2009年4月19日日曜日

ロシアのチェチェン紛争終結、その他

過日(4月16日)、ロシア政府は、10年間続いていたチェチェン紛争の終結を宣言しました。


ロシア治安部隊の撤退を受け、チェチェン共和国の市民の間には明るさが戻ってきつつあるとのTV報道に接しました。しかし、事はそう簡単ではないようです。


内務省によれば、チェチェンでの作戦終了を受け、治安部隊約2万人が撤収する見込ですが、1師団程度の兵力は残留し、引き続き治安維持に当たる見通しのようです。


長年の対テロ掃討作戦により多数の武装勢力は排除され、ごく少数、海外メディアによれば、数百人程度の武装勢力は存在し、衝突の可能性は続く可能性があります。


最近では、2008年8月23日から24日に、チェチェン共和国の内務省軍の兵員輸送車が襲撃され、約20分間の戦闘の結果、上級将校2人が死亡、将校2人が重傷する事件が発生、同年11月28日には、当局と20人以上の武装勢力との衝突があり、警察官1人が死亡、5人が負傷しました。


しかし、ロシアとしては、武装勢力は制圧され、もはやロシアに抵抗する能力は残っていないと判断されること、ロシア寄りのチェチェン政権が樹立されていることから、終結を宣言したものとみられます。


チェチェン共和国の親ロシア派のカディロフ大統領は、首相時代から敵対する勢力を殺害しているとされ、人権上、懸念する見方が出されています。


さて、ロシアに関しては、報道によれば、ロシアは、2010年にも、10年ぶりの外債発行を計画している模様であり、現在、財政赤字と民間対外債務を抱え、経済もマイナス成長となる見込みです。


5月11日から2日間の日程でロシアのプーチン首相が、来日する予定で、麻生太郎首相と北方領土問題を中心に協議する見通しです。特に根拠があるものではありませんが、ロシア経済の厳しい現状からすると、多少なりとも交渉が進展する可能性もあるのかも知れません。

今後の推移が見守られるところかと思います。