過日、法律に関するシンポジウムで研究報告を聴く機会がありました。
これは、東京大学のグローバルCOEプログラムによるソフトロープロジェクトです。
ソフトローとは、東京大学のHPによれば、国の法律ではなく、最終的に裁判所による強制的実行が保証されていないにもかかわらず、現実の経済社会において国や企業が何らかの拘束感を持ちながら従っている規範を指します。
現代のビジネスローにおいては、このような一見つかみどころのないソフトローが膨大に存在し、また実際にも重要なウエイトを占めており、企業活動のありかたを大きく左右しています。
現在、世界的な金融市場の混乱と急速な景気後退に見舞われています。
そして、こうした状況に陥った要因を分析、対応が検討・実行となりますが、議論の趨勢によっては、金融市場での規制のあり方や市場経済のあり方が大きく変わる可能性があると思います。
急速に変化する状況に対し、立法を待っていたのでは、対応が後手に回る可能性がある中で、ソフトローの議論の中に何かインプリケーションを得ることができるかも知れないと思ったところでした。
東京大学の山本隆司教授の報告の中で、行政法の立場から、ハードローとソフトローの交錯について説明があり、特に、手続段階における役割や成果の関係が興味深かったですが、自分自身の問題意識に落とし込んで消化するまでには至りませんでした。
世の中は変わっていく、目に見えるものだけではなく、今、目にすることのないものも変わっていくのだと思います。
今後、出来る限りアンテナを高くして、変化の行方を見守って行きたいと思います。