1月15日の夕刻、アナリストを対象に、ASBJ(企業会計基準委員会)の研究員の方を講師として、IASB(国際会計基準審議会)/FASB(米国財務会計基準審議会)の提案する財務諸表の表示について勉強会が行われました。
定員150名の会場は、多くの出席者で占められ、高い関心の下、約1時間に亘り、講師より、資料を元にポイントについてご説明頂きました。
今回の勉強会は、IASB/FASBによって公表された「Preliminary Views on Financial Statement Presentation」(2008年10月)に対するコメントを2009年4月19日まで募集していることにもとづくものでした。
IASB/FASBは、財務諸表の表示を大きく変更することを提案しており、アナリストの分析業務にも多大な影響を与える可能性が高いと思われます。
例えば、キャッシュフロー計算書を直接法で表示することや多くの調整表を作成しなければならない点などが実務上の観点から十分な検討が必要ではないかとの指摘があるようです。
以前の報道では、利益計算書が包括利益のみになるのではないかとの観測もありましたが、今回のIASB/FASBの提案する財務諸表の表示では、当期純利益も残ることになり、日本の多くの関係者はひとまず良かったとの印象をもったのではないかと思います。
アナリストの企業分析実務としては、例えば、セクターによっては、流動資産と固定資産との間の振替については重要な意味をもつとして着目した分析を行っていますが、今回の提案ではどう取り扱われるかなどに関し質疑が交わされました。
日本の対応は、IASB/FASBでの議論を終えた後に検討することになるようですが、導入となれば、影響は大きく、今後の議論の推移が注視されるところかと思います。