3月4日(現地時間)、ICC(国際刑事裁判所)は、現職のスーダン元首であるバシル大統領に逮捕状を出したと発表しました。
現職の国家元首にICCが逮捕状を出すのは初めてです。
バシル大統領がスーダン国内に留まる限り、逮捕の実行は難しいようです。
今回の逮捕状は、ダルフール紛争に関連し、バシル大統領が、アラブ系民兵にカネを払い、自国の複数の民族を殺害したことや強姦などが含まれているようです。
ダルフール紛争では、30万人以上が死亡し、今も250万人が難民キャンプに身を寄せているようです。
現地では、大統領を支持する民衆が集まるなどの動きにあり、内政干渉との声も聞こえます。
ICCメンバーとの会見に関する海外メディアのTV放送で、その発言を聞く限り、今回の逮捕状は、世界各国のメンバーで検討の上、最終的にICCの裁判官3名で決定したもので、逮捕状を出すに至った手続きは適正に行われたとの印象です。
ところで、スーダンでは、過日(3月3日)、中国が全面支援したダムが完成したばかりです。
TV放送で同ダム完成の式典を見ましたが、バシル大統領は、満面に笑みをたたえ、米国に嫌われても、中国がいるから大丈夫といった内容を表明するなどしていました。中国の代表者は祝辞を述べていました。
従来、中国は、アフリカに対する積極的な資源外交を展開しており、このスーダンのダムもそうした流れの一環のようです。
スーダン情勢は、ある意味で今後の国際情勢を象徴しているような気がしており、個人的には、資源価格が再上昇する前、景気後退期にこうした問題が安定することを願いつつ、今後の推移を見守りたいと思います。