3月29日、ロシア・サハリン沖の資源開発事業サハリン2から、ロシアで初めてLNG(液化天然ガス)の輸出が開始されました。
今回の輸出分は、東京ガス、東京電力向けのようです。
日本はサハリン2で生産されるLNGの約6割を輸入する予定ですが、これは天然ガス国内消費量の7-8%に相当します。
サハリン2の出資企業は次の通りです。
・ガスプロム(ロシア、50%+1)
・ロイヤル・ダッチ・シェル(イギリス・オランダ、オペレーター、27.5%-1)
・三井物産(日本、12.5%)
・三菱商事(日本、10%)
サハリン2の推定埋蔵量は次の通りです。
石油:約7.5億バレル(約1.03億トン)
��ンデンセート※:約3億バレル(約0.4億トン)
(※天然ガス抽出等の過程で得られる原油)
天然ガス:約17.7兆立方フィート(約5,000億立方メートル)
雑誌記事によれば、サハリン1は、パイプラインを通じ、天然ガスを中国に輸出する計画だったところ、ロシア側が全量を中国向けの10分の1以下ともいわれる安値で、ロシアのガスプロムに卸すよう求めているとのことです。
ちなみに、中国のLNG市場は、今後20年間、アジアのLNG市場のなかで最も高い成長力を持つ市場と想定されているようです。
そう聞くと、日本と中国で天然ガス資源を取り合う関係になるのではとの懸念が連想されます。
しかし、独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構は、中国のLNG市場と日本のLNG市場とは、その性格、位置づけが大きく異なるため、競合する可能性は低いと指摘しています。
すなわち、同機構の調べによれば、日本と中国は、LNG市場としての機能、役割が異なり、国内にエネルギー資源をほとんど持たない日本は、長期契約のLNGに対して高い価格を支払う。世界のLNG事業者にとって、安定した数量のLNGを高い価格で購入してくれる日本市場は魅力的であるとしています。
一方、中国は、国内に石炭という代替エネルギー資源を持つために、輸入LNGに高い価格を支払う意思はないようです。
サハリン2の初出荷は喜ばしいニュースです。ただ、日本は、構造的にエネルギー問題にどう取り組むかが重要な国家戦略と言えようかと思います。エネルギー価格は昨年来急落しましたが、このような時こそ中長期のエネルギー戦略を確実に進めることが重要なのではないかと思った次第です。