先日(5月3日、現地時間)、パナマで大統領選が行われ、野党 民主改革党 党首のマルティネリ氏が初当選しました。
パナマでは、過去、与党民主革命党とパナメニスタ党の2大政党による政権交代が定着していましたが、今回の大統領選挙では、第3勢力が政権を得ることになりました。
パナマは、第1次及び第2次産業が脆弱で、消費財、生産財の大半を輸入に依存しており、貿易収支は恒常的に赤字となっています。
貿易赤字の多くはパナマ運河、港湾、観光及び金融センター等に関するサービス収支、及び資本収支により補われています。
最近、パナマでは金融危機による海上物流の停滞に伴ってパナマ運河の通航収入は減少しており、パナマ経済への影響が広がっているようです。
次期大統領のマルティネリ氏は、同国最大手のスーパーを経営で、選挙戦では、経済危機に対処するため、高速道路やパナマ市の地下鉄の建設など、大規模公共事業を訴えました。
治安悪化や経済格差に不満を持つ中低所得者を中心に支持を集めたようです。
次期大統領の就任は7月1日、任期は5年です。
パナマは、米国との関係が経済及び安全保障にとって極めて重要であり、1999年のパナマ運河の返還、駐留米軍撤退後も良好な関係の維持、発展に努めてきています。
パナマの対日貿易は、2007年貿易統計によれば、対日輸出 16億円(マグロ、魚粉、植物など)、対日輸入 1兆148億円(船舶、乗用車、一般機械、電気機械)と圧倒的に日本からの輸入が多くなっています。
また、日本はパナマ運河の利用国としては第3位です。
次期政権を獲得した第3勢力は、経済的に重大な課題に取り組むことになりますが、日本にとって一定の関係を有するパナマの政治、経済情勢の行方が見守られるところかと思います。