はプラスになると見ていましたが、実際には、原油の輸入量がマイナス5.7%となるなどから輸入はマイナスになりました。


輸入が予想外にマイナスになったことは、米国の国内の需要が市場が考えているより弱いように見え、先行きの米国経済の回復ペースは鈍化していく懸念があります。


今後の推移が見守られるところかと思います。



8月の機械受注

10月9日、公表された日本の8月の機械受注によれば、船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比プラス0.5%、6681億円となりました。


前月比でのプラスは事前の市場予想通りでしたが、プラス幅は大方の予想より小幅に留まったと言えます。


製造業は前月比プラス4.9%、2346億円、非製造業(除く船舶・電力)は同マイナス0.6%の4368億円でした。


7-9月の民需受注見通し(除く船舶・電力)は前期比マイナス8.6%となっています。


市場では、民主党政権の政策を見極めた上でないと、設備投資に踏み切りにくいとの見方が出されているところ、民主党は、今のところ年内の補正予算の提出を行わない考えであることなどからすると、設備投資が動き出すにはもう少し時間がかかりそうです。


しかし、7-9月の機械受注の見通し達成率は上昇する可能性が高く、民主党が適時に適切な政策を打ち出せば、先行きの需要は強まっていくのではないかと思います。


まずは、9月の機械受注を確認しつつ、今後の推移を見守りたいと思います。



2009年10月9日金曜日

9月末のオフィスビル空室率

10月8日、公表された9月末の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィスビル空室率は、7.62%と前月比プラス0.05ポイントとなりました(三鬼商事調べ)。


大型新築ビルの空室率は、25.57%、前年同月比プラス17.65ポイントとなりました。
大型既存ビルの空室率は、7.23%、前年同月比プラス3.28ポイントとなりました。


大型新築ビルの平均賃料は、前年同月比マイナス13.11%となりました。
大型既存ビルの平均賃料は、前年同月比マイナス12.82%となりました。


市場では、値ごろ感のあるビルにオフィスを移す動きが依然としてあるとの見方があるようです。


過去、オフィス空室率は、景気回復に遅行して改善し、空室率が改善に向かった後に賃料の上昇に至るという状況にありました。


とすれば、空室率は先行き改善に向かっても良さそうですが、ただ、森ビルの調べによれば、2009年の東京23区内の大規模オフィス供給量は、87万㎡と過去平均の104万㎡を下回る水準になる見通しにあるものの、新規需要は3万㎡に留まる見通しにあり、空室率が改善に向かうのは2010年に入ってからになる可能性が高いようです。


この見方に立てば、オフィス賃料の上昇は来年以降になる可能性が高いと言えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の8月の卸売在庫

10月8日(現地時間)、公表された米国の8月の卸売在庫は、前月比マイナス1.3%となりました。


売上高は、前月比プラス1.0%、在庫/売上高の比率は、前月比マイナス0.03ヵ月となりました。


耐久財で最も売上高の前月比プラス幅が大きかったのは、自動車のプラス7.7%でした。

自動車の卸売在庫は前月比マイナス2.3%、在庫/売上高の比率は、前月比マイナス0.3ヵ月となりました。


なお、全体の卸売売上高は前年同月比マイナス17.7%となりました。


全体でみると、米国の卸売売上高は、経済後退前の水準には戻っていません。

市場では、経済後退前の水準に戻るまでには相当の時間を要するとの見方が出されています。この見方に立てば、当面の先行きの卸売在庫は、金融・経済政策に大きな変動が無い限り、卸売在庫が急激に大きく悪化するリスクは少ないとしても、改善ペースは緩やかになるように思えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年10月8日木曜日

8月の景気動向指数

10月7日、公表された日本の8月の景気動向指数(CI、速報値、平成17年=100)は、


先行指数:83.3、前月比プラス0.8ポイント、3カ月後方移動平均はプラス1.86ポイント
一致指数:91.4、前月比プラス1.6 ポイント、3カ月後方移動平均はプラス1.33ポイント
遅行指数:83.8、前月比プラス1.0 ポイント、3カ月後方移動平均はマイナス0.10ポイント


となりました。


一致指数の3カ月後方移動平均がプラス1.33ポイントとなったことからすると、景気は拡大局面にあると言えます。


また、先行指数も3カ月後方移動平均がプラス1.86ポイントになったことからすると、先行きに対し好ましい兆しを示していると言えます。但し、先行指数のプラス幅は6月から2カ月連続で縮小しており、先行き懸念も示しているようにも見えますので、手放しで好感することは難しいと思います。


今回の景気後退は、2009年3月までだったと判断される可能性は高いと思いますが、各種の景気刺激策に支えられた面が大きく、自律的な回復に向かうかどうか、個人的には、景気を主導する目立った産業が見当たらないなどから、当面は慎重に見た方がよいのではないかとの印象です。


今後の推移を見守りたいと思います。



米国の8月の消費者信用残高

10月7日(現地時間)、公表された米国の8月の消費者信用残高は年率マイナス5.81%、残高は金額で2兆4627億ドルとなりました。


最近数年間でみると、米国の消費者信用残高は年率4.1~5.6%(2004年~2007年、2008年は1.6%)程度のペースで増えてきました。


前月(7月)は年率マイナス9.1%だったところ、今回(8月)はマイナス幅が縮小しましたが、米国の消費は依然として厳しい状況にあることを表したと言えます。


また、今年の春、3%程度だった新車向けローン金利(New car loans at auto finance companies)は3%前後の水準でしたが、8月は4%を超えました(4.06%)。


失業率の改善がなかなか進まない中、仮に、ローン金利が上昇していくとすれば、米国の消費の改善は遠のいていくように思えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年10月7日水曜日

ルワンダのツチ族大量虐殺で国際的に指名手配されていた容疑者の一人がウガンダで逮捕

海外メディアによれば、ルワンダのツチ族の大量虐殺に関与したとして国際的に指名手配されていたニゼイマナ容疑者がウガンダで逮捕されたようです。


ニゼイマナ容疑者は、大量虐殺に関与し、また、ツチ族の象徴である女王をルワンダの国立博物館裏で殺害した容疑がかかっています。


ニゼイマナ容疑者には最高500万ドルの懸賞金がかけられていました。


ルワンダでは、1994年4月のハビヤリマナ大統領暗殺をきっかけにして、フツ族過激派によるツチ族及びフツ族穏健派の大虐殺が始まり、同年6月までの3カ月間に犠牲者は80~100万人に達したと言われています。


ツチ族の大量虐殺に関与した複数の容疑者は、ケニアに潜伏しているとみられており、今回の逮捕が他の容疑者逮捕に繋がるのではないかと期待する向きもあるようです。


国連によれば、1994年のルワンダ内戦では、50万人の女性がレイプされたとみられています。


過日(9月30日、現地時間)、国連の安全保障理事会は、紛争地でのレイプなど女性や子どもへの暴力停止を求める決議を全会一致で採択しました。


アフリカをはじめ世界の治安が安定に向かうことを期待して、今後の推移を見守りたいと思います。






世界銀行とIMFの共同声明

10月5日(現地時間)、世界銀行とIMF(国際通貨基金)は、共同声明を採択しました。


共同声明の内容は、世界銀行に対し、2010年までに必要な資本水準の評価を加盟各国に提示するよう求めました。


今回、世界的な経済・金融危機から、発展途上国からの支援要請が拡大する中、健全な財務内容を保ちながら追加支援に応じていく態勢づくりを目指したものです。


途上国から、世界銀行における発言力拡大に関する要望が出され、世界銀行の議決権の少なくとも3%を途上国に移譲する案を支持しました。


世界は、今回の経済・金融危機をきっかけにして、新たな体制構築に向かっているようです。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年10月6日火曜日

8月のユーロ圏の小売売上高

10月5日(現地時間)、公表された8月のユーロ圏の小売売上高は、前月比マイナス0.2%、前年比マイナス2.6%となりました。


同日公表された9月のユーロ圏サービス部門PMI(購買担当者景気指数、改定値)は、50.9と速報値から若干上方に修正されました。


9月のユーロ圏サービス部門PMIは景気判断の分かれ目となる50を上回り、先行きの景気回復に好ましい兆しを示しましたが、公表された8月のユーロ圏の小売売上高は、足元の経済状況は厳しいことを示したように見えます。


慎重に今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の9月のISM非製造業総合指数と項目別にみた印象

10月5日(現地時間)、公表された米国の9月のISM非製造業総合指数は50.9、前月比プラス2.5ポイントとなりました。


分かれ目である50を上回りました。


項目別では、新規受注指数は、54.2と前月比プラス4.3ポイントとなりました。


価格指数は、48.8と、前月比マイナス14.3ポイントとなりました。


総合指数が分かれ目である50を上回ったことは、景気の先行きに明るい兆しを示したと言え、特に、新規受注指数も50を上回ったことは、好感できます。


ただ、価格指数が前月比で大幅なマイナスになったことは、先日(9月16日、現地時間)に公表された8月の米国の消費者物価指数(食品・エネルギーを除く)が前年比プラス0.1%と小幅な伸びにとどまったことと合わせて考えると、デフレ圧力が強まっていることの表れのように見え、気になります。


個人的には、当面、需要が回復したとしても、その回復力は弱く、また回復したとしてもその水準は高くないと考えると、米国でデフレ圧力が緩和するには時間がかかるのではないかとの印象です。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年10月5日月曜日

イランへのIAEA査察

イランは、今月中にIAEA(国際原子力機関)からの査察を受け入れるようです。


国際社会は、先月末に発覚したイラン中部コムのウラン濃縮施設が核兵器開発に関わるものではないかとの疑念を持っています。


退任を目前に控えたIAEAのエルバラダイ事務局長は、平和目的と確認することが重要とし、楽観的な見通しにあるとみられます。


イランは、エルバラダイ事務局長の退任前に査察を受け入れたいとの意向のようです。


エルバラダイ事務局長は、エジプト出身、2005年にIAEAと共にノーベル平和賞を受賞した人物であり、イランの核開発疑惑問題は、外交によって解決すべきとの立場を鮮明にしています。


イランは、時間稼ぎをしているとの見方もあります。


現時点では、国際社会は政治的解決を図る見通しですが、最悪の場合、イランへの武力行使の可能性も全くないとは言えず、今後の推移が見守られるところかと思います。



ギリシャで国会議員の選挙

10月4日(現地時間)、ギリシャで国会議員の選挙が行われ、野党が勝利した模様です。


出口調査によれば、野党、中道左派のPASOK(全ギリシャ社会主義運動)は、過半数(全300議席の内、151~159議席程度)の議席を確保する見通しであり、保守のND(新民主主義党)を大きく引き離し、圧勝したようです。


今のところ、連立政権が発足する見通しのようです。


選挙前、ギリシャは、汚職、経済不況などの問題を抱えていました。


新政権は、経済不況から立ち直ることが最優先課題になるとみられます。


日本とギリシャの二国間関係は、伝統的に友好関係にあり、貿易面では日本からの輸入超過(乗用車、貨物船など)の状態が続き、直接投資の面では、現地法人も含め日系企業約20社がギリシャに進出しています。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年10月4日日曜日

1 ■こんにちは

10月3日(現地時間)、G7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)は、為替相場の安定に向けた協力していく旨の共同声明を公表しました。


声明の中で、持続的な回復が確保された際に実施する協力的で調和した出口戦略を設計することも明記されました。


日本の藤井財務相は、会見で、日本経済は依然として深刻な状況であり、出口戦略の議論は時機尚早との見方を示しました。


G20の存在感が高まっている中、G7はどうなるのか気になっていましたが、 G7は存続し、次回は2010年2月に開催するようです。


確かに、為替については、G7は相応の役割を果たしていけるのかも知れません。


個人的には、国際金融におけるG20とG7の役割分担が行われていくのか、G20は数が多すぎるので数の少ないG7は合意形成のしやすさからそれなりの役割を果たしていけるのではないのかとの印象ですが、今後の推移を見守りたいと思います。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


5日(月曜)
海外:米 ISM非製造業景況指数 9月
     EU PMIサービス業景況指数 9月 改定値
     EU ユーロ圏小売売上高 8月


6日(火曜)
海外:IMF年次総会 10/6-7


7日(水曜)
国内:景気動向指数 8月
海外:米 MBA住宅ローン申請指数 先週分
   米 消費者信用残高 8月
   EU ユーロ圏GDP 4-6月 確定値
   IMF年次総会


8日(木曜)
国内:国際収支 8月
   オフィス空室状況 9月
   企業倒産情報 9月
   景気ウォッチャー調査 9月
   工作機械受注額 9月 速報値
海外:米 新規失業保険申請件数 先週分
   米 卸売在庫 8月
   米 チェーンストア売上高 9月
   EU ECB(欧州中央銀行) 政策金利発表
英 BOE(イングランド銀行) 政策金利発表


9日(金曜)
国内:機械受注 8月
   特定サービス産業動態 8月
海外:米 貿易収支 8月


個人的には、金曜に公表予定の機械受注の内容を、設備投資の先行きを見る上で確認したいと思います。



2009年10月3日土曜日

アフリカのギニアでの抗議集会

最近、アフリカのギニアで、軍事政権に抗議する大規模抗議集会でギニア政府の治安部隊が発砲し、多数の死傷者が出ました。


この集会は、軍事政権トップのカマラ大尉が来年1月に予定されているギニアの大統領選に出馬する動きに反対したもので、海外メディアは5万人という大規模なものだったと報じています。


治安部隊の発砲は、この集会を解散させようとしたもののようです。


ギニアの軍事政権トップのカマラ大尉は、昨年、コンテ大統領の死亡直後に軍事クーデターを起こし、軍事政権を樹立しました。


ギニアでは軍事政権が続くことへの民衆の反発が強いようです。


今後、数ヶ月間、少なくとも、大統領選までの間、ギニアの政治的緊張は続く可能性が高いのではないかとの印象です。


ギニアは、世界の三分の一のボーキサイト埋蔵量を有するなど、地下資源に極めて恵まれている国であり、今後、世界経済が回復に向かうとすれば、資源国としての存在感は高まっていくと思います。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の9月の雇用統計

10月2日(現地時間)、公表された米国の9月の雇用統計によれば、米国の非農業部門雇用者数はマイナス26万3千人、失業率は9.8となりました。


米国の雇用者数は、21カ月連続でマイナスを記録しました。


8月の米国の非農業部門雇用者数はマイナス20万1千人であり、9月のマイナス幅は拡大しました。


今後、さらに悪化に向かうのか、一時的な落ち込みなのか、市場での見方は分かれているようです。


10月1日(現地時間)に公表された米国の9月のISM製造業部門指数が前月比マイナス0.3になったことからすると、さらに悪化するとしても目先は大きな落ち込みにはならないように見えます。


もし、市場の期待に反するネガティブな指標が今後も続くと、市場の不確実性は高まり、ちょっとしたきっかけで潜在的に市場が大きく下落する危険性があるのではないかと懸念します。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年10月2日金曜日

米国のFRBのバーナンキ議長の議会証言

10月1日(現地時間)、米国のFRBのバーナンキ議長は、議会で証言し、金融規制改革に関し、FRBが金融システム全体を監視するような体制を、FRBが支持したことはないと述べました。


個人的には、米国は金融監督をFRBに一元化するという議論で進んでいるとの理解でしたので、このバーナンキ議長の証言は意外な感じがしました。


今後、米国の金融規制改革によって、FRBがどのような位置づけになり、機能を果たしていくのか議論の推移を見守りたいと思います。


蛇足ながら、同日、バーナンキ議長は、議会証言の中で、米国の2010年の経済成長率が3%にとどまった場合、失業率は9%を超える水準が続く公算が高いとの認識を示しました。


同日、公表されたIMFの世界経済見通しによれば、米国の経済成長率は2009年はマイナス2.7%、2010年はプラス1.5%の見込みとしています。


現状、米国の失業率は、来年も厳しさが続きそうな情勢にありそうです。


失業率は景気の遅行指標とはいえ、米国の消費も当面、大きく改善することを期待することは難しいとの印象です。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の9月のISM製造業部門指数

10月1日(現地時間)、公表された米国の9月のISM製造業部門指数は52.6、前月比マイナス0.3ポイントとなりました。


大方の事前の市場予想では前月比プラスを予想していましたが、予想外のマイナスになったと言えます。


マイナスとはいえ、ほぼ横ばいで、また分かれ目である50を上回っています。


これは、ネガティブなニュースだったと言えます。


一方、ポジティブなニュースもありました。


同日、公表された米国の8月の個人所得・支出統計によれば、米国の個人消費支出はプラス1.3%、個人所得はプラス0.2%となりました。


これは何れも大方の市場予想を上回るプラス幅と言えます。


ただ、米国の個人消費に関して言えば、最近の米国の消費者マインドに関する指標が市場予想に反して悪い結果となったことや、米国の雇用関係の指標からすると、当面の先行きはそう楽観することは出来ないのではないかとの印象です。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年10月1日木曜日

インド・南アフリカの携帯電話会社の合併

海外メディアによれば、携帯電話でインド最大手のバーティ・エアテルと南アフリカ最大手のMTNグループの合併に向けた交渉がストップしたようです。


携帯電話でインド最大手のバーティ・エアテルと南アフリカ最大手のMTNグループは、合併を目指し、協議を進めていました。


ただ、今回の合併を成立させるためには、インドの企業法の改正が必要とされ、こうしたこともあって、合併の行方は、両国政府間の交渉次第と言われていました。


今のところ、合併交渉がストップした理由は明らかではありませんが、仮に、この合併が成立すれば、新会社の年間売上高は200億ドルを超え、契約者数も2億人を超える国際的な携帯電話会社が誕生し、世界最大手のチャイナモバイル、第2位のボーダフォンに続く世界第3位の携帯電話サービス会社となります。


インドでは固定電話のユーザーは3733万件に留まるものの、携帯電話の加入者は4億5674万件となっています。


インド国内の電話普及率は40%程度で、インド国内の携帯電話市場の成長余地は大きいと見られます。


今後の行方が見守られるところかと思います。



米国の9月のADP雇用報告

9月30日(現地時間)、公表された米国の9月のADP雇用報告によれば、米国の民間部門雇用者数はマイナス25万4千人となりました。


8月のマイナス27万7千人に比べ、マイナス幅は縮小しました。


事前の市場予想でもマイナスを予想していましたが、公表されたマイナス幅は、予想よりやや大幅だったと言えます。


足元の米国の雇用情勢は、悪化ペースが緩和しているものの、その緩和の度合いは市場が期待したほどではないという状況にあるようです。


9月29日(同)に公表された米国の消費者信頼感指数は、予想外の悪い内容でしたが、今回のADP雇用報告の結果からすると、米国の消費者のセンチメントの改善はあまり期待できないような印象を受けます。


まずは今週金曜に公表予定の米国の雇用報告が見守られるところかと思います。




2009年9月30日水曜日

米国の9月のコンファレンス・ボード消費者信頼感指数

9月29日(現地時間)、公表された米国の9月のコンファレンス・ボード消費者信頼感指数は前月比マイナス1.4ポイント、53.1となりました。


事前の大方の市場予想は、前月比プラスを予想していたところ、予想外のマイナスだったと言えます。


これは、ネガティブなニュースでした。


一方、ポジティブなニュースもありました。


同日、公表された米国の7月のケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏)は前月比プラス1.6%となりました。


事前の大方の市場予想は、前月比プラスを予想していたところ、予想通りのプラスだったと言えますが、プラス幅は大方の市場予想を上回るものだったと言えます。


米国住宅市場は安定に向かっているようですが、先行指標であるコンファレンス・ボード消費者信頼感指数が予想外の悪い結果となったのはやはり気になります。


米国の消費の行方が注目されるところ、米国雇用情勢、米国小売売上高など今後の推移が見守られるところかと思います。



東京都区部の9月の消費者物価指数

9月29日、公表された東京都区部の9月の消費者物価指数(2005年=100、生鮮食品を除く総合)は、前年同月比マイナス2.1%の99.7となりました。


食料及びエネルギーを除く総合指数は、前年同月比マイナス1.4%の98.8でした。


昨年に比べ、原油価格が下がっており、消費者物価指数は、前年に比べ下がるのは自然なことと思いますが、エネルギーを除いた指数でもマイナスとなりました。


需給ギャップが大幅マイナスになっている中で、厳しい雇用情勢の下、消費の節約志向が強まっていることが影響しているように思います。


仮に、この推測が成り立つなら、民主党が掲げる消費刺激策が適切に行われれば、物価下落を緩和させる可能性があるのではないかと考えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年9月29日火曜日

中国の8月の発電量

過日(9月11日)、中国国家統計局が発表した中国の8月の発電量は、前年比プラス9.3%となりました。


中国の発電量は、過去最高の水準に達しました。


中国の統計情報は、その正確性について、とかく色々な意見が出ますが、発電量は経済の温度を示す上で精度が高いのではないかと思います。


天候要因もあったようですが、中国の発電量が高水準で推移していることは、中国経済の好調さの表れと見えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



自民党に期待するもの

自民党の総裁選が終わり、谷垣禎一氏が新総裁に選出されました。


9月28日の両院議員総会で谷垣新総裁は挨拶を行い、今回の総裁選を通じてしっかり反省せよとの声が多いことを身に染みて感じたと同時に、自民党にはまだ果たすべき使命があるはずだ。しっかり頑張れとの声に、必ず応えなければならないと誓いを新たにしました。


谷垣新総裁は、もう一度国民の信頼を取り戻し、わが党が政権に復帰できるように全身全霊を傾けて職務に当たりたいと表明しました。


個人的には、長年の政権与党であった自民党は、その経験にもとづき、民主党政権に対し、適切な批判を行っていくことを期待します。


自民党の適切な批判によって、民主党政権が緊張感を持って、多数議席に驕らずに政策を遂行することに繋がり、また、自民党にとっても将来の政権奪取に向けた前向きな動きになると考えるからです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年9月28日月曜日

ドイツ連邦議会選挙

9月27日(現地時間)、ドイツで連邦議会選挙が行われ、投票が締め切られました。


出口調査によれば、


保守のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU) 33.5%
中道左派の社会民主党(SPD)22.5%
中道リベラルの自由民主党(FDP) 14.5%
左派(DIE LINKE) 13.0%
緑の党 10.0%


となっています。


選挙前政権は、 メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟と社会民主党の大連立政権でしたが、選挙前、何れも総選挙後は新たなパートナーと連立を組みたいとの意向を表していました。


メルケル首相は、中道リベラルの自由民主党と組んで、福祉に力を入れたいとの意向のようです。


出口調査からすると、キリスト教民主・社会同盟と社会民主党の両者を合わせた議席は半数程度になる見通しであり、これに、緑の党も加わるかもしれません。


中道左派の社会民主党は、惨敗となりそうです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



G20の声明文と行方

9月25日(現地時間)、米国で開催されていたG20は、閉幕し、景気刺激策を継続するとともに、世界経済の不均衡是正に向けて政策の協調・相互監視などに各国が取り組むことを表明した共同声明を採択しました。


世界経済は底打ちしてきているものの、これは各国政府の支援策によるところが大きく、持続的な景気回復が十分期待できる状況にはないというのが各国の共通認識のようです。


こうした認識を背景に、出口戦略の実行にはまだ時間がかかるとの共通理解のようです。


今後、G20は定例化し、新興市場国の存在感は高まっていくことが予想されます。


個人的には、今回の金融・経済危機を乗り切るまでの間は、G20の枠組みは機能するのではないかと思いますが、20カ国は多く、立場も異なるので利害が対立しやすいことからすると、合意形成まで時間がかかる枠組みのように見えます。


そうすると、かえって、例えば、米中の合意形成が重視されるようになるのかも知れません。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年9月27日日曜日

債務の返済猶予構想に思うこと


最近、亀井静香 郵政・金融担当相の債務の返済猶予構想に注目が集まっています。


この債務の返済猶予構想とは、資金繰りに苦しむ中小・零細企業や個人などの債務を3年程度繰り延べるというもののようです。


商工中金の中小企業を対象にした調べによれば、8月の資金繰りDIはマイナス9.3(前月マイナス9.8)と、調査開始以来最大の「悪化」超幅となった2月のマイナス20.0から6ヵ月連続で「悪化」超幅が縮小傾向にあります。製造業(マイナス12.9)は「悪化」超幅が拡大した一方、非製造業(マイナス6.4)は「悪化」超幅が縮小しましたた。


改善傾向にあるとしても、確かに、中小企業は資金繰りに苦しむ企業の方が多いようです。


高水準で推移する失業率などからすると、個人のローン返済負担も全体として厳しさを増していると推察します。


TVで亀井静香 郵政・金融担当相へのインタビューを見ている限り、ご自身は、資金繰りに苦しむ中小・零細企業や個人を何とか助けたいという思いによるもののようであり、その気持ちは理解できる気がします。


ただ、方法論が適切かどうかは検討の余地が大きいのではないかとの印象です。


特に、政策実行の負担を黄門様の印籠をかざし、上位下達で民間に負担させているとの誤解を生むような方法は、長い目でみて国民的な理解を得ることが難しく、効率も悪いのではないかとの印象です。


国際的に金融機関の自己資本規制の強化が見込まれる中、仮に、3年程度の借入金の返済を猶予する措置をとった場合、日本の金融機関は、却って与信の審査基準を強化せざるを得ず、日銀の金融政策が期待した通りの成果をあげられなくなるなど、亀井 郵政・金融担当相の期待と逆行する結果を惹起する可能性があります。


また、日本の金融機関の自己資本は脆弱と国際的に評価され、日本企業の海外での資金調達コストを上昇させ、結果として日本企業の国際競争力を低下させていく要因になり得ると推察します。


基本的には、中小・零細企業への金融支援は、金融機関の貸し倒れリスクを軽減するような一時的な保証制度の強化を行うとともに、新規製品やサービスを促進するような公的融資や助成制度を整備するといった地味できめ細かい対応が有効で、政治としては、ではどういった産業分野に重点配分するか、地方の活性化をどのように果たしていくのかなど、日本のグランドデザインを描いていくことが期待されるのではないかと思います。


個人的には、民間活力を引き出すようなインセンティブを与えていくことで、財政負担も少なく政策効果を上げていくことが重要ではないかと思います。


モラトリアムまで踏み込む気概があるならば、さらに踏み込んで、期待される新規製品やサービスを促進するような企業の税負担を一定期間軽減したり、期待される新規製品やサービスを促進するための新たな雇用に必要な資金を一部負担したりといった措置を行っても良いのではないかとの印象です。


鳩山新政権への国民の期待は大きく、期待を大きく裏切らないで欲しいというのが自分の率直な気持ちです。


政策実行の負担を黄門様の印籠をかざし、上位下達で民間に負担させているとの誤解を生むような方法は、長い目でみて国民的な理解を得ることが難しいのではないかとの印象にあるのは、亀井 郵政・金融相のモラトリアム構想だけの問題ではなく、他の閣僚の方の政策の中にも同様の印象を受けるものが存在します。


全くの誤解にもとづく杞憂と思いますが、政権交代を経て民衆主体の新たな時代に向かうと思ったら、お上意識の江戸時代へ逆行したのではないかとの思いが一瞬かすめましたが、幅広い議論を経れば、そうした誤解も解消していくと信じています。


鳩山新政権の見ている目線、方向が正しくとも、方法論が適当でないと期待した成果が得られないばかりか、マイナスを生むことさえあるのではないか、そうならない為に、必要な議論を経て、適切な方向に向かって、適切な方法で取り組まれることを期待したいと思います。


今後の行方を見守りたいと思います。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


28日(月曜)
海外:EU 欧州委員会 バローゾ委員長 講演


29日(火曜)
国内:消費者物価指数 東京都区部 9月中旬
海外:米 ケース・シラー住宅価格指数 7月
   米 消費者信頼感指数 9月
   EU 業況判断指数 9月
   EU ユーロ圏信頼感指数 9月
   EU Eurofi金融フォーラム 9/29-10/1


30日(水曜)
国内:鉱工業生産 8月
   毎月勤労統計 8月 速報
   石油統計 8月
   自動車生産台数 8月
   住宅着工統計 8月
   建設工事受注額 8月
海外:米 MBA住宅ローン申請指数 先週分
   米 ADP雇用統計 9月
   米 国内総生産 4-6月 確定
   EU ユーロ圏消費者物価指数 9月 速報
   EU ECB(欧州中央銀行)トリシェ総裁 講演


10月1日(木曜)
国内:日銀短観 9月調査
   商業販売統計 8月
   新車販売台数 9月
海外:米 新規失業保険申請件数 先週分
   米 個人所得・消費支出 8月
   米 ISM製造業景況指数 9月
   米 中古住宅販売成約指数 8月
   米 自動車販売台数 9月
   米 バーナンキFRB議長 議会証言
   EU PMI製造業景況指数 9月 改定
   EU ユーロ圏失業率 8月


2日(金曜)
国内:完全失業率 8月
   家計調査 8月
   日銀短観 9月調査 全容
   マネタリーベース 9月
海外:米 雇用統計 9月
   米 製造業受注 8月
   EU ユーロ圏生産者物価指数 8月


個人的には、市場で改善を見込んでいる米国のISM製造業景況指数が市場の期待通りに改善するかどうか、また、来週末のG7を前にした欧米の金融関係者の発言、米国の雇用統計などが注目されるところかと思います。



2009年9月26日土曜日

8月のユーロ圏マネーサプライ(M3)の伸び率

9月25日(現地時間)、ECB(欧州中央銀行)が発表した8月のユーロ圏マネーサプライ(M3)の伸び率(季節調整済)は、前年同月比プラス2.5%となりました。


先日(9月16日、現地時間)、EU統計局が発表した8月のユーロ圏CPI(16カ国のEU基準消費者物価指数、改定値)は、前年比マイナス0.2%となりました。


これらからすると、マネーサプライが十分でなく、デフレ圧力が強まっているように見えます。


しかし、ユーロ圏CPIは、エネルギー・食品を除くコア指数は前年比プラス1.2%だったことからすると、前年のエネルギー価格の上昇が大きかったためにユーロ圏CPIは前年比マイナスになったもので、デフレ圧力は強まってはいないとの見方も成り立ちそうです。


個人的には、失業率が高く、需給ギャップがマイナス圏にある現状からすると、ユーロ圏の各国政府による各種の経済支援策が途切れた時にどうなるのかが気がかりです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



中米ホンジュラスのセラヤ前大統領が強行帰国

先日(9月21日、現地時間)、今年6月のクーデターで国外追放された中米ホンジュラスのセラヤ前大統領は、強行帰国しました。


セラヤ前大統領は、平和的な対話で問題を解決したいと語り、ホンジュラスのブラジル大使館に身を寄せているようです。


報道によれば、セラヤ前大統領が突然帰国してから同国の首都テグシガルパの一部では暴動が発生し、すでに2人死亡したとのことです。


暫定政権側は、セラヤ前大統領帰国の直後に外出禁止令を発令しましたが、23日には解除するなど、対応を軟化させているようです。


セラヤ前大統領は、海外メディアのインタビューで、ミチェレッティ暫定大統領側から妥協案が提示されたがこれを拒否したと述べました。


妥協案は、セラヤ前大統領、ミチェレッティ暫定大統領の両氏が退き、第三者を大統領とする内容だったとのことです。


現在のところ、セラヤ前大統領と暫定政権との対話が開始されたものの、進展はない状況です。


アリアス・コスタリカ大統領は、国際社会の支持を受けホンジュラス問題解決のため当事者間の仲介を行っており、7月22日、セラヤ大統領の復帰、国家和解のための政府の設置、政治犯の恩赦等を含む「サンホセ合意案」をセラヤ前大統領、「暫定政府」側双方に提示しました。


セラヤ前大統領は9月7日に「サンホセ合意案」の受け入れを表明する一方、「暫定政府」側は依然受け入れを拒んでいます。


このまま解決が長引けば、ホンジュラスの治安はさらに悪化に向かう可能性が高いと思われます。


対話による早期の解決を期待しつつ、今後の推移を見守りたいと思います。