2009年5月31日日曜日

改善に向かう中小企業の景況感

過日(5月27日)公表された商工中金の中小企業月次景況観測によれば、5月の景況判断指数は34.1と、前月(30.8)から上昇しました。


これで、4ヵ月連続の上昇となりました。

ただ、「好転」「悪化」の分岐点とされる50を26ヵ月連続して下回っています。

ちなみに、製造業は32.2と前月比4.9ポイント上昇、非製造業は35.6と前月比2.1ポイント上昇でした。

6月は全産業で37.4と上昇が見込まれます。

中小企業の景況感は、依然として極めて低い水準ではあるものの、急速に改善に向かっているようです。

今後の推移が見守られるところかと思います。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


1日(月曜)
国内:毎月勤労統計調査 4月
海外:米 個人消費支出 4月
   米 ISM製造業景況指数 5月

   米 オバマ大統領 自動車メーカーに関するメッセージ


2日(火曜)
海外:EU 失業率 4月


3日(水曜)
海外:米 ISM非製造業景況指数 5月
   米 バーナンキFRB議長議会証言


4日(木曜)
国内:法人企業統計 1-3月
海外:EU ECB理事会
   EU BOE政策金利公表
   米 バーナンキFRB議長講演


5日(金曜)
海外:米 雇用統計 5月


週明け後、GM問題の行方と6/1に予定されているオバマ大統領のメッセージが注目されるところかと思います。



2009年5月30日土曜日

2ヵ月連続のプラスとなった鉱工業生産指数

5月29日、公表された4月の鉱工業生産指数は74.3、前月比プラス5.2%と2か月連続の前月比プラスとなりました。


生産の上昇に寄与した業種は、電子部品・デバイス工業、化学工業(除.医薬品)、輸送機械工業等でした。


品目別にみると、普通乗用車、鉄道車両、橋りょうの順に上昇に寄与しました。


また、製造工業生産予測調査によると、5月、6月とも上昇を予測しています。


公表された内容を見る限り、生産は持ち直しの動きにあるように見えます。


鉱工業生産指数とGDPは、相関が強く、過去、景気の谷では鉱工業生産指数がGDPより大きく伸びる傾向があります。


こうしたことからすると、日本の4-6月のGDPがプラスになるとの見方が強まるのではないかと思います。


今後の推移が見守られるところかと思います。



前年比変わらずとなった5月のEUのCPI

5月29日(現地時間)、公表されたEU(欧州連合)の5月のCPI(消費者物価指数)は、前年比で変わらず(プラスマイナスゼロ)となりました。


事前の大方の市場予想では前年比プラスとしていたと言えます。


市場では、6月のCPIは、マイナスを記録するのではないかとの見方が出されているようです。


個人的な印象として、ECB(欧州中央銀行)はデフレの脅威を過小評価しているのではないかと感じています。


過去の日本の場合からすると、一旦デフレに陥ってからの対策には相当の困難が伴うので、事前の予防策が重要と言えようかと思います。


ECBは、今月、ユーロ建てのカバードボンド買い入れ実施を表明していますが、買い入れ枠の引き上げまたは買い入れ対象の拡大に踏み切るのかどうかなど、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年5月29日金曜日

前月比プラスとなった米国の耐久財新規受注

5月28日(現地時間)、公表された米国の4月の耐久財新規受注は、前月比プラス1.9%となりました。


3月の耐久財新規受注は前月比マイナス0.8%からマイナス2.1%に下方修正されました。


一般に、米国の耐久財新規受注は、景気の先行指標として理解され、景気の底入れに先行して上昇する傾向があります。

その意味で、4月の耐久財新規受注が、前月比プラスとなったことは好ましい兆しと受けとめられます。

ただ、米国の耐久財新規受注は、月次の振れが大きい傾向があり、単月の動きに一喜一憂することは適当ではないと思います。


米国自動車メーカーGMの再建の行方も気になるところかと思います。


個人的には、期待をこめて、今後の推移を見守りたいと思います。



米国債への懸念

最近、米国債の行方に注目が集まっています。


米国は景気対策や金融システムの安定化のため、財政支出を高めており、その財源としては、米国債に大きく依存しています。


世界経済にとって米国の存在感は大きく、仮に、米国債に懸念が生じれば、米国の景気や金融システムに悪影響が出る可能性があります。


5月21日、格付会社スタンダード・アンド・プアーズは、英国債の格付けについて安定的からネガティブに引き下げ、今後格下げになる可能性を示唆しました。


市場では英国債に続き、米国債の格下げ可能性を連想しました。


5月27日、格付会社のムーディーズは、米国債の格付けをトリプルAで据え置き、格付け見通しを安定的としました。


来週、米国のガイトナー財務長官は中国を訪問する予定です。


中国は、米国債の主要な買い手の一角を占め、米国債の最大の保有国となっています。


ガイトナー財務長官は、今回の訪中で、米国債の安全性や健全性について、中国当局者に説明する見通しです。


一般事業会社が格下げになれば、債券発行による資金の調達コスト(利率)は上昇します。国の場合も発行コストは上昇し、為替は下落することになります。


取り敢えず、ムーディーズは、米国債の格付けをトリプルAで据え置いたことなどで、米国債に対する懸念が後退したとしても、米国の財政状態や現状の景気を考えると、解消には至らず、懸念はくすぶり続ける可能性が高いのではないかと思います。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年5月28日木曜日

パキスタンでの爆弾テロ発生と気になる世論の行方

5月27日(現地時間)、パキスタン東部のラホールで、爆弾テロがあり、多数の死傷者が出たようです。


報道によりますが、およそ23人から30人が死亡し、、250人から300人以上が負傷した模様です。


現時点では推測の域を出ないようですが、今回の爆弾テロは、パキスタンによるスワット渓谷での反政府武装勢力掃討作戦に対する報復ではないかとの見方が出されているようです。


パキスタン市民の多くは、政府の反政府武装勢力掃討作戦を支持していると言われていますが、今回のテロにより、こうした支持が揺らぐ可能性もあり、パキスタン国内世論の行方が気にかかるところです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の中古住宅販売は前月比増加は好ましいが、在庫も増加

5月27日(現地時間)、NAR(全米不動産業者協会)により公表された4月の中古住宅販売戸数は前月比プラス2.9%、年率468万戸となりました。


事前の市場予想通りプラスに反転しました。


今回の結果に対し、市場では、米国の住宅市場は好転してきていると受けとめたようです。


ただ、在庫は前月比プラス8.8%、年率396.8万戸となりました。


住宅販売戸数の増加は好ましいニュースと思いますが、在庫が増加していることは気にかかるところです。


期待を込めて今後の推移を見守りたいと思います。



2009年5月27日水曜日

市場予想を上回った5月のコンファレンス・ボード消費者信頼感指数

5月26日(現地時間)、公表された米国の5月のコンファレンス・ボード消費者信頼感指数は、54.9と、4月の40.8から上昇しました。


これは、事前の大方の市場予想を大きく上昇と言えます。


コンファレンス・ボード消費者信頼感指数は、米国の景気回復の先行指標と理解されるところ、今回、市場予想を大きく上回る上昇したことは好感されます。

ただ、消費マインドの改善がどの程度、消費へ結びつくかどうかははっきりしないとの印象です。


今後の推移が見守られるところかと思います。



下落続くケースシラー住宅価格指数

5月26日(現地時間)、公表された3月のケース・シラー住宅価格指数(20都市圏)は、前月比マイナス2.2%、前年比マイナス18.7%となりました。


住宅価格の下落は続いていますが、地域により差はあるものの、わずかながら鈍化してきているようにも見えます。


5月27日(現地時間)に公表予定の4月の中古住宅販売件数は、市場は前月比プラスを予想しているようです。


今後の推移が見守られるところかと思います。


 3月 前月比2月 前月比3月 前年比
Atlanta-1.70%-2.50%-15.70%
Boston-2.00%-1.30%-8.00%
Charlotte0.30%-1.60%-9.30%
Chicago-3.10%-3.40%-18.60%
Cleveland-0.90%-5.00%-9.00%
Dallas0.00%-0.30%-5.60%
Denver0.10%-1.70%-5.50%
Detroit-4.90%-3.80%-25.70%
LasVegas-3.80%-3.60%-31.20%
LosAngeles-1.40%-2.00%-22.30%
Miami-3.50%-3.00%-28.70%
Minneapolis-6.10%-3.20%-23.30%
NewYork-2.50%-1.70%-11.80%
Phoenix-4.50%-4.50%-36.00%
Portland-2.10%-1.90%-15.30%
SanDiego-1.50%-1.00%-22.00%
SanFrancisco-2.20%-3.30%-30.10%
Seattle-2.00%-1.50%-16.40%
Tampa-2.70%-2.70%-22.40%
Washington-1.20%-2.30%-18.40%
Composite-10-2.10%-2.10%-18.60%
Composite-20-2.20%-2.20%-18.70%



(出所)S&P/ケースシラー



2009年5月26日火曜日

北朝鮮の核実験から思いつくもの

5月25日、北朝鮮が核実験を行ったと表明したことに対し、国際的に非難がされています。


個人的に頭に浮かんだのはイランでした。


以前より、イランは、北朝鮮と密接な軍事技術交流が行われているのではないかと指摘されています。


報道によれば、5月25日、イランのアハマディネジャド大統領は、核兵器を含めた大量破壊兵器の製造、使用に強く反対していると表明しました。これは、北朝鮮を含んだもののようです。


ただ、イランのアハマディネジャド大統領は、イラン自身の核開発計画は合法的な権利とコメントしたようではありますが。


韓国経済は、回復しつつあるという印象でしたが、今後、北朝鮮問題がどのように影響していくのか、今後の推移

が見守られるところかと思います。



全産業活動指数にみる景気実感など

5月25日発表された3月の全産業活動指数は93.6と、前月比マイナス2.4%となり、前月比のマイナス幅は2月より拡大しました。


企業の生産活動状況を供給面からとらえた全産業活動指数からすると、企業の景気実感は、2月から3月にかけて厳しさは増したというように見えます。


5月25日、与謝野馨財務・金融・経済財政担当相は、日本経済が今年の1-3月期が最悪期で、4月以降は局面が変わったとの認識を示しました。


過日(5月20日)公表された日本の1-3月期のGDP(国内総生産)速報値は前期比(年率)マイナス15.2%となりましたが、市場では、4-6月期GDPがプラスに転じるとの見方にあるようです。


個人的には、日本経済は思っていたより良いとの印象ですが、慎重に、今後の推移を見守りたいと思います。



2009年5月25日月曜日

メモリアルデーとパキスタンに思うこと

今日は5月の最終月曜日で、米国ではメモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)にあたり、祝日です。


戦争、軍事行動で亡くなった米国の兵士を追悼する日です。


オバマ政権が重視するパキスタンでは、政府軍がスワット地区最大の都市であるミンゴラの制圧で重要な局面にあると表明しているようです。


ミンゴラの住民は既に避難が進んでいるようです。


パキスタン政府によれば、ミンゴラに残っている反政府武装勢力は、1500人程度の強硬派と推定しています。


パキスタンは米国の支援を受けるなどして、制圧に向けた作戦を進めるようです。


西側メディアは現地に入っています。


パキスタン政府の作戦が成功しても、反政府武装勢力は、山間部を拠点にゲリラ的に反撃を続け、自爆テロなどを続発させる可能性が高いとみられています。


国連によれば、戦闘で発生した避難民は既に200万人を上回っているようです。

苦しい生活を強いられる避難民や戦闘による犠牲者が出来る限り発生しないことを願いつつ、また、パキスタン、アフガニスタンが、まさかベトナムのような泥沼の争いにならないことを願いつつ、今後の推移を見守りたいと思います。



アフリカ連合が国連にエリトリアへの制裁を課すよう要請した模様

ソマリアの内戦は国際的な懸念事項と言えます。


アフリカ連合は、国連にエリトリアに制裁を課すよう要請したようです。


これは、エリトリアがソマリアのイスラム系反政府勢力を支援しているとみていることが理由です。


国連特使は、海外メディアのインタビューに対し、ソマリアの反政府勢力の後ろに誰がいるのか、明言を避けました。


アフリカ連合に関しては、報道によれば、最近、チャドの大統領が、対スーダン関係をめぐり、アフリカ連合の解決能力に疑問があるとして、アフリカ連合からの脱退を検討している模様です。


アフリカの治安の行方にとって国連の果たす役割が高まっているように見えます。
今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年5月24日日曜日

コンゴに思うこと

最近、コンゴ民主共和国で、政府軍、反政府ゲリラ双方から民間人への攻撃が行われ、これに国連は懸念を表明したようです。


同国では、日常的に強姦事件が発生している他、最近も、武装グループによる襲撃事件があり、多数の地元住民が死亡したようです。


女優のアンジェリーナ・ジョリー氏は、オランダ・ハーグの国際刑事裁判所で、コンゴの児童徴兵制度を批判しているようです。


女優のニコール・リッチー氏は、コンゴで多くの女性たちが強姦被害に遭っていることに問題を提起しているようです。


俳優のベン・アフレック氏は、コンゴの貧困問題の支援活動などを行っているようです。


たまたま目についただけかも知れませんが、コンゴというと日本ではゴリラの危機が取り上げられることが多いように思います。


コンゴの問題に触れ、日本は世界の主要国で、日本人は世界的に見て経済的に豊かなのだから、それに相応しい責任と役割をもっと果たしてもいいのではないか、自分自身、欧米のセレブのような行動ができなくとも、少なくとももっと広く関心をもつことが大切なのではないかと思いを致した次第です。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


25日(月曜)
国内:全産業活動指数 3月


26日(火曜)
国内:企業向けサービス価格 4月
海外:米 ケース・シラー住宅価格指数 3月 
   米 消費者信頼感指数 5月
   EU ユーロ圏経常収支 3月


27日(水曜)
国内:貿易統計 4月
海外:米 中古住宅販売件数 4月


28日(木曜)
国内:商業販売統計 4月
海外:米 新規失業保険申請件数 先週分
   米 耐久財新規受注 4月
   米 新築住宅販売件数 4月


29日(金曜)
国内:失業率 4月
   有効求人倍率 4月
   家計調査 4月
   消費者物価指数
   鉱工業生産 4月
   住宅着工統計 4月
海外:米 GDP(国内総生産) 1-3月
   米 ミシガン大学消費者信頼感指数 5月
   EU 消費者物価指数 5月
   EU 失業率 4月
   EU トリシェECB総裁 講演

米国の格下げ懸念が指摘されており、市場の米ドル建て資産に対する需要が気にかかります。25日の米金融市場はメモリアル・デーで休場となりますが、翌26日に、米財務省は国債入札を行う予定であり、入札結果が注目されるところかと思います。



2009年5月23日土曜日

英国格付けの見通し変更、米国格下げへの懸念と日本銀行の適格担保

5月22日、日本銀行の白川総裁は、国内景気は最悪期を脱したが、依然として不確実性が大きいとの認識を表明しました。


市場では、この白川総裁のコメントに関し、日本銀行の金融緩和政策は当分続くとの見方が出されているようです。


5月21日、格付機関のS&Pは、英国の格付け見通しを、Stable(安定的)からNegative(格付けが下方に向かう可能性を示す)に引き下げました。英国債や英ポンドは急落しました。


市場では、財政赤字や公的債務の増加から、英国と同様に米国も格下げされる可能性を連想しているようです。


5月22日、日本銀行は、米英独仏の国債を適格担保とするとの決定を発表しました。


適格担保とは、金融機関が日本銀行から借入れる場合の担保として、日銀が指定したもので、国債、地方債、などがあります。


日本銀行は、金融市場の安定化に向け、適格担保の範囲を拡大してきており、今年1月に不動産投資法人債(REITの債務)を適格担保と決定したことで、REITに資金が回りやすくなったと理解されています。


今回の日本銀行が米英独仏の国債を適格担保とするとの決定に対し、市場の反応は薄かったようですが、個人的には、米国の格下げ懸念は長引く可能性が高いのではないかと見ており、日銀のこの決定の意味は小さくないのではないかと考えます。


来週は米国で国債の入札が行われます。

今後の推移を見守りたいと思います。



バーナンキFRB議長のコメントに思うこと

昨日、当ブログで、5月21日に公表された米国の新規失業保険申請件数の移動平均が減少したことは好ましい兆候と思いますが、GMの再建に関連した自動車関連業界の解雇の行方などを考えると、まだ何とも言えないような気がしますと記しました。


どちらかと言えば、慎重な姿勢と言えます。


海外メディアによれば、5月22日(現地時間)、米国FRB(連邦準備理事会)のバーナンキ議長は、講演の中で、雇用見通しについて楽観的な見方を維持すべきだと語ったようです。


5月22日(現地時間)、米国の自動車メーカーGMの社債保有者委員会は、債務を10%の株式と交換するとのGM側の提案を拒否する考えを明らかにしたようです。


GMの破綻の可能性が高まっているように見えます。


バーナンキ議長のコメントは、明けない夜はない、何時かは経済も回復するのだ、世の中は物事を悪く考えるより楽観して考えた方がうまくいくと言っているように聞こえます。


厳しい時はバーナンキ議長のコメント通りなのかも知れません。



2009年5月22日金曜日

米国の新規失業保険申請件数は減少

5月21日(現地時間)、公表された米国の先週分(5月16日終了週)の新規失業保険申請件数は、63万1千件と、前週比マイナス1万2千件となりました。


前週分は63万7千件から64万3千件に上方修正されました。


5月16日終了週までの4週間移動平均は62万8500件と、前週の63万2000件から減少しました。


一般に、新規失業保険申請件数は米国失業率の先行指標であり、景気回復の一致指標と理解されますが、週により大きく変動しやすいので、移動平均を見る方が適当と考えます。


そうすると、今回、移動平均が減少したことは好ましい兆候と思いますが、GMの再建に関連した自動車関連業界の解雇の行方などを考えると、まだ何とも言えないような気がします。


今後の推移を見守りたいと思います。



GM、米国自動車市場の競争環境の行方

5月21日(現地時間)、UAW(全米自動車労働組合)は、米国自動車メーカーGM、米国財務省と暫定的な合意に達したと発表しました。


5月19日(同)、GMは、UAW、米国政府との交渉が難航しており、期限内の合意が難しい見通しだと表明していました。

争点は、UAWの退職者向け医療基金への拠出金と米国政府への債務の削減に関する交渉としていました。


5月19日(同)、オバマ大統領は、全米規模での自動車の排出ガス規制と燃費基準を提案しました。

燃費基準は2016年までに普通乗用車の燃費を1リットル当たり15.1キロに設定するというものです。


最近の報道によれば、富士重工業が、GMとクライスラーの米国内の販売網の取得を検討しているようです。


クライスラーに続きGMも連邦破産法の適用申請に追い込まれるのか、米国の自動車市場の競争環境はどのように変化していくのか、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年5月21日木曜日

ブラジル・中国の経済協力に思うこと

過日(5月19日)、訪中したブラジルのルラ大統領は、中国の胡錦濤国家主席と会談し、ブラジルの石油開発に関する経済協力で合意しました。


中国は、ブラジルの国営石油会社ペトロブラスに100億ドルを融資し、ブラジルは日量15万バレルの原油を中国に輸出することなどが合意内容です。


ちなみに、日本はブラジルとは親交がありますが、ブラジルの日本との貿易額は、対日輸出 9,433億円(2008年)、対日輸入 6,132億円(2008年)です。

日本からの直接投資は 5.01億ドル(2007年ブラジル中央銀行)であり、直接の比較は適当でないかも知れませんが、今回の中国のブラジルに対する100億ドルの融資の大きさが実感されます。

ブラジルでは住宅刺激策や雇用創出が最近、需要拡大につながってきているとの市場の見方が出されています。


中国では最近、消費者が家電や自動車を買い替える際に補助金を支給する新たな消費刺激策を決めたようです。


最近の新興国の動きは活発なように見えます。


新興国の経済力は世界全体を牽引するには力不足かも知れませんが、産業分野、個別企業によっては新興国のインパクトは少なくないと考えられます。


新興国の動向の今後の推移が見守られるところかと思います。



FOMC議事録、ガイトナー財務長官コメントにみる米国金融・経済の現状認識と今後の行方

5月20日(現地時間)、公表された4月28-29日のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録によれば、経済に緩やかな改善が見られるとの認識を示すとともに、量的緩和の拡大も検討しました。


同日、ガイトナー米財務長官は、米国の金融システムが回復し始めているとの認識を示すとともに、金融機関から不良資産を買い取る官民共同投資プログラムを6週間以内に開始する方針を明らかにしました。


最近公表された米国の住宅関連指標は、市場の事前予想に反して悪い結果を示したと言えます。


仔細に検討すれば、そう悪い内容ではないとの見方も市場にはあるようですが、仮に、住宅関連指標が悪い結果が続くようであれば、米国の金融機関に対するストレステストの前提条件より厳しい状況になる可能性が高まると考えられます。


仮にそうなれば、FOMCや米国財務省は金融機関に対する公式見解を改めなければならないかも知れません。


米国の不良資産を買い取る官民共同投資プログラムが6週間以内に順調にスタートできるか、経済指標の推移を含め今後の行方が見守られるところかと思います。



2009年5月20日水曜日

ドイツのZEW景気期待指数は改善したものの

5月19日(現地時間)、公表されたドイツの5月のZEW景況指数はマイナス92.8と、前月比マイナス1.2ポイントとなりました。


事前の大方の市場予想は、前月比でプラスを予想していました。


同時に公表されたZEW景気期待指数は31.1と、前月比プラス18.1ポイントとなりました。


前月比でのプラスは事前の大方の市場予想通りでしたが、プラスの幅は、市場予想を大きく上回ったと言えます。


ZEW景況指数を見る限り、足元のドイツの景況感は非常に厳しく、もうこれ以上は悪くなりようがないといった印象です。


市場では、ZEW景気期待指数の改善を好感したようです。


ただ、ドイツは政策面の支援から自動車は好調に推移しているものの、それ以外の消費は広がりを見せていないのではないかとの懸念があり、今後の推移を慎重に見守る必要があるのではないかと思います。



市場予想を下回る水準となった米国住宅着工・許可件数

5月18日(現地時間)、公表された米国の4月の住宅着工件数は前月比マイナス12.8%、年率45万8千戸となりました。


事前の大方の市場予想を下回る水準だったと言えます。


同時に公表された米国の4月の住宅着工許可件数は前月比マイナス3.3%、年率49万4千戸となりました。


こちらも事前の大方の市場予想を下回る水準だったと言えます。


米国の住宅着工・許可件数は何れも、景気の先行指標と言え、過去、景気回復の直前に大きく上昇した傾向があります。


市場には住宅在庫が積みあがっていますが、市場には、許可件数が少なくなり、住宅の新規供給が低下すれば、住宅在庫の整理は進みやすくなると前向きに期待する見方もあるようです。


米国の住宅市場は、今年2月、住宅着工・許可件数ともに予想外の大幅な増加に転じ、住宅市場の改善が大きく進むとの期待が高まりましたが、3月、4月と事前の市場の予想を下回る低水準が続いています。


米国の景気は期待したほどには改善が進んでいないのかも知れません。


今後の推移が慎重に見守られるところかと思います。



2009年5月19日火曜日

与党勝利となったインド総選挙と改革路線への期待と不安

インド下院選挙の議席が確定し、国民会議派206議席、インド人民党(BJP)116議席、社会主義党(SP)23議席、大衆社会党(BSP)21議席などとなり、国民会議派を中心とする与党連合は261議席、BJPを軸にした野党連合は159議席となった模様です。


5月18日、住友金属は、鍛造クランクシャフト事業の強化でインド現地の自動車部品メーカーであるAmtek Auto Linitedと現地合弁会社を設立することを発表しました。


5月15日、自動車メーカーのスズキは、インドで新型小型車Ritzを発表しました。


最近、日本企業は相次いでインドでの積極展開を表明しているように見えます。


インドのシン首相は近く新しい政策をまとめたアクション・プランを発表する見通しであり、保険や小売業分野での外資規制の緩和などで、新たな動きがあるのではないかとの期待が高まっています。


市場は、インドは経済改革路線を推進していくと強く期待しているようです。


ただ、個人的には、今回の選挙で、各党とも大票田の貧困・農民層にアピールするための公約を掲げてきており、選挙後に経済改革路線をどの程度進めることができるのか、社会主義的な色彩が出るのではないかとの不安もよぎります。


今後の政策発表など、推移が見守られるところかと思います。



上向きつつある4月の消費マインドと今後の推移が見守られる商業販売統計

5月18日に公表された4月の消費動向調査によれば、消費者態度指数は32.4と、前月比プラス3.5ポイントとなりました。


前月比でのプラスは4カ月連続となりました。


消費マインドを表す消費者態度指数が4ヵ月連続のプラスになったということは、基本的に、消費マインドは上向いていると言えます。

ただ、前月比でのプラスは、「良くなる」との判断が増加したというより「悪くなる」との判断が減ったためであり、積極的な改善までに至ったとはいえないとの見方が出されています。


5月18日に公表された商業販売統計の3月確報値によれば、3月の商業販売額は45兆600億円、前年同月比マイナス24.0%となりました。


消費マインドは上向いてきているとしても、百貨店やスーパー、コンビニを合わせた商業販売統計は厳しい数字が続いています。


市場では、4月以降の商業販売統計は、自動車減税、エコポイント、定額給付金の効果などでやや上向くと予想しています。


ただ、市場には、こうした一連の政策による効果は一時的で、また、他の消費に広がっていくかどうかは不透明とする見方が出されています。


消費マインドを含め、今後の推移が慎重に見守られるところかと思います。



2009年5月18日月曜日

パキスタン国軍の武装勢力掃討作戦と市民の支持

5月17日(現地時間)、パキスタン政府は、イスラム武装勢力の掃討作戦で、殺害した武装勢力メンバーが1000人を超えたことを明らかにしました。


パキスタンは、スワット地区に1万2千人以上の国軍を投入するなど掃討作戦を推進していました。


海外メディアの報道を見る限り、現在のところ、パキスタン国軍の動きに対し、現地市民の多くは支持しているようです。

しかし、パキスタン国軍が掃討作戦を展開している戦闘地域から130万人にのぼると言われるほど多数の避難民が流出している模様であり、掃討作戦が長期化した場合、パキスタン政府に対する多数市民の支持が続くかどうかは不透明と言えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



中絶容認派のオバマ大統領に対する風当たり

現在、米国では大学の卒業式シーズンにあり、オバマ大統領は、大学の卒業式でスピーチを行う機会が増えているようです。


そうした中、カトリック系のノートルダム大学で、中絶を容認するオバマ大統領のスピーチに抗議するTVCMが流され、また、抗議活動をしていた人々が大学へ不法侵入したととして逮捕される事件があったようです。


オバマ政権は凍結されていた中絶を支援する国際団体への連邦資金助成を再開するなど、中絶を容認する立場とみられます。


一般にカトリック教徒は、中絶に反対の立場と言えます。


米国ではカトリック教徒は約6000万人で、そのうち3分の1が毎週教会に通うと言われています。


最近、米国で自らを中絶反対派と見る国民が過半数に達したとの調査結果が出ているようです。


オバマ政権への風当たりが強まっており、オバマ大統領に反発する動きが顕在化したとの見方もありますが、先ほどのノートルダム大を舞台にした抗議活動に関し、ある卒業生はTVのインタビューで抗議活動のありかたに批判的な姿勢を表明していました。


オバマ政権は、4月28日に厚生長官が議会で承認され、全閣僚が出揃ったばかりです。


オバマ大統領の指導力の行方の与える影響は大きく、今後の推移を見守りたいと思います。



2009年5月17日日曜日

週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


18日(月曜)
国内:毎月勤労 統計 3月
   商業販売統計 3月
   消費動向調査 4月
   百貨店売上高
海外:EU 貿易収支 3月


19日(火曜)
国内:マネタリーサーベイ 3月
   鉱工業生産 3月
海外:米 住宅着工・建設許可件数 4月
   EU ZEW景況指数 5月


20日(水曜)
国内:国内総生産 1-3月
   コンビニエンスストア売上高 4月
海外:米 FOMC(連邦公開市場委員会)議事録 公開
   米 ガイトナー財務長官 証言


21日(木曜)
国内:第3次産業活動指数 3月
海外:米 新規失業保険申請件数 先週分
   EU 製造業・サービス業 PMI(購買担当者指数) 5月


22日(金曜)
国内:特定サービス産業動態 3月
景気動向指数 3月
全国スーパー売上高 4月
海外:米 バーナンキFRB議長、講演


週明け後、日本の第1四半期の国内総生産が公表される他、大手金融グループ(MUFG)の決算発表(5/19)が予定されている他、米国の住宅着工などが注目されるところかと思います。



ユーロ圏の2009年第1四半期GDP伸び率に対する印象

5月15日(現地時間)、公表されたEU(欧州連合)の2009年第1四半期のユーロ圏GDP伸び率は、前期比マイナス2.5%、前年比マイナス4.6%となりました。


事前の市場の大方の予想よりも大きなマイナス幅だったと言えます。


市場には、2009年第1四半期で景気の底入れをした可能性を指摘する見方も出されているようです。


確かに、最近のセンチメントは改善しているようですが、5月13日(現地時間)に公表された3月のユーロ圏の鉱工業生産は、前年比マイナス20.2%と、1990年以来最大の落ち込みとなったことは気になります。

中・東欧の金融情勢は先行き不透明感があり、今後、同地域に関する不良債権問題が深刻化する懸念は払底されておらず、慎重に今後の推移を見守りたいと思います。



2009年5月16日土曜日

改善に向かう米国消費マインド

5月15日(現地時間)、公表された5月のミシガン大学 米消費者期待指数は69.0と、4月の63.1から上昇しました。


海外メディアによれば、5月14日(現地時間)、米調査会社コムスコアは、米オンライン小売市場について、底入れした可能性があるものの、成長ペースは最近の2ケタ成長を年内に回復する可能性は低いとの見方を示したようです。


先日(5月13日、現地時間)公表された米国の4月の小売売上高は前月比マイナス0.4%と、2カ月連続のマイナスとなり、米国の個人消費の厳しさを示しましたが、今回の米消費者期待指数をみると、米国消費マインドは改善に向かっているように見えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



底打ちしつつあるように見える3月の機械受注統計

5月15日、公表された3月機械受注統計によれば、船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、2月が前月比プラス0.6%でしたが、3月は同マイナス1.3%の7,929億円となりました。


1~3月は、受注総額は前期比マイナス16.1%の4兆8,391億円となりました。


船舶・電力を除いた民需の見通し達成率は、10-12期は83.4%でしたが、1-3月は85.6%となりました。


一般に、船舶・電力を除いた民需の受注額は、設備投資の先行指標と考えられ、達成率が上昇傾向にある場合は、設備投資意欲が上昇している可能性が高いと言えます。


今回の公表結果のみを見る限り、機械受注の悪化は底打ちしつつあるように見えます。


ただ、4月15日に発表された鉱工業指数によれば、1月の設備稼働率は60.5%となっており、設備投資が全般に活発になる水準には見えません。


底打ちしたとしても、設備投資の拡大には時間がかかりそうな印象です。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年5月15日金曜日

アウン・サン・スー・チー氏が軟禁に違反したとして起訴

各種メディアで報道されていますが、5月14日(現地時間)、ミャンマー政府は、民主化運動指導者のアウン・サン・スー・チー氏を、軟禁に違反したとして起訴しました。


自宅軟禁中のアウン・サン・スー・チー氏に対し、許可なしに外部の人間と接触することを禁じており、軟禁期限は今月下旬まででした。


5月3日、湖を泳いでアウン・サン・スー・チー氏の自宅に着いたアメリカ人男性と面会したことが、これに違反したとしたものです。


5月18日にも初公判が開かれるようです。


ミャンマーでは、2010年に総選挙が予定されています。


海外メディアは、形だけの総選挙と指摘していますが、ミャンマーの軍事政権は、アウン・サン・スー・チー氏の自宅軟禁を解けば何が起きるかわからないとして、総選挙を安定させるために拘束を継続する口実を探していたとの見方が出されています。


日本は、2003年5月にアウン・サン・スー・チー氏がミャンマー政府によって拘束されたことを契機に、新規の経済協力案件については基本的に実施を見合わせています。ただ、緊急性が高い人道的な案件等については、個別検討となっているようです。


欧米各国は今回の措置に反発の動きを示しています。


個人的には、湖を泳いでアウン・サン・スー・チー氏の自宅に着いたアメリカ人男性は愚かな行為をしてくれたとの印象ですが、ミャンマー政権ももう少し出口戦略を考えられないものかと思います。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の新規失業保険申請件数と米国自動車ディーラー網の縮小による雇用喪失

5月14日(現地時間)、公表された米国の先週(5/9終了週)の新規失業保険申請件数(季節調整済)は63万7千件と、前週比プラス3万2千件となりました。


これは事前の市場の予想よりも大幅な増加と言えます。


4週移動平均は63万500件と、前週の62万4500件から増加しました。


一般に、米国の新規失業保険申請件数は、景気の谷の一致指標と考えれますが、前日の小売売上高の印象が残っているからかもしれませんが、新規失業保険申請件数の4週移動平均が増加したことは、ややネガティブなイメージを受けます。


海外メディアによれば、5月14日(現地時間)、米国大手自動車メーカーのクライスラーとGMは自動車ディーラーとの契約解除方針を発表し、販売店網の大幅な縮小に乗り出したようです。

クライスラーは、米国内にある自動車ディーラー網のうち約25%を今後1~2か月以内に削減する方針であり、GMは同じく約40%相当を削減する方針とのことです。

市場では、仮に、公表された方針通りに実行した場合、20万人の雇用が失われるとの見方が出されています。


米国の自動車メーカー問題を含め、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年5月14日木曜日

日銀の白川総裁コメントと景気ウォッチャー調査

海外メディアによれば、5月13日、日銀の白川総裁は、ロンドンで講演し、日本経済には回復の兆しが見られ、年末に向けて安定し始めるとの見通しを示すとともに、日銀は状況を注視すると述べたようです。


同日公表された4月の景気ウォッチャー調査によれば、景気の現状判断指数(DI)は34.2と、前月比プラス5.8ポイントとなりました。


景気の分岐点となる50は25カ月連続で下回りましたが、4カ月連続の上昇となりました。


この結果のみを見る限り、景気の現状は厳しいものの、少しずつ上向き始めているように見えます。


ただ、市場には、高速料金値下げや定額給付金の効果など一時的なものとの見方もあり、今後の推移が見守られるところかと思います。



景気底打ちが遠のいたように見える米国小売売上高

5月13日(現地時間)、公表された米国の4月の小売売上高は前月比マイナス0.4%となりました。


2カ月連続の前月比マイナスとなりました。


5月7日(現地時間)、公表された米国の4月の主要小売りチェーン各社の既存店売上高は、前年同月比プラス0.7%と、7カ月ぶりにプラスへ転じていました。


低価格チェーンやドラッグストアチェーンが好調だったようです。


市場では、4月の小売売上高もマイナスから脱するのではないかと期待していましたが、マイナスに留まりました。


今回の米国小売売上高のみを見る限り、米国消費は厳しい状況が続いているように見えます。


一般に、米国の小売売上高は、景気回復の先行指標と言え、景気回復を待たずに上向き始める傾向がありますが、この点からすると、米国の景気底打ちは遠のいたように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年5月13日水曜日

景気動向指数は日本の景気底入れの可能性を示唆

5月12日公表された日本の3月のCI(景気動向指数)は、先行指数:76.6、一致指数:84.9、遅行指数:88.7 と
なりました。


先行指数は、前月比プラス2.1ポイント、3ヶ月後方移動平均はマイナス0.63ポイントと21ヶ月連続の下降となりました。


一致指数は、前月比マイナス0.3ポイント、3ヶ月後方移動平均はマイナス1.90ポイントと13ヶ月連続のマイナスとなりました。


遅行指数は、前月比マイナス1.6ポイント、3ヶ月後方移動平均はマイナス1.10ポイントと15ヶ月連続のマイナスとなりました。


一致指数のマイナスの要因は、有効求人倍率、中小企業売上高、大口電力使用量などでした。

一致指数のプラスの要因は、鉱工業生産財出荷指数、生産指数などでした。


今回のCIのみを見る限り、景気は底入れの可能性を示唆しているように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



米国の財・サービスの輸入の前月比マイナス幅が縮小

5月12日(現地時間)、公表された米国の貿易収支によれば、米国の3月の貿易赤字額は、275億7千7百万ドルと、前月比プラス5.5%となりました。


財・サービスの輸入は1512億ドルと、前月比マイナス1.0%となりました。


財・サービスの輸出は1236億ドルと、前月比マイナス2.4%となりました。


財・サービスの輸入は、米国の外国製品に対する需要を、財・サービスの輸出は、米国製品の海外販売力を表すと言えますが、何れもマイナスを示したことになります。


前年同月は2070億ドルであった財・サービスの輸入は、金額としては低い水準であり、世界の貿易の縮小を連想します。

ただ、財・サービスの輸入の前月比マイナス幅は縮小に向かっており、これは、米国の内需が落ち着き始めている表れと言えるのかも知れません。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年5月12日火曜日

米国財政赤字の上方修正に思うこと

5月11日(現地時間)、米国政府は、2009年、2010年の会計年度の財政赤字を上方修正しました。


景気後退による税収減、社会保障費の拡大が主たる要因のようです。


米国下院共和党は、独自の歳出削減計画を発表する意向を明らかにしています。


今後、財政支出に対するチェックが厳しくなっていく可能性は非常に高いと考えられるところ、景気が回復に向かう前に景気刺激策が息切れし、少しずつ安定に向かっている金融システムに対するストレスが高まる懸念があります。


今後、景気動向、政治動向などの推移が見守られるところかと思います。



BIS総裁会議閉幕

5月11日(現地時間)、BIS(国際決済銀行)の主要国中央銀行総裁会議が閉幕しました。


閉幕後、議長を務めたECB(欧州中央銀行)のトリシェ総裁は、記者会見を行い、各国の中央銀行当局者らは景気循環の転換点に近いという共通認識を有していると話しました。


景気が回復しはじめた場合、景気刺激的な政策を後退させる必要があると指摘しました。

ただ、非伝統的な方法での必要な措置を続けるとも表明しました。


当面は景気底打ちを確認する指標の公表が続くことが期待されますが、ヨーロッパの東欧をはじめとした不良債権問題は、今後顕在化していくとみられ、ヨーロッパの金融システムは大きなストレスにさらされる可能性が高いのではないかと思います。


イメージとしては、財政政策が息切れすると、ストレスが大きくなるのではないかとの印象です。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年5月11日月曜日

ソマリア首都で戦闘

海賊対策で注目されるソマリア沖ですが、陸上での戦闘が続いています。


最近もソマリアの首都モガディシオで、暫定政府軍と反政府軍の間で迫撃砲による戦闘があり、市民に多数の死傷者が出たようです。


ソマリアは1991年以降、事実上の無政府状態が続いています。


最近、台頭しているとも言われるイスラム系民兵組織シャバブは、過激な対応で知られ、アルカイダとの関係が指摘され、ソマリア市民の間での支持は広がっていないのではないかとの見方が現地取材を行った西側メディアから出されています。


現地市民の間では、ソマリアの首都モガディシオの治安回復にはまだ相当の時間がかかるとの見方にある模様です。


国際社会の支援を含め、今後の推移が見守られるところかと思います。



南アフリカで新大統領就任式開催、経済運営は前政権の方針を踏襲の模様

5月9日(現地時間)、南アフリカ共和国の新大統領にANC(アフリカ民族会議)議長のズマ氏が就任しました。


9日の就任式には、ジンバブエのムガベ大統領、リビアの最高指導者カダフィ氏、日本の森喜朗元首相らが参加しました。


南アフリカは、金、ダイヤモンド、希少金属など、豊富な鉱物資源を有しており、同国のGDPは、サブサハラ・アフリカ諸国のGDP総額の約4割を占め、アフリカ経済の牽引役を担っています。


最近の国際的な急速な経済後退の影響もあり、貧富の格差や失業問題が指摘されています。


2010年にはサッカーのワールドカップの開催も予定されています。


経済問題をはじめ難しい政権運営が見込まれるところ、5月10日(現地時間)、ズマ新大統領は、前財務相を国家計画委員会委員長に、元税務責任者を財務相に任命することを明らかにしました。これは、従来の経済運営を踏襲することを示唆したものとみられます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年5月10日日曜日

週明け後の主な予定


週明け後の主な予定は次の通りです。


11日(月曜)
海外:米 バーナンキFRB議長講演


12日(火曜)
国内:景気動向指数 3月
海外:米 貿易収支 3月


13日(水曜)
国内:国際収支 3月
   景気ウォッチャー調査
   白川日銀総裁講演(於ロンドン)
海外:米 小売売上高 4月
   米 企業在庫 3月
   EU 鉱工業生産指数 3月


14日(木曜)
海外:米 新規失業保険申請件数
   米 生産者物価指数(PPI) 4月


15日(金曜)
国内:機械受注統計 3月
   企業物価指数 4月
   特定サービス産業動態
海外:米 消費者物価指数 4月
   米 鉱工業生産、設備稼働率
   米 ミシガン大学消費者信頼感指数
   EU 消費者物価指数
   EU 国内総生産 1-3月


米国のストレステストの結果公表も行われ、市場には一定の安心感が広がっているようです。
週明け後、企業の3月決算発表が続く見通しですが、2009年度決算に関する会社予想数字が見守られるところかと思います。



パナマで第三勢力が大統領選で勝利

先日(5月3日、現地時間)、パナマで大統領選が行われ、野党 民主改革党 党首のマルティネリ氏が初当選しました。


パナマでは、過去、与党民主革命党とパナメニスタ党の2大政党による政権交代が定着していましたが、今回の大統領選挙では、第3勢力が政権を得ることになりました。


パナマは、第1次及び第2次産業が脆弱で、消費財、生産財の大半を輸入に依存しており、貿易収支は恒常的に赤字となっています。

貿易赤字の多くはパナマ運河、港湾、観光及び金融センター等に関するサービス収支、及び資本収支により補われています。

最近、パナマでは金融危機による海上物流の停滞に伴ってパナマ運河の通航収入は減少しており、パナマ経済への影響が広がっているようです。

次期大統領のマルティネリ氏は、同国最大手のスーパーを経営で、選挙戦では、経済危機に対処するため、高速道路やパナマ市の地下鉄の建設など、大規模公共事業を訴えました。

治安悪化や経済格差に不満を持つ中低所得者を中心に支持を集めたようです。


次期大統領の就任は7月1日、任期は5年です。


パナマは、米国との関係が経済及び安全保障にとって極めて重要であり、1999年のパナマ運河の返還、駐留米軍撤退後も良好な関係の維持、発展に努めてきています。


パナマの対日貿易は、2007年貿易統計によれば、対日輸出 16億円(マグロ、魚粉、植物など)、対日輸入 1兆148億円(船舶、乗用車、一般機械、電気機械)と圧倒的に日本からの輸入が多くなっています。
また、日本はパナマ運河の利用国としては第3位です。


次期政権を獲得した第3勢力は、経済的に重大な課題に取り組むことになりますが、日本にとって一定の関係を有するパナマの政治、経済情勢の行方が見守られるところかと思います。



2009年5月9日土曜日

新たな危機に直面したリスボン条約

5月6日(現地時間)、チェコの上院で、リスボン条約の批准が承認されました。


リスボン条約はEU機能強化を目指す新たな基本条約です。


順調に行けば、昨年の国民投票で条約を否決したアイルランドを除き、加盟26カ国全てで批准を終えたことになります。


今後、チェコが同条約を批准するためには、クラウス大統領の署名が必要です。


しかし、海外メディアによれば、クラウス大統領は、批准を承認した上院を強く非難しており、批准するかどうかは、同条約について憲法裁判所で最終的な判断を経るべきとの考えを表明しているようです。


リスボン条約は1カ国でも批准しないと発効しないため、リスボン条約は新たな危機に直面したと言えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



4月の米国雇用統計に対する見方は様々

5月8日(現地時間)、公表された米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は53万9千人減少し、失業率は8.9%となりました。


非農業部門の雇用者数は少し減少幅が小幅になってきているように見えます。


4月の米国雇用統計に対する見方は様々です。

非農業部門の雇用者数は景気回復の遅延指標と考えられ、失業率は当分上昇するとは思いますが、米国景気は底打ちしているか底打ちが近いのかもしれません。

なお、市場には、雇用者数減少は未だ最悪期を脱してはいないとの見方があり、この見方に立てば、まだ米国景気の底打ちまでは時間がかかると言えます。


個人的には最悪期を脱した可能性が高いのではないかとの印象です。


昨日公表された米国大手金融機関に対するストレステストの前提条件の失業率は8.9%ですが、今回、その水準に達しました。

米国の金融安定化は、ダイナミックに進むというよりは、少しずつ匍匐前進していくような印象です。


今後の推移が見守られるところかと思います。


(万人、%)
 非農業部門雇用者増減失業率
2008/12-68.17.2
2009/1-74.17.6
2-66.38.1
3-69.98.5
4-53.98.9

(出所)米国労働省

2009年5月8日金曜日

米国大手金融機関に対するストレステストの結果公表

5月7日(現地時間)、米国でストレステストの結果が公表され、米国大手金融機関19行のうち10行に資本増強が必要としました。


資本増強が必要とされたのは、バンクオブアメリカ(約3兆3千5百億円)、ウェルズファーゴ(約1兆2千3百億円)、シティグループ(約5千4百億円)などです。


今後、資本増強が必要と判断された10行は、資産売却や増資などにより自己資金を調達し、不足分は政府の保有する優先株を普通株に転換して調達することになる見通しです。


海外メディアによれば、5月7日(現地時間)、FRBのバーナンキ議長は、多くの金融機関は追加の公的資金を受け取らずに資本増強可能との見通しを明らかにするとともに、ストレステストは、金融監督や規制の改善に向けた有効な指針となり得る、との見方を示したようです。


既に事前にマスコミなどで多くの報道が行われており、ストレステストの結果は、市場は冷静に受け止め、安心感が広がる可能性が高いのではないかとの印象です。


しかし、今回のストレスは、下表の通り、現在の経済環境とほぼ同様の水準と言え、仮に、今後、景気の底割れ懸念が出てきた場合には、米国大手金融機関に対する信頼は揺らぐ可能性があると思います。

 GDP伸び率失業率住宅価格
2009-3.30%8.90%-22%
2010+0.5%10.30%-7%


景気動向を含め、今後の推移が見守られるところかと思います。



ECBは政策金利の引下げと非伝統的措置を発表

5月7日(現地時間)、ECB(欧州中央銀行)は、政策金利を0.25%引き下げ、1.00%にすると発表しました。


併せて、非伝統的措置を発表しました。

①ユーロ圏の企業が発行したカバードボンドの買い入れ
②銀行への資金供給では期間を最大12カ月に延長
③欧州投資銀行がECBから資金を調達できる途をひらいた

※カバードボンド:社債の中で、住宅ローン債権などを担保としつつ、発行体の信用力にも裏付けられた形で発行される債券で、担保となる債権、発行する債券ともに発行体のバランスシートに計上されるもの。


カバードボンドの買い入れは、マネーサプライの伸びを促進する効果があると思いますが、今回の措置について、ECBは、量的緩和ではないと表明したようです。


4月30日(現地時間)に公表された4月ユーロ圏CPIは、前年比0.6%の上昇と過去最低水準になるなど、EUではデフレ懸念が指摘されています。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年5月7日木曜日

市場予想より小幅なマイナスに留まった4月のADP雇用統計

5月6日(現地時間)、公表された4月のADP雇用統計によれば、米国の民間部門雇用者数は前月比マイナス49万1千人となりました。


事前の市場の大方の予想より小幅なマイナスに留まりました。


ADP雇用統計は、米国の企業向け給与計算サービスを行うADP社(Automatic Data Processing)が発表する雇用統計であり、毎月第1金曜日に米国政府より公表される雇用統計に先行して公表されます。


最近の傾向として、ADP雇用統計は米政府の雇用統計との相関が強いと言えます。


単月ながら、民間部門の雇用者数の減少が鈍化したことは、景気動向をうらなう上で好感されることと言えます。


同日の米国NYダウ終値は、8,512.28と前日比プラス101.63(同プラス1.21%)となりました。


今後の推移が見守られるところかと思います。



ワシントンで、米、アフガニスタン、パキスタンの首脳会談開催

過日(5月4日、現地時間)、アフガニスタン西部で米軍によるとみられる空爆により、多数の民間人が死傷しました。


5月6日(現地時間)、オバマ大統領は、ワシントンで、アフガニスタンのカルザイ大統領、パキスタンのザルダリ大統領と首脳会談を行いました。


海外メディアによれば、今回、アメリカは、アフガニスタン、パキスタンに支援を行っていくこと、3カ国は共同して社会的な問題等に取り組んでいくことなどを表明したようです。


また、アメリカのクリントン国務長官は、アフガニスタンで米軍の空爆により誤って多数の民間人が死傷したことを認め、謝罪し、アメリカとアフガニスタンが共同して調査にあたることを表明しました。


今回の会談で、3カ国は足並みを揃えたようですが、今後、タリバンとの交戦はいよいよ激化するのではないかとの印象です。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年5月6日水曜日

前年比マイナスとなったユーロ圏PPIと5/7予定のECB政策委員会

5月5日(現地時間)、公表された3月のユーロ圏PPI(生産者物価指数)は前月比マイナス0.7%、前年比マイナス3.1%となりました。


これは、事前の大方の市場予想より悪い数字だったと言えます。


4月30日(現地時間)、公表された4月のユーロ圏CPI(消費者物価指数)は、前年比プラス0.6%でした。

これは過去最低水準でした。


生産者物価は消費者物価に反映されることからすると、今回、ユーロ圏PPIが市場が考えるよりも大きなマイナスになったことは、デフレ懸念を強めたとも言えます。
ただ、生産者物価は国際商品市況などに影響を受け、必ずしも消費者物価とは連動しないと言えます。

ちなみに、今回のユーロ圏PPIは、原油とガス価格の下落の影響が大きかったようであり、必ずしも今回のPPIはデフレ懸念を強めたと言えないように見えます。


5月7日にECBの政策委員会が開催される予定ですが、市場では、ECBは政策金利を引き下げる公算が大きいと予想しています。

今後の推移を見守りたいと思います。



景気の底打ち後のデフレ懸念を示したバーナンキFRB議長

海外メディアによれば、5月5日(現地時間)、米国バーナンキFRB議長は、近い将来、米住宅市場が底を打つ可能性があり、景気は年内に底打ちすることを期待すると述べました。


ただ、景気の回復については、実際の経済成長率が潜在成長率を下回る公算が大きいとの見通しを示しました。


潜在成長率が、その時点での経済全体の総供給力とすれば、実際の経済成長率は、その時点での総需要の伸びを示していると言えます。

従って、潜在成長率と実際の経済成長率の差は、経済の需要と供給の格差を表しており、GDPギャップと呼ばれています。


仮に、バーナンキFRB議長の見通し通り、景気底打ち後もGDPギャップがマイナスということであれば、経済の需要不足が続き、デフレ圧力が生じることになります。


FRBの金融政策を含め、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年5月5日火曜日

オーストラリアは温暖化ガスの排出権取引の開始を当初予定より1年延期

5月4日(現地時間)、オーストラリア政府は、温暖化ガスの排出権取引の開始を当初予定より1年先送りすると表明しました。


オーストラリアのラッド首相は2007年の総選挙で温暖化ガスの排出権取引導入を公約にあげていました。


石炭資源などを輸出するオーストラリア産業界は、輸出競争力を失うとして政府案に反対していました。


同日、オーストラリアの資源株は、政府の温暖化ガスの排出権取引の開始延期を好感するなどして、上昇したようです。


先進国では環境をビジネスとして成長を促進するという動きがありますが、厳しい経済情勢が続くと、資源国を中心にオーストラリアと同様の動きが広がる可能性があるのではないかと懸念されます。
今後の推移が見守られるところかと思います。



EU欧州委員会はヨーロッパの経済見通しを下方修正

5月4日(現地時間)、EU欧州委員会は、ヨーロッパの経済見通しを下方修正しました。


ユーロ圏の2009年の実質GDP成長率予測を1月予想の前年比マイナス1.9%から2.1%引き下げ、マイナス4%としました。


失業率は11.5%に達する見通しとしました。


5月4日(現地時間)、公表された4月のユーロ圏のPMI製造業景気指数(季節調整済)は36.8と、前月の33.9から上昇しました。


PMIは、景気の分かれ目となる50を下回っているものの、景気の底打ちの兆しを示しているように見えます。


今回、EU欧州委員会は、2010年後半にならないと景気は拡大に向かわないとの見通しを明らかにしました。


今のところ、底打ちしたとしてもL字型で、暫くは厳しい経済状況が続く可能性が高いように思いますが、今後の推移を見守りたいと思います。


実質GDP成長率予測

 20092010
ユーロ圏-4.0 -0.1
英国-3.8 0.1
ドイツ-5.4 0.3
フランス-3.0 -0.2
   
ブルガリア-1.6 -0.1
ルーマニア-4.0 0.0
チェコ-2.7 0.3
ポーランド-1.4 0.8
ハンガリー-6.3 -0.3
スロベキア-2.6 0.7

(出所)EU欧州委員会公表資料より抜粋して加工

2009年5月4日月曜日

欧州議会の選挙に思うこと

今年、欧州議会は5年に1度の選挙が予定されています。


欧州議会は定数785人で議席配分は国別人口比を基に決定され、国別の内訳は、ドイツ99、フランス、イタリア、英国がそれぞれ78、スペイン、ポーランドが54、ルーマニア35、オランダ27、ベルギー、チェコ、ギリシャ、ハンガリー、ポルトガルがそれぞれ24などとなっているようです。


任期は5年で、現任期は、2004年7月から2009年6月です。


欧州議会議員は、欧州人民・欧州民主党グループ(キリスト教民主勢力)と欧州社会主義グループ(社民勢力)が左右の二大勢力で、これにリベラル、環境保護派などが少数派として分布しているようです。


過去の欧州議会選挙では、若年層(18~24歳)の投票率は40%前後にとどまり、非常に低い投票率が問題となってきました。


現在、若年層向けに選挙キャンペーンを展開しているようです。


こうした中、イタリアでは、ベルルスコーニ首相率いる与党 自由の国民党が、欧州議会選挙に多くの美女候補を擁立しようとしたようです。

報道によれば、当初、元ミスイタリアら芸能界出身の約10人の擁立可能性があったものの、結局1名の美女候補にしたようです。


ベルルスコーニ首相のベロニカ夫人はこれに激怒し、離婚の申し立てを行ったとの報道が出ています。


しかし、実は、20年以上の結婚生活をおくるベロニカ夫人の行動は世論を見据えた行為で、選挙への関心を高めることを意図し、選挙後には関係が修復されるのではないかとの見方も出ているようです。


世界的に若年層の投票率の低さは問題視されています。


仮に、若年層の投票率が低下を続けるなら、民主主義の根幹が揺らいでいく可能性さえあります。


今年は日本でも総選挙が行われます。インターネットの活用など方法論が議論されているようですが、表面的な方法の見直しだけではどの程度の効果があるかは不明です。

幅広い議論がおきることを期待しつつ、今後の推移が見守られるところかと思います。



世界的に政治的、経済的にも猛威をふるいはじめた豚インフルエンザ

豚インフルエンザは、世界的に政治的、経済的にも猛威をふるいはじめているようです。


メキシコと中国は豚インフルエンザが原因で外交問題を引き起こしています。


中国に滞在しているメキシコ人が新型インフルエンザの影響で中国当局に不当な扱いを受けているとして、メキシコ政府は、中国への渡航を避けるよう国民に呼びかけました。


エジプトでは豚インフルエンザが原因で内政的、経済的な問題を引き起こしています。


エジプト政府は豚インフルエンザの予防措置として養豚業者に全ての豚を処分するよう命令しましたが、これを不服とする養豚業者と警察との間で衝突が生じ、約400人のケガ人が出ているようです。


エジプト政府は経済的な保証を表明しているようですが、多くの養豚業者は、ゴミ処理業者を兼ねており、養豚業そのものが成立しなくなるのではないかと危惧しているとの見方があるようです。


エジプトはイスラム教信者が多数派で、養豚業者の多くはキリスト教信者のようです。


WHOは、適切な処置さえすれば、豚肉は感染源にならないと表明しています。


豚インフルエンザは、世界的に急速に拡大しており、さらに、こうした混乱が引き起こされる可能性は否定できませんが、冷静な対応を期待しつつ、今後の推移を見守りたいと思います。



2009年5月3日日曜日

気になるインドの総選挙の行方

インドでは総選挙が行われていますが、最近、極左武装組織インド共産党毛沢東主義派が仕掛けたとみられる地雷が爆発するなど、選挙妨害が続いているようです。


また、インド中部では、気温47.5度が記録され、熱波被害が出ているようです。


今回のインドの総選挙は、4月16日から5月13日まで計5回に分けてインド各地で投票が行われています。


今回の総選挙は地方政党との連立政権になるとの見方があり、与党国民会議派、最大野党インド人民党の地方政党との選挙協力の行方などが注目されるところです。事前の見方ほど、インド人民党の票が伸びていないとの見方もあり、選挙結果が判明しないとはっきりしませんが、今のところインドの政治状況は混沌としているようにも見えます。


インド政府は昨年来、経済対策を発表し、歳出の増額、付加価値税の減税などを実施しています。


4月27日、JCR(日本格付研究所)は、ソブリン・ クォータリー・ レビューで、銀行の流動性問題は最悪期を脱したと見られるものの、輸出や鉱工業生産指数の低迷など実体経済の悪化は当面続く見通しとの見方を示しました。

JCRの経済見通しを前提とするならば、インドの財政赤字はGDP比で悪化見通しと言えます。


基本的に、インドの地方経済は厳しい状況にあり、地方の生活改善や貧困対策が重要と言われています。

一方、例えば携帯電話市場では、世界で中国に次ぐ第2位の市場と言われるインドでは都市部の携帯電話市場は横ばいなものの、地方市場は成長しているとの見方もあります。


総選挙後のインド政権は従来より地方を重視した政権運営を行う可能性が高いとみられますが、改革路線は堅持されるのかなど、どのような政権運営をするのか、今後の推移が見守られるところかと思います。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


4日(月曜)
海外:米 中古住宅販売成約指数 3月
   EU PMI製造業景況指数 4月


5日(火曜)
海外:米 ISM非製造業景況指数 4月
   米 バーナンキFRB議長証言
  EU 生産者物価指数 3月


6日(水曜)
海外:米 ADP雇用統計 4月
   EU PMIサービス業景況指数 4月
   EU 小売売上高 4月


7日(木曜)
国内:オフィスビル空室率

海外:米 新規失業保険申請件数
   米 消費者信用残高 3月
   米 バーナンキFRB議長講演
EU ECB(欧州中央銀行) 政策委員会


8日(金曜)
国内:日本銀行政策委員会 金融政策決定会合 議事要旨公表
海外:米 雇用統計 4月
   米 卸売在庫 3月


週明け後、米国の金融機関に対するストレステストの結果発表とECBの政策決定で利下げ、量的緩和に踏み込むかなどが注目されるところかと思います。



2009年5月2日土曜日

最近の指標から見た消費支出の行方の印象

5月1日、公表された3月の家計調査によれば、季節調整済み消費支出(除く住居等)は、前月比プラス1.8%となりました。

単月ながら2月のマイナスからプラスに転換しました。


4月17日、公表された3月の消費者態度指数(一般世帯)は前月から2.2ポイント改善しました。
3カ月連続の改善でした。


5月1日、公表された労働力調査によれば、3月の完全失業率(季節調整値)は4.8%となりました。
2004年8月以来の高い水準でした。


一般に、消費者態度指数は、民間消費支出の先行指標と理解されるところ、消費支出は改善に向かう可能性が高いように見えます。
しかし、景気の遅行指標と言える失業率の動向が気になるところです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



損益分岐点達成まであと一歩まで改善した米国製造業

5月1日(現地時間)、公表された米国の4月のISM製造業部門指数は40.1と、前月の36.3から改善しました。


これで前月比での改善は4ヶ月連続となりました。


今回、事前の大方の市場予想より改善は進んだと言えます。


米国商務省は、41.2が損益分岐点と推計しています。


今回の指数40.1は、米国が損益分岐点まであと僅かまで改善していることを示唆しているものと考えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年5月1日金曜日

日本式に言えば事前調整型の民事再生法申請となったクライスラー

4月30日(現地時間)、米自動車大手クライスラーは、連邦破産法11条の適用を申請したと発表しました。


連邦破産法11条は、日本の民事再生法に相当し、クライスラーは、日本式に言えば、事前調整型の民事再生法適用申請と言えます。


今後、フィアットとの提携および新会社への資産売却について迅速な承認を求める予定です。


クライスラー自身の会社計画通りに進めば、最短で新会社は1~2ヶ月程度で破産法適用から脱却することになるようです。


オバマ大統領は、今回のクライスラーの破産法申請を通じ、クライスラーがより競争力の高い強い企業として再生することを確信していると表明したようです。


市場は相当程度クライスラーの破産法適用を織り込んできているとみられ、当面は冷静に受け止めていく可能性が高いと思いますが、実際のところディーラーや部品会社への影響などがどの程度に及ぶのか、米国自動車市場で10%程度と思われるクライスラーのシェアが今回の枠組みによってどの程度変動するのか、今後の推移が見守られるところかと思います。



製造工業生産予測指数の予測修正率が11ヶ月ぶりにプラスに転換

4月30日、公表された3月の鉱工業生産指数は、70.6と、前月比プラス1.6%となりました。

6か月ぶりのプラスでした。
プラスに寄与した業種は、電子部品・デバイス工業、一般機械工業、電気機械工業等でした。


3月の在庫率は、150.7と、前月比マイナス4.9%となりました。
6か月ぶりのマイナスでした。


製造工業生産予測調査によると、4月は前月比プラス4.3%、5月は同プラス6.1%でした。

3月の実現率は0.3%、4月の予測修正率は1.5%となりました。


これらの指標を見る限り、2月までは減産しても在庫率は上昇していたのが、3月は生産を増やしても在庫率は低下しており、過剰な在庫は整理がつきはじめているように見えます。


個人的に特に注目しているのが昨年5月以来マイナスが続いていた予測修正率が今回プラスに転じたことです。


予測修正率がプラスになるということは、当初の想定よりも需要が強いこと等から、生産計画を上方修正していることを意味しています。

今後の推移を確認する必要がありますが、単月ながら予測修正率がプラスに転じたことは、生産が転換点を迎えた可能性を示唆していると考えます。


今後の推移を見守りたいと思います。