今日は2010年の大晦日です。
歳末の時期、12月29日、こんなことがありました。
午後9時半頃、地下鉄の切符売場で、切符を買っていたところ、隣の券売機に向かって中年男性が「無理に決まっているだろ、ふざけやがって」とつぶやきながらチケットを買っている人がいました。その人は、改札に向かって歩きながら、つぶやくような叫ぶような声を繰り返しつつ、早歩きで歩いて行きました。どこか背中は寂しそうでした。
それからごく短い時間が経過した後、東京の地下鉄は空いていて、座席に座って文庫本を読んでいたところ、どかどかと大きな音をたて、荷物を下ろしたような音が聞こえました。ふと見ると、20歳台後半とおぼしき女性が大きな荷物を横にどっかと座り、クリームパンのような菓子パンをほおばっていました。
再び、文庫本を読んでいたところ、件の女性が、大きな声で「どこみてんだよ何か言いたいことでもあるのかよクソジジイ」とちょっとびっくりするような大きな声で叫びつつ、走っている車両の中を小走りに歩き、列車と列車の間のドアを乱暴に開けていきました。
同じ車両に乗り合わせた10数人は、一様に彼女に目が釘付けでした。
何れもごく僅かな瞬間の印象で、思い込みに過ぎないかも知れませんが、お二人とも、人の良さそうな顔つきの方がどこか苦しいような表情を浮かべているように見えました。
このお二人の出来事、地下鉄の切符売場での出来事から乗っていた地下鉄車両の中の出来事に遭遇するまで、15分ほどの間の事でした。
歳末の地下鉄でのたまたまの出来事だったのでしょうが、どうしようもなくストレスを抱えた人が多いのだと感じました。仕事なんだから仕方ない、世の中は甘くない、そういうことかも知れません。
しかし、その場に居合わせた自分は、率直なところ、どこか不自然な、やりきれない思いを強く感じました。きっと個人ではどうしようもない、社会の大きな流れや仕組みが影響しているような重苦しさを連想しました。
年の終わりに、来年の歳末は、明るい表情、笑顔の人が印象に残るようなそんな年になることを望みます。