2009年4月30日木曜日

スリランカでの人道上の懸念

スリランカで、人道上の問題が国際的に懸念される状況にあるようです。


4月26日、武装組織LTTE(タミル・イーラム解放のトラ)は、政府との内戦で一方的停戦を表明する声明を発表しました。

当初、政府側はこれを拒否、無条件降伏以外は受け入れない姿勢を示しました。


国連によれば、LTTEの掃討作戦が続く北東部沿岸地域には約5万人の住民が取り残されているとみられます。


4月28日、明石康・日本政府代表は、講演で、スリランカで人道危機が起きており、戦闘に巻き込まれている市民の安全確保をスリランカ政府は最優先すべきとの旨を表明しました。


LTTEは、スリランカ政府による空爆で民間人が標的となっていると非難していましたが、スリランカ政府は、LTTEの掃討作戦が続く北東部沿岸地域への人道支援チームの立ち入りを禁止しているようであり、実際のところ、何が起きているのかは、今のところはっきりしません。


スリランカは、政府軍に大口径の銃砲や戦闘機、航空兵器などの使用を中止したとの報道もありますが、LTTE側は、実行されていないと主張しているようです。


日本はスリランカにとって重要な貿易相手国(輸入、輸出とも第6位)と言えます。


早期にこうした問題が解決されることを期待しつつ、今後の推移を見守りたいと思います。



米国2009_1Q_GDPは市場予想を上回る落ち込み

4月29日(現地時間)、公表された米国の第1四半期GDP(国内総生産)は、年率換算で前期比マイナス6.1%となりました。


市場の大方の事前予想を上回る落ち込みと言えます。

 民間設備投資:マイナス37.9%
 民間住宅投資:マイナス38%
 個人消費支出:プラス2.2%


4月29日(現地時間)、FOMC(連邦公開市場委員会)の声明文が公表されました。

やや減速しているものの、依然として経済は収縮しており、家計支出には安定化の兆しが見られるものの、雇用、住宅市場などで厳しい状況が続いている。また、金融市場はやや緩和し、経済見通しは若干改善したものの、経済活動は今後も当面、弱い状態が続く可能性が高いとの認識を示しました。

また、FOMCは経済環境や金融市場の動向を踏まえ、引き続き、証券買取を含め幅広い流動性確保プログラムを継続していくとしました。


今回のGDPデータを見ると、依然、米国の生産は厳しい状況が続いているところ、在庫が整理されつつあるようにも見えますが、ドルの為替からすると、米国から海外への輸出が大きく伸びる可能性は高くなく、在庫が整理されたとしても、低い生産水準が続きそうな印象です。
ただ、FOMCは、少し明るい兆しを感じさせる声明文の内容です。


財政政策が重要な局面が続いていると考えられるところ、就任後100日を過ぎたオバマ政権は、これから厳しい批判にさらされる可能性があるのではないかと思いますが、今後の推移を見守りたいと思います。



2009年4月29日水曜日

中小企業の景況感と資金繰り

4月28日、公表された商工中金 中小企業月次景況観測によれば、4月の景況判断指数は30.8と、前月比で0.4上昇となりました。


過去最低値となった今年1月の24.8から3ヵ月連続して上昇となりました。


景況判断指数は、商工中金取引先1000社を対象にしたアンケート調査で、指数が50を上回っていれば調査対象企業群の景況判断が前月より好転したことを表し、50を下回っていれば景況判断が前月より悪化したことを表すものです。今回の調査で50を25ヵ月連続して下回りました。


過日(4月1日)、公表された日銀短観(2009年3月調査)における資金繰判断では、中堅企業がマイナス11(前回調査比マイナス9)、中小企業がマイナス23(同マイナス8)となっており、中堅中小企業の資金繰りは相当程度厳しさを増しているとみられます。


こうした指標を見ると、厳しい景況感は続いているものの、中小企業は弱いながら最悪期を脱しつつあるが、資金調達面での困難さは昨年末より増しているように見えます。


最悪期を脱しつつある中小企業を後押しするという観点からすると、2009年3月期はメガバンク3行が揃って赤字見込のところ、金融市場の安定化の重要性は高まっていると改めて確認をしたとの印象です。


今後の推移を見守りたいと思います。



米国の消費者心理と資産価格

4月28日(現地時間)、公表された4月のコンファレンス・ボード消費者信頼感指数は39.2と、3月の26.0、2月の25.3から大きく上昇しました。


これは、市場の大方の事前の予想を大きく上回る水準と言えます。


同日公表された2月のケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏)は前年比マイナス18.6%となりました。


20都市圏全てが前年比マイナスとなりました。


都市圏 前年比(%)

Atlanta -15.3
Boston -7.2
Charlotte -9.4
Chicago -17.6
Cleveland -8.5
Dallas -4.5
Denver -5.7
Detroit -23.6
Las Vegas -31.7
Los Angeles -24.1
Miami -29.5
Minneapolis -20.3
New York -10.2
Phoenix -35.2
Portland -14.4
San Diego -22.9
San Francisco -31.0
Seattle -15.4
Tampa -23.0
Washington -19.2

Source: Standard & Poor's and Fiserv


これらのデータからすると、米国の消費者心理は最近大きく改善しているものの、住宅価格は下落を続けており、逆資産効果やホームエクイティローンなどを考えると、依然として米国の個人が力強い消費を行う環境は整っていないようにも見えます。

ただ、株価は、NYダウが昨年のリーマンショック後、3月に6440.08の安値をつけ、最近では8000ドルを超えており、株価上昇が消費者心理に好影響を及ぼしているのかも知れません。


住宅価格、株価を含め、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年4月28日火曜日

豚インフルエンザの広がりと経済への悪影響の懸念

4月27日(現地時間)、WHOは、メキシコが発生地と思われる豚インフルエンザに関し、世界的大流行に備える警戒レベルについて、現在のフェーズ3から4への引き上げを発表しました。


メキシコの保健省は、豚インフルエンザ感染疑いの死者が103人に達したと発表しました。


メキシコの代表的な株式指標であるIPCの4月27日終値は21827.109と前日比マイナス755.061、同マイナス3.34%となっています。
世界的にメキシコでの豚インフルエンザ流行が報道される直前と思われる4月20日終値は21587.49であり、今のところパニック的な売りはおきていないように見えます。


メキシコは、米国、カナダが全貿易の約69%を占めており、米国にとってメキシコは輸出相手国の第2位、輸入相手国の第3位の地位を占めています。

中期的にメキシコの経済が停滞するならば、米国経済への影響は避けられないと思います。

また、スペインで豚インフルエンザが確認されました。これは、欧州で初めてでした。


最近、景気底打ちの兆しを示す指標が出始めてきたところ、豚インフルエンザの流行は、ヒトやモノの動きを停滞させ、景気の底割れ懸念が強まるものと推定します。


米国自動車支援、米国金融機関に対するストレステストなどのインパクトは、今まで想定していた以上に大きくなる可能性があるのではないかとの印象です。


景気との関係で言えば、最悪のタイミングとも言える今回の豚インフルエンザ問題ですが、今後の推移が見守られるところかと思います。



タリバン、パキスタンの和平交渉の停止

海外メディアによれば、4月27日(現地時間)、タリバンは、パキスタンとの和平に向けた協議を一時停止すると表明したようです。


これは、パキスタン側が、タリバンの支配圏に対する攻撃を行ったためのようです。


タリバンは、パキスタンで支配圏を拡大しており、パキスタン側は、パキスタン北西部で、タリバンの潜伏地を狙って攻撃を行ったようです。


報道の中には、今回のパキスタン側の攻撃の背景には、米国の圧力があるとの見方が出されています。


対決姿勢を強める中、パキスタンがベトナムのような泥沼化にならないことを祈りつつ、今後の推移を見守りたいと思います。



2009年4月27日月曜日

新憲法にもとづきエクアドルで総選挙

エクアドルでは、新憲法に基づきに大統領選挙及び議会選挙を含む総選挙が実施されているようです。


現職の左派 ラファエル・コレア大統領と右派 バナナ産業界の富豪との争いになっているようです。


ラファエル・コレア大統領は、反米強硬派として知られていますが、同国の主要産業は、石油、バナナ、カカオ、生花などの農業で、主要貿易相手国は輸出入共に米国が最大となっています。


ラファエル・コレア大統領は、米州自由貿易協定への対抗策として知られる、ベネズエラのチャベス大統領が主唱している米州ボリバル代替統合構想(ALBA)に賛同を表明していますが、リーマンショック後に開催されたALBA首脳会合にオブザーバーとして出席したものの、加盟はしていません。


2008年12月、コレア大統領は、旧政権下に発行された2012年と30年償還のグローバル債、32億ドルは違法として返済を拒否すると発表し、これら債券はデフォルト(債務不履行)となりました。

コレア大統領は、4月20日にこれら債券を額面の30%以上で買い取るとの債務再編計画を発表しましたが、市場には、債券保有者に厳しい条件を提示することで自身の支持率向上を狙ったものとの見方も出されているようです。


今後、エクアドルが新憲法の下で政治的安定を維持しつつ改革を推進できるのか、米国と中南米との関係改善が指摘される中、対米関係がどうなるのか、デフォルトになった債券はどうなるのか、今後の推移が見守られるところかと思います。



クリントン国務長官がレバノンを電撃訪問

4月26日(現地時間)、米国のクリントン国務長官は、イラクに続き、レバノンを電撃訪問しました。


首都ベイルートでスレイマン大統領と会談しました。


クリントン国務長官は、同国で6月に予定される総選挙が、オープンで自由・公正に行われるよう呼びかけました。

これは、隣国シリアや、シリアの支援を受けるイスラム教シーア派組織ヒズボラなどをけん制したものと受けとめられています。


過日、エジプト治安当局は、レバノンに拠点を置く反米のイスラム教シーア派組織ヒズボラのメンバーらがエジプトでテロ攻撃などを企てたとして、少なくとも四十九人を拘束しました。


レバノンでは、過去、親欧米、親シリアなどの勢力間の闘争で政治家の暗殺事件が多発しました。


6月の国民議会選挙をめぐりこうした闘争が繰り返されるのではないかとの懸念が出されています。

今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年4月26日日曜日

週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


28(火曜)

国内:商業販売統計 3月


29(水曜)

海外:米 GDP 1-3月


30(木曜)

国内:鉱工業生産指数 3月

海外:EU ユーロ圏失業率 3月

       ユーロ圏インフレ率 4月


1(金曜)

国内:消費者物価指数 3月

    家計調査 3月

    失業率 3月

海外:米 ISM製造業景況感指数 4月


米財務省は4月22日までにゼネラル・モーターズに対し運転資金として20億ドルを追加融資しましたが、クライスラーには融資を行いませんでした。クライスラーの破綻可能性が指摘されていますが、米政府が支援の是非を決める期限は4月30日となっています。行方が見守られるところかと思います。



気の緩みを感じるG7

ワシントンで開かれていたG7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)は声明を出して閉幕しました。


声明では、世界経済の急激な悪化がやや緩和しつつあるとの認識を示す一方、先行きへの慎重な見方も示し、下方リスクは継続しており、財政政策の継続が重要との考えを示しました。しかし、具体的な財政面での追加策については示されませんでした。


ドイツのシュタインブリュック財務相は、国内で重要な政治日程があるとして、今回のG7を欠席したようです。これは、4月にロンドンで開かれたG20で欧州側の主張が認められたことから、ドイツにとって今回のG7出席は重要ではなくなったとの見方が出されています。


個人的な印象として、何となく、今回のG7を見ると、気の緩みを感じ、こうした油断が、せっかく底打ちの兆しを示しているのに、適切な対応が継続されずに底割れに陥るのではないかとの懸念を感じた次第です。

ただ、気の緩みの要因が出席した財務相、中央銀行の総裁にあるのか、各国本国の政府にあるのかは微妙ではあるでしょうが。

また、気の緩みではなく、G7の意義の低下と捉えることも可能かも知れませんが、今回の金融市場の混乱の震源地は米国、欧州という先進国であることは議論の余地は限られ、G7は先進国の集まりであることからすると、自らの責任放棄に繋がる見方を採ることには賛成しかねるといったところです。


先ずは、米国のストレステストの結果を含め、米国金融システムの安定化に関し、今後の推移を見守りたいと思います。



2009年4月25日土曜日

企業向けサービス価格指数は前年比6ヶ月連続のマイナス

4月24日、公表された3月の企業向けサービス価格指数は前年同月比マイナス2.1%、前月比プラス0.9%となりました。


前年同月比は、6カ月連続のマイナスとなりましたが、速報値ながら、マイナス幅は前月より0.5%縮小しました。


一般に、企業向けサービス価格指数は消費者物価指数に先行すると考えられるところ、デフレ懸念は続いているものの、ごく僅かながら緩和されたようにも見えます。


ただ、今回のマイナス幅の縮小は為替要因によるものであり、需給ギャップは依然大きいことを考えると、デフレ懸念は依然強いと考えるのが自然かと思います。


今後の推移が見守られるところかと思います。



米国の耐久財の新規受注の印象

4月24日(現地時間)、米国の3月の耐久財の新規受注は前月比マイナス0.8%となりました。


事前の大方の市場予想でもマイナスを予想していましたが、マイナス幅は予想より小幅に留まったと言えます。


ただ、2月の耐久財の新規受注は、前月比プラス3.5%から2.1%プラスへ下方に改定されました。


一般に米国の耐久財新規受注は、景気の先行指標と理解されていますが、過去の推移からすると、先行期間にばらつきがあり、また、月次の変動幅も大きい傾向にあります。


こうしたことを踏まえ、今回のデータを見た印象としては、市場が考えるより米国の耐久財の新規受注は良好な水準とみられるものの、まだ底打ちを確信するまでには至っていないように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年4月24日金曜日

白川総裁、FDIC総裁のコメント

海外メディアによれば、4月23日(現地時間)、米国で、白川日銀総裁が講演し、世界の金融システムは依然として信頼の欠如による打撃を受けているとの認識を示したようです。


4月23日(現地時間)、FDIC(米連邦預金保険公社)総裁は、金融機関や米住宅市場は危機段階を乗り越え、現時点で整理段階にあるとおもうと語ったようです。


同日、NAR(全米不動産業者協会)が発表した3月の中古住宅販売戸数は前月比マイナス3.0%、年率457万戸となりました。 


事前の大方の市場予想を下回る水準と言えます。


金融システムは依然厳しい状況にありますが、最近の大手米銀の決算内容からみると、一部ではあるものの回復に向かう動きが認められるものの、実態経済の動きは鈍いという印象です。


金融安定化に向けた動きを含め、今後の推移を見守りたいと思います。



開票進む南ア、投票が開始されたインド、選挙の行方

南アフリカでは4月22日に総選挙の投票が行われ、凡そ4割程度の開票が進んでいるようです。


中間集計による得票率は、与党ANCが66%、民主同盟が17%、国民会議が8%といった状況のようです。


ANCの勝利とズマ氏の次期大統領就任は確実な情勢ですが、与党ANCが議席の3分の2を占めるかどうかは微妙な情勢です。


ANCには汚職体質があるとの指摘があるようですが、民主同盟はクリーンな政治を打ち出しています。


高い投票率から国民の高い関心を表す南アフリカの総選挙ですが、選挙結果が南アの政治にどの程度の影響があるか、選挙結果の行方が気になるところです。


インドでは、4月16日から下院総選挙の投票が始まりました。選挙は5月中旬まで続きます。


現在のところ、地方政党が主導権を握りそうな展開となっているようです。


インドの2大政党は、ネール・ガンジー政権の流れをくむ 与党 国民会議派とヒンズー至上主義を掲げる 野党 インド人民党ですが、今回の総選挙後、地方政党との連立政権が誕生する可能性が指摘されているようです。


今回のインドの総選挙では、毛派の反政府組織による選挙妨害が目的とみられる爆発や列車占拠などが相次いでいるようです。


日本でも確実に年内に衆院総選挙が行われます。


世界の政治が何処に向かうのか、各国の選挙の行方が見守られるところかと思います。



2009年4月23日木曜日

ウェルズ・ファーゴの好決算、モルガン・スタンレーの市場予想より悪い決算

4月22日(現地時間)、大手米銀ウェルズ・ファーゴは2009年第1四半期決算を公表しました。

利益は過去最大の30億5千万ドルとなりました。

住宅ローン業務が寄与しました。

貸倒償却は32億6千万ドルと、前四半期の61億ドルから減少しました。

モーゲージとホームエクイティローンの貸出額は前四半期からほ倍増し、第2四半期も堅調に推移するようです。


4月22日(現地時間)、大手米銀モルガン・スタンレーは2009年第1四半期決算を公表しました。

2四半期連続で赤字となりました。

不動産投資関連損失などが影響しました。


市場では、ウェルズ・ファーゴは好決算、モルガン・スタンレーは予想より悪い決算と受けとめたようです。


個別金融機関で大きく印象が異なり、「大手米銀」という括りで捉えることの難しさを改めて認識した次第です。


市場全体のセンチメントを推定するに、個別金融機関の決算により影響を受けると考えられるところ、NY株式市場の動きとしては、NYダウ終値は前日比マイナス82.99(同マイナス1.04%)の7886.57ドルとなったことからすると、ネガティブな情報に反応したようです。


市場のセンチメントを含め、今後の推移が見守られるところかと思います。



IMFは世界経済見通しを引下げ

4月22日(現地時間)、IMF(国際通貨基金)は、新たな経済見通しを公表しました。


世界経済成長率は2009年にマイナス1.3%と戦後最大の落ち込みになり、2010年にはプラス1.9%程度に回復するが、金融セクターの苦境により景気回復のペースは遅いとする見通しを明らかにしました。


IMFは、今年1月時点では2009年の成長率をプラス0.5%と見込んでいました。


今回のIMFの見通し引き下げの大きな要因は、金融市場の安定化に予想以上に時間がかかるとの見方に基づいているようです。


各国別の見通しは下表の通りです。


各国の金融市場の安定化や経済対策への取組みと国際協調が重要と考えられるところ、今後の推移が見守られるところかと思います。



Year over Year
Projections
2007200820092010
United States2.01.1–2.80.0
Euro area2.70.9–4.2–0.4
Germany2.51.3–5.6–1.0
France2.10.7–3.00.4
Italy1.6–1.0–4.4–0.4
Spain3.71.2–3.0–0.7
Japan2.4–0.6–6.20.5
United Kingdom3.00.7–4.1–0.4
Emerging and developing economies8.36.11.64.0
Africa6.25.22.03.9
Sub-Sahara6.95.51.73.8
Central and eastern Europe5.42.9–3.70.8
Commonwealth of Independent States8.65.5–5.11.2
Russia8.15.6–6.00.5
Excluding Russia9.95.3–2.93.1
Developing Asia10.67.74.86.1
China13.09.06.57.5
India9.37.34.55.6
ASEAN–56.34.90.02.3
Middle East6.35.92.53.5
Western Hemisphere5.74.2–1.51.6
Brazil5.75.1–1.32.2
Mexico3.31.3–3.71.0
(出所)IMF



2009年4月22日水曜日

ドイツZEW景気期待指数はマイナスから反転しプラスに

4月21日(現地時間)、ドイツのZEW(欧州経済センター)が発表した4月の独ZEW景気期待指数は13.0と、前月のマイナス3.5から反転し、プラスに転じました。


同指数がプラスになったのは2007年7月以来のことでした。


大方の事前の市場予想を大きく上回る(良好な)水準と言えます。


4月のZEW現況指数はマイナス91.6と、前月のマイナス89.4から悪化しました。


大方の事前の市場予想を下回る(悪い)水準と言えます。


独のZEW景気期待指数は、アンケートによる6ヶ月先の景気見通しに関する景況感調査であり、今回の公表結果のみを見ると、単月ながら、ドイツの足元の景況感は厳しいものの、底打ちの兆しを示しているように見えます。


日米に比べ、経済的に厳しいと言われる欧州経済ですが、欧州最大の経済圏であるドイツの景況感の今後の推移を見守りたいと思います。



IMFは世界金融の評価損を約4兆ドルと推定

4月21日(現地時間)、IMF(国際通貨基金)は、世界の金融機関が保有する不良資産の評価損失は約4兆ドルに達する可能性があると発表しました。


米国2.7兆ドル、ユーロ圏+英国1.2兆ドル、日本0.15兆ドルと推定しています。


米国の損失はここ半年で2倍に増えたと推定しています。


世界の銀行の抱える評価損失は約2.8兆ドルで、約3分の1の損失が計上済みと推定しています。


今回のIMFの公表内容を見ると、改めて、金融機関に対する追加資本投入と不良資産の切り離しが重要と思います。


海外メディアによれば、4月21日(現地時間)、米国のガイトナー財務長官は、TARP(不良資産救済プログラム)に関する米議会の委員会で、不良資産は米金融システムを目詰まりさせており、信用供与の流れを回復することを困難にしていると述べたようです。


現在、米国大手金融機関の決算発表が進んでいますが、米国財務省は大手米銀を対象としたストレステストを実施しており、5月に一部の結果が公表される見通しです。


今までの米国大手金融機関の決算発表内容からすると、金融機関により内容に差があるとの印象ですが、ストレステストの結果が注目されます。


最近、米国大手金融機関の中には、公的資本の返済意向を表明するところが出ていますが、ストレステストの結果によっては、一段の資本調達を必要とされる可能性があります。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年4月21日火曜日

国連におけるイラン大統領の演説を西側代表団がボイコット

4月20日(現地時間)、国連欧州本部で世界人種差別撤廃会議が開かれ、イランのアハマディネジャド大統領が演説を行いました。


米国はこれに反発し、出席を事前にボイコットしました。


アハマディネジャド大統領は、イスラエルは人種差別政権であり、パレスチナを迫害していると非難し、これを聞いた英仏など西側の代表団は次々に退場しました。


各種報道によれば、アハマディネジャド大統領は、60年前のイスラエルの建国そのものを認めない立場のようです。


同会議は、人種主義について世界が共通の目標を持つことを目指したものですが、亀裂を鮮明にする結果となってしまったように見えます。


海外メディアの中には、主催したパン・ギムン国連事務総長は大失態を演じたとする見方が出されています。


米国は日本で開催されたパキスタン支援に関する会議に際し、パキスタンに対するイランの積極的な姿勢を歓迎すると述べるなど、接触が明らかになったばかりでした。

また、スパイ活動の罪で有罪判決を受けた日系米国人ジャーナリストをめぐり、アハマディネジャド大統領は公正な扱いを求める書簡を司法当局に送り、事態の沈静化を探る構えを見せたばかりでもありました。


今後の推移を見守りたいと思います。




バンカメ決算は市場予想より利益は高かったものの

4月20日(現地時間)大手米銀バンク・オブ・アメリカは2009年第1四半期決算を発表しました。


純利益は1株当たり0.44ドルと、前年同期の同0.23ドルから増加しました。


保有株式の売却に伴う利益など一時的な利益が寄与する一方、貸倒損失は前年同期比で2倍以上に、不良資産は同3倍以上にそれぞれ拡大しました。


買収したメリルリンチの業績が純利益に占める割合は30億ドル超としました。


利益の水準は事前の大方の予想を上回りましたが、一時的要因による利益によるものでお、決算内容は悪化しているとの印象と言えます。


同日のNY市場は、バンカメ決算が金融株を圧迫し、NYダウ終値は7,841.73と前日比マイナス289.60(同マイナス3.56%)で引けました。


水曜日にはウェルズ・ファーゴ、モルガン・スタンレーの決算発表が予定されています。

今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年4月20日月曜日

関係改善に向かう米、中南米

4月19日(現地時間)、 トリニダード・トバゴで開催されていた米州首脳会議は閉会しました。


米国と中南米は、関係改善に向かっていることが鮮明になったようです。


昨年9月、反米路線で知られるベネズエラのチャベス大統領は、チャベス大統領の暗殺を陰謀している組織の後ろ盾に米国の存在があるとして、同国に駐在する米国大使を国外退去するように命じました。
また駐米ベネズエラ大使は帰還することになりました。


今回の会議で、チャベス大統領はオバマ大統領に対し、ウルグアイの左派系作家の著書を贈り、会議の場でオバマ大統領に、友達になりたいと改めて述べたようです。


中南米諸国は米国に対しキューバ制裁の解除を求める圧力をかけたようですが、サマーズ氏は、民主化などの面でキューバ側が行動を改めるべきと表明しました。


関係改善に向かう米州関係の今後の推移が見守られるところかと思います。



南アの選挙の行方

南アフリカで国民議会選挙が4月22日に実施される予定であり、活発な選挙活動が行われています。


今回、与党のANC(アフリカ民族会議)の勝利とANC議長ズマ氏の次期大統領が確実視されているようです。


ズマ氏は収賄罪などでの訴追が問題になっていましたが、最近、南アフリカ国家検察局は、ズマ氏に対する収賄罪などの訴追を手続上の問題で断念することを明らかにしました。


90歳になるマンデラ氏は、ANCの集会に出席し、ズマ氏への支持を公の場で明らかにしました。


ズマ氏の貧困層を優遇するポピュリスト的な言動から、白人や黒人富裕層を中心にズマ氏嫌いも根強いとされ、野党の台頭が指摘される中、ANCがどの程度まで票を伸ばすのかが注目されるところです。


南アの3月のPMI(インベステック製造業購買担当者指数)は36と、11カ月連続の前月割れが続いているなど、厳しい経済状況が続いています。

南ア当局は昨年12月以降計2.5ポイントの利下げを実施した同国には、追加利下げの余地が十分にあるとしているようです。


選挙、経済など南アの今後の行方が見守られるところかと思います。



2009年4月19日日曜日

ロシアのチェチェン紛争終結、その他

過日(4月16日)、ロシア政府は、10年間続いていたチェチェン紛争の終結を宣言しました。


ロシア治安部隊の撤退を受け、チェチェン共和国の市民の間には明るさが戻ってきつつあるとのTV報道に接しました。しかし、事はそう簡単ではないようです。


内務省によれば、チェチェンでの作戦終了を受け、治安部隊約2万人が撤収する見込ですが、1師団程度の兵力は残留し、引き続き治安維持に当たる見通しのようです。


長年の対テロ掃討作戦により多数の武装勢力は排除され、ごく少数、海外メディアによれば、数百人程度の武装勢力は存在し、衝突の可能性は続く可能性があります。


最近では、2008年8月23日から24日に、チェチェン共和国の内務省軍の兵員輸送車が襲撃され、約20分間の戦闘の結果、上級将校2人が死亡、将校2人が重傷する事件が発生、同年11月28日には、当局と20人以上の武装勢力との衝突があり、警察官1人が死亡、5人が負傷しました。


しかし、ロシアとしては、武装勢力は制圧され、もはやロシアに抵抗する能力は残っていないと判断されること、ロシア寄りのチェチェン政権が樹立されていることから、終結を宣言したものとみられます。


チェチェン共和国の親ロシア派のカディロフ大統領は、首相時代から敵対する勢力を殺害しているとされ、人権上、懸念する見方が出されています。


さて、ロシアに関しては、報道によれば、ロシアは、2010年にも、10年ぶりの外債発行を計画している模様であり、現在、財政赤字と民間対外債務を抱え、経済もマイナス成長となる見込みです。


5月11日から2日間の日程でロシアのプーチン首相が、来日する予定で、麻生太郎首相と北方領土問題を中心に協議する見通しです。特に根拠があるものではありませんが、ロシア経済の厳しい現状からすると、多少なりとも交渉が進展する可能性もあるのかも知れません。

今後の推移が見守られるところかと思います。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


20日(月曜)
国内:景気動向指数 2月
コンビニエンスストア売上高 3月
海外:米 決算発表 バンク・オブ・アメリカ
   米 決算発表 メリルリンチ


21日(火曜)
海外:EU ZEW景況感指数 4月


22日(水曜)
国内:貿易統計 3月
   全国スーパー売上高 3月
海外:米 MBA住宅ローン申請指数
  米 決算発表 ウェルズ・ファーゴ
米 決算発表 モルガン・スタンレー
   EU ユーロ圏政府債務の対GDP比率


23日(木)
国内:白川日銀総裁、講演(於、米国)
海外:米 新規失業保険申請件数
   米 中古住宅販売件数 3月
   米 決算発表 アメリカン・エキスプレス
   EU PMI製造業・サービス業景況指数 4月
   EU 鉱工業新規受注 2月


24日(金曜)
国内:企業向けサービス価格 3月
   全産業活動指数 2月
海外:米 G7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)
   米 耐久財新規受注 3月
   米 新築住宅販売件数 3月


米国では5月4日に金融機関に対するストレステスト(健全性審査)の公表が予定されています。
市場が注視していたシティグループは好決算と言える内容でしたが、週明け後も米国大手金融機関の決算が注目されるところかと思います。



2009年4月18日土曜日

ミシガン大消費者信頼感指数と格下げとなった米国百貨店

4月17日(現地時間)、公表された4月のミシガン大学米消費者信頼感指数(速報値)は61.9と、前月(57.3)より上昇しました。


消費者期待指数は58.9と、前月(53.5)より上昇しました。


このデータのみを見る限り、米国景気は底打ちの可能性を示唆しているように見えますが、まだ十分な確信を得るまでには至っていないとの印象です。


4月16日(現地時間)、格付機関のS&Pは、大手米百貨店の格付けを引き下げました。


格下げに際し、S&Pは、雇用環境の悪化、住宅市場の冷え込み、金融市場も混乱が続くなど、景気後退は少なくとも今年第3四半期までは続く見通しであり、消費支出の減少に伴い、客足が鈍ることで、百貨店の今年の売上高や利益に影響が出ることが予想されると表明しました。


4月17日、公表された日本の3月の全国百貨店売上高は、前年同月比マイナス13.1%(既存店ベース)と、13カ月連続の前年割れとなりました。


消費マインドの改善が消費支出に繋がっていくには越えなければいけないハードルは低くないように思えます。

今後の推移が見守られるところかと思います。



市場予想より赤字が小幅だったシティグループの決算

4月17日(現地時間)、米国大手金融機関シティグループが2009年第1四半期決算を発表しました。


決算は、赤字(1株当たり0.18ドルの損失)でしたが、前年同期(同1.03ドル)に比べ赤字幅は大きく縮小しました。


事前の大方の市場予想より赤字は少ない水準に留まったと言えます。


部門別では、法人向け部門は黒字に転換し、個人向け部門は赤字となりました。


今回の決算から受ける印象としては、シティグループは、自らの経営努力で改善できるバッファは縮小し、景気動向の影響を受ける割合が高くなっていると推定します。


米国大手金融機関の経営が市場が予想するより改善しているとすれば、金融市場の安定化にとって、中期的には規制の行方が気にかかるところです。


4月17日(現地時間)、バーナンキFRB議長は、講演で、金融技術の革新から消費者が恩恵を受けることは是とするものの、高い手数料を得るために、意図的に複雑にした金融商品に対する規制強化の可能性について述べたようです。


景気動向を含め、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年4月17日金曜日

大方の市場予想より悪い内容となった米国住宅着工件数

4月16日(現地時間)、公表された3月の米国住宅着工件数は前月比マイナス10.8%、年率51万件となりました。


大方の事前の市場予想は前月比マイナスを予想していましたが、マイナス幅は大方の市場予想より悪かったと言えます。


前月、予想外の増加を示し、回復に向かっているように見えた米国住宅市場の厳しい状況にあるようにも見えます。


米住宅着工件数


3月(千戸)前月比
全国510-10.80%
Northeast676.30%
Midwest10215.90%
South268-16.80%
West73-26.30%

(出所)米商務省


地域的にみると、Westで大きく落ち込んでおり、地域的に差が大きく、市場の好転が全国的な動きになるには今しばらく時間がかかるのかもしれないと思わせるというのが印象です。


今後の推移を見守りたいと思います。



市場予想より良好だったJPモルガン決算

4月16日(現地時間)、大手米銀JPモルガンは2009年第1四半期決算を発表しました。


1株当たり利益は0.40ドルと、前年同期の0.67ドルに比べ減益となりましたが、事前の大方の市場予想より良好な水準と言えます。


海外メディアによれば、JPモルガンのダイモンCEOは、昨年受けた公的資金250億ドルの返済意向を表明したようです。

JPモルガンの自己資本比率(Tier1)は11.3%、公的資金返済後で9.2%のようです。


JPモルガンの説明によれば、今回、証券化商品やサブプライムローンに関連した損失計上は限定的であったようですが、消費者向けの資産残高の水準は高く、景気動向の影響を受けやすいと認識しているようです。


ゴールドマンサックス、JPモルガンと大手米銀の決算は、市場が考えていたよりも良好な内容が続き、金融の不安定化による景気の底割れ懸念は低下したようにも思いますが、大手米銀自身の資産構成からすると、そう簡単な構図として捉えていいかどうかは微妙な気もします。


シティグループをはじめ、予定されている大手米銀の決算の内容が気にかかるところです。
今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年4月16日木曜日

米国住宅市場は改善に向かっているように見える

4月15日(現地時間)、全米住宅建設業者協会が発表した4月の住宅建設業者指数は14と前月の9から上昇しました。
2008年10月以来の高い水準となりました。

6カ月先の住宅販売見通しを示す指数は25と、前月の15から上昇しました。


印象としては、米国住宅建設市場は改善に向かっているように見えます。


2月の米住宅着工件数は、前月比22.2%プラスの年率58万3千件と、1990年1月以来の大幅な増加率を示しました。
米住宅建築許可件数は3.0%プラスの54万7千件と、2008年4月以来の増加となりました。


4月16日(現地時間)に3月の米住宅着工件数、米住宅建築許可件数が公表予定ですが、大方の市場予想では前月比マイナスを予想しています。

発表が見守られるところかと思います。



米鉱工業生産は市場予想を上回るマイナス幅

4月15日(現地時間)、FRB(米連邦準備理事会)が発表した3月の鉱工業生産(季節調整値)は、マイナス1.5%となりました。


事前の大方の市場予想よりマイナス幅は大きかったと言えます。

マイナスは6カ月連続となりました。


耐久消費財はマイナス2.4%となりました。

前月はマイナス1.2%でした。


4月2日(現地時間)に米国商務省より公表された2月の米耐久財受注は、プラス3.5%と、前月のマイナス7.8%からプラスに転じました。


一般に、米国鉱工業生産指数は、米国景気の一致指数と考えられるところ、景気後退は市場が考えるよりも厳しい状況が続いており、消費者は財布のヒモを引き締めているように見えます。

しかし、先行指標である耐久財受注が単月ながらプラスになったところからすると、底打ちの兆しを示しているように見えます。


同日公表されたFRBのベージュブック(地区連銀経済報告)は、経済が3月から4月初旬にかけて軟調に推移したものの、経済減速ペースは鈍化しており、景気後退が終わりに近づいている可能性を示す兆しが散在的に見られるとしました。


12地区中5地区が経済減速ペースの鈍化を報告しました。


今後の推移を見守りたいと思います。



2009年4月15日水曜日

米国当局の懸念

昨日のゴールドマン・サックスの1日早い好決算の発表は、他金融機関の動向を確認することが必要とは思うものの、まずは好ましいニュースとして受けとめられるものかと思います。


しかし、海外メディアによれば、当局の中には、ゴールドマンサックスのの公的資金返済計画は、当面、公的資金を返済出来ない弱い金融機関にマイナスの影響が及ぶ可能性があることを懸念しているとの見方が出されています。


確かに、日本の金融危機当時の動きを思い起こすと、弱い金融機関に圧力がかかるとは思います。


しかし、市場原理を活用して金融市場の安定化を図っていくとすれば、タイミングの問題はあるとしても、中期的には、こうした圧力がかかることは懸念すべき事項と言えるかどうかは微妙な問題ではないかとの第一印象です。


勝手な想像に過ぎませんが、金融機関の経営状況を把握する当局とすれば、強い金融機関がごく一部で、大半が弱い金融機関であって、金融システムに重大な影響があると考えているのかも知れません。


現状では、自分は適切な判断をするだけの材料を持ち合わせておらず、今後、当局と金融機関の動きを見守りたいと思います。



3ヵ月ぶりにマイナスとなった米国小売売上高

4月14日(現地時間)、米商務省が発表した3月の小売売上高は3443.8億ドル、前月比マイナス1.1%減となりました。


2009年1月、2月と2カ月連続のプラスが続きましたが、3カ月ぶりにマイナスに転じました。


事前の市場の大方の予想は、前月比プラスが続くとしていたと言えます。


米国の個人消費の4割を占める小売売上高は、景気の先行指標として注目されるところですが、底打ちの兆しを示していた小売売上高が、単月の動きとは言え3月の小売売上高がマイナスになったことは、底打ちは遠のいたことを示したようにも見えます。


しかし、先週、米労働省が発表した週間の新規失業保険申請件数は65万4千件と、その前の週の67万4千件から2万件減少しています。4週間移動平均でもマイナスとなったことからすると、当面、失業率は上昇するとしても、先々天井を打つ可能性を示しているようにも見えます。ただ、新規失業保険申請件数は上方修正されている傾向があることが気にかかるところではあります。


経済は後退を続けており、底打ちするとしても相当経済状況は弱く、政府の景気刺激策などの支えが重要な状況が続いているとの印象です。
今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年4月14日火曜日

ゴールドマンサックスは市場予想を上回る好決算を発表

4月13日(現地時間)、米国大手金融機関ゴールドマン・サックスは予定より1日早く決算を発表しました。


同社の2009年第1四半期は、1株当たり利益が3.39ドルとなりました。


これは、市場の大方の予想を大きく上回る水準と言えます。


海外メディアによれば、ゴールドマン・サックスは、100億ドルの政府融資を返済するための方策として、数十億ドル規模の株式発行を検討しているとの観測が出されています。


ゴールドマンサックスは、市場が考えているより収益改善ペースは速く、財務も改善していく可能性があるように見えます。

これが、ゴールドマンサックス固有の事情なのか、米国の大手金融機関に幅広く認められるのか、今週予定されているJPモルガン、シティグループの決算発表が注目されるところかと思います。



企業物価指数の前月比マイナス幅は縮小傾向、前年比マイナス幅は拡大傾向


4月13日、発表された3月の企業物価指数(速報)によれば、国内企業物価指数(2005年=100.0)は104.3、前月比マイナス0.2%、前年比マイナス2.2%となりました。


前月比では昨年9月以来のマイナスが続いていますが、マイナス幅は縮小傾向を見せています。

前年比では3カ月連続のマイナスとなり、マイナス幅は拡大しています。


輸入物価指数は円ベースで100.8、前月比プラス3.4%、前年比マイナス19.6%となりました。 


一般に、企業物価指数は、需給に敏感に反応すると考えられるところ、国内企業物価指数は前年比では大幅なマイナスとなったものの、前月比のマイナス幅は縮小してきていることからすると、価格下落は続いているものの、落ち着きつつあるようにも見えます。


輸入物価指数が前月比プラスになったのは、円安の影響と考えられ、仮に、為替水準が同様とするならば、政府の景気対策によって需給が改善し、生産コスト面と併せ、価格は下げ止まり、上昇する可能性もあるように見えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年4月13日月曜日

ジンバブエで自国通貨停止

海外メディアによれば、4月12日(現地時間)、ジンバブエ政府は自国通貨の1年間の停止を発表したとのことです。


ジンバブエでは、超インフレを背景に、外貨での国内取引を合法化して以来、事実上、自国通貨ジンバブエドルでの取引は消滅したと言われていました。


今後の推移が見守られるところかと思います。



モルドバで選挙結果の再集計が行われる模様、気になるロシア・EU等との対立の行方

海外メディアによれば、4月12日(現地時間)、旧ソ連のモルドバ共和国の議会選の選挙結果について再集計を行うことになったようです。


先ごろ選挙が行われたモルドバ共和国では、共産党は第一党の座を維持しましたが獲得議席は60議席で、単独で大統領を選出できる61議席には届きませんでした。


この議会選の選挙の集計について、野党支持者は、不正があったとして、再集計を求め、首都では野党支持者が大統領府を占拠するなどしていました。

こうした抗議活動により、200人を超える逮捕者が出ている模様です。


3月20日(現地時間)、EUは、EUとロシアの間に位置する旧ソ連の6カ国との連携を強化していくことで合意しました。
今年5月に6カ国とEU27カ国による首脳会議を開く予定です。

この6カ国とは、モルドバ、ベラルーシ、グルジア、ウクライナ、アルメニア、アゼルバイジャンです。

EUは、各国の民主化を促進し、天然ガスなどのエネルギーの供給ルートを確保する狙いがあると言われています。


報道によれば、4月9日(現地時間)、ロシアのラブロフ外相は、モルドバの暴動に関し、EUの対応をけん制する発言を行ったようです。


こうした動きは、ロシアとEU等との対立を深めていく可能性があるように見えます。

現在、世界的な金融市場の混乱、経済後退に国際協調が重要な局面にあって、気にかかるところです。
今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年4月12日日曜日

最近のジンバブエに関する動き


ムガベ大統領による長期政権が続くジンバブエは、超インフレにより通貨価値が急落し、経済状況がひっ迫しています。


国連は、ジンバブエの失業率を94%と推定しています。


ジンバブエは今年2月、昨年の大統領選で激しく対立した与野党による連立政権が樹立され、前最大野党、民主変革運動(MDC)のツァンギライ議長が連立政権の首相に就任しました。


同国政府はこれを機に、国際関係の改善を期待していました。


しかし、海外メディアによれば、IMFは、ジンバブエが健全な政策を提示し、債務を返済するまで融資は実施しないとの判断を示したとのことです。


注目されるツァンギライ首相には不幸が続いているようです。


過日(4月4日、現地時間)、ジンバブエのツァンギライ首相の2歳のお孫さんが、同首相の自宅にあるプールで溺れて死亡しました。


同首相は、3月6日に妻を交通事故で亡くしたばかりでした。


WHOによれば、ジンバブエでは依然としてコレラ感染者が高水準であるものの、最近では大幅な減少を示しており、最悪期は脱したのではないかとの見方が出されています。


厳しいニュースが続くジンバブエですが、明るい兆しを示すニュースもあると言えようかと思います。


政治、経済、人道などで世界の注目を集めるジンバブエ情勢ですが、今後の推移を見守りたいと思います。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


13日(月曜)
国内:企業物価指数 3月


14日(火曜)
海外:米 生産者物価指数 3月
   米 小売売上高 3月
   米 決算発表-ゴールドマン・サックス


15日(水曜)
国内:鉱工業生産 2月
商業販売統計 2月
首都圏・近畿圏マンション 3月 不動産経済研究所
海外:米 MBA住宅ローン申請指数
   米 消費者物価指数 3月
  米 ニューヨーク連銀製造業景気指数
  米 鉱工業生産・設備稼働率 3月
   米 地区連銀経済報告


16日(木曜)
海外:米 新規失業保険申請件数
   米 住宅着工・建設許可件数 3月
   米 決算発表-JPモルガン
   EU 新車販売台数 3月
   EU 消費者物価指数 3月
   EU 鉱工業生産 2月


17日(金曜)
国内:日本銀行 全国支店長会議
   第3次産業活動指数 2月
   毎月勤労統計 2月
   消費動向調査 3月
  百貨店売上高 3月

海外:米 ミシガン大学消費者信頼感指数 4月
   米 バーナンキFRB議長講演
   米 決算発表-シティグループ
   EU 貿易収支 2月


米国金融機関の決算発表、ゴールドマンサックス、JPモルガン、シティグループが予定されており、注目されるところかと思います。



2009年4月11日土曜日

ソマリア沖で海賊の人質となった米国船長に思うこと

先日(4月8日、現地時間)、ソマリア沖で、米国船籍の貨物船が武装した海賊に襲撃されました。


海賊は船長を人質にとって救命ボートに移り身代金を要求しているようです。


海外メディアによれば、近海の米駆逐艦などが救援に向かい、現在は、海賊らを制圧した状態にあるようです。


最近、ソマリア沖では多数の船が海賊に襲われていますが、米国船籍が海賊に襲撃されるのは近年では例がないようです。


海外メディアによれば、船長は、乗員の安全を確保するため、海賊に対し、自ら進んで人質になったとの報道もあります。

船長は、人質になったあと、海に飛び込み脱出を図ったものの、海賊に再び捕まり、人質状態は続いているようです。


米国は、同海域に複数の艦船を派遣している模様です。


CNNによれば、2004年にノーベル平和賞を受賞したケニアの女性環境保護活動家ワンガリ・マータイ氏が米国での著書出版を前に電話取材に応え、世界不況を引き起こした支配層の貪欲さを批判、アフリカでも同じことが起きていると警告し、アフリカ民衆に蜂起を訴えたようです。


マータイ氏の発言の趣旨は、海賊行動を勧めるものではないことは明らかですが、世界的な景気後退の影響を受けているアフリカの国の民衆の不満が何処に向かうのか、気にかかるところであり、今後の推移が見守られるところかと思います。



企業向けサービス業は厳しい状況が続くものの、個人向けサービス業の一部に明るい兆し

4月10日に経済産業省は、特定サービス産業動態統計調査を公表しました。


2009年2月の調査業種の対事業所サービス業向け売上高等は、前年同月比で全ての業種がマイナスとなりました。

個別業種では、リース業は21カ月連続のマイナス、広告業、レンタル業はいずれも12カ月連続のマイナス、クレジットカード業、エンジニアリング業はいずれも2カ月連続のマイナス、情報サービス業は2カ月ぶりのマイナスとなりました。

なお、広告業及びクレジットカード業は調査開始以来、最大のマイナス幅となりました。


対個人サービス業向け売上高等は、趣味・娯楽関連については、ゴルフ場、ゴルフ練習場、遊園地・テーマパーク、映画館が前年同月比プラスとなりました。教養・生活関連については、学習塾が前年同月比プラスとなりました。


先日(3月26日)に日本銀行が発表した2月企業向けサービス価格指数速報(2000年=100)は92.1で、前年比2.6%のマイナス、前月比0.2%のプラスとなりました。

前月比でのプラスは7カ月ぶりでした。


サービス業の中で、企業向の広告、情報サービス、金融などの価格下落が続く中、こうした業種では需要面での厳しい状況が続いているところ、デフレ懸念が強まっているように見えます。


一方、個人向けのサービス業の中には、前年同月比プラスに転じる兆しを見せています。


最近の高速道路の1000円での利用、定額給付金などが、こうした動きを後押ししている面もあるかも知れません。力強い動きにするためには、雇用などが中期的に上向いていくことが重要とみられるところ、政府の実効性のある景気対策や中小企業対策が期待されます。


4月10日、政府・与党は、追加景気対策を正式決定しました。

2009年度補正予算案に盛り込む実質的な財政支出額は、約15兆4千億円と補正予算として過去最大となります。

今後の推移が見守られるところかと思います。




2009年4月10日金曜日

米国貿易赤字は予想以上の小幅に留まる

4月9日(現地時間)、米商務省が発表した2月の貿易統計によれば、米国の貿易赤字は、259億7000万ドルと28.3%減少しました。


輸入は前月比5.1%減少し、輸出は前月比1.6%増加しました。


前月は362億ドルの赤字でした。


2月の貿易赤字幅は、事前の大方の市場予想より小幅になったと言えます。


財・サービス収支は次の通りです


収支  


(10億ドル)
 サービス
Jan-09-46.910.7
Feb-09-36.910.9
Jan-08-70.711.5
Feb-08-73.011.1


財・サービス収支は、米国の外国製品に対する需要と米国製品の海外販売力を示すと考えられるところ、景気後退により、米国消費者の需要減退は続いているように見えます。


昨年公的資金の注入を受けた大手米銀ウェルズ・ファーゴは、2009年第1四半期の純利益が約30億ドルになるとの見通しを示しました。

大方の事前の市場予想より、良好な決算内容と言えます。


米国は、消費は厳しい状況にあるものの、金融機関の決算は予想外に良好なのかもしれません。来週以降本格化する米国金融機関の決算が注目されるところかと思います。



イランが核開発計画の進展を明らかに

海外メディアによれば、4月9日(現地時間)、イランのアハマディネジャド大統領は、核開発計画の進展を明らかにし、2基のウラン濃縮用の新型遠心分離機を実験する(実験したとの報道もあるようです)と表明したようです。


また、従来型の遠心分離機7000基が稼働していることも明らかにしました。


しかし、西側機関によれば、イランの遠心分離機は3000基程度との見方が出されています。


4月8日(現地時間)、国連安全保障理事会の5常任理事国にドイツを加えた6カ国は、ロンドンでイラン核問題を巡る高官協議を開き、イランに6カ国代表との協議に参加するよう求めることを決めました。


イランは、米国オバマ政権の対話路線への期待を表明していますが、今回のアハマディネジャド大統領の表明に対し、イランは核開発に関し虚勢を張り、挑戦的な態度を続けており、イランには変化が無かったと受け止める見方があるようです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年4月9日木曜日

FOMC議事録公表

4月8日(現地時間)、FRB(米連邦準備理事会)は、3月17~18日のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録を公表しました。


この議事録によれば、期間が長めの多様な資産を大幅に追加購入することが適切との見方で一致したことが明らかになりました。


また、議事録では、依然として金融市場の混乱は続いており、経済見通しの下振れリスクに懸念が示されています。


FRBは、大胆な量的緩和策を継続していく可能性が高いことを示唆しているように見えます。


量的緩和に踏み切るのではないかとの見方が出されているECBは、先日(4月2日、現地時間)の政策委員会後の記者会見で、金利以外の政策手段を5月に発表すると表明しました。


カナダ中銀も量的緩和に踏み切るのではないかとの観測にあるようです。


市場では、インフレが抑制され正しい出口戦略が実施されれば、量的緩和は、必ずしも通貨の価値下落にはならず、通貨上昇につながる可能性さえあるとの見方もあるようです。


確かに、現在までのところ、ドルは大幅安には至っていません。


今後の推移が見守られるところかと思います。



タイで再び抗議活動、今度は赤いシャツ。

4月8日(現地時間)、タイのバンコクで、再び抗議行動が行われました。


昨年、反タクシン派は、黄色のシャツをトレードマークにして、2カ月以上、臨時首相府やスワンナプーム国際空港を占拠しました。


今回、バンコクで抗議行動を行ったのは、タクシン元首相を支持する人々で、赤いシャツをトレードマークにしています。


タクシン派の支持層は、地方の貧困層が中心と見られています。


タクシン支持派は、現アピシット首相は、不正な手続きで政権についたとして、退陣と選挙を求めています。


アピシット首相は、事態の鎮静化をTVで呼びかけています。


今週末、タイでは東アジア首脳会議が開かれる予定であり、タクシン派はこの機を捉えて、抗議活動を行ったとみられています。


仮に、現政権が暴力的に対応すれば、タクシン派の抗議活動への支持が広がると見ているからです。


タイは、政治的な落ち着きを取り戻していくのではないかと期待していましたが、今回の抗議活動を見る限り、事はそう容易ではないようです。

ただ、暴力的な動きではないようであり、民主的な手続きの範囲内での主張であれば、過度に神経質になる必要は無いのかも知れません。今後の推移を見守りたいと思います。



2009年4月8日水曜日

10-12月期ユーロ圏GDP改定値は下方修正、EU主要シンクタンクは1-3月期を谷と予想

4月7日(現地時間)、公表された2008年10-12期ユーロ圏GDP改定値は、速報値の前期比マイナス1.5%から下方修正され、前期比マイナス1.6%となりました。


ユーロ圏GDP伸び率


2008年
      前期比     
1-3月期  +0.7%
4-6月期  -0.3%
7-9月期  -0.3%
10-12月期 -1.6%

(出所)EU統計局


4月6日(現地時間)、公表された2月のユーロ圏小売売上高は前月比マイナス0.6%となりました。

これは、事前の大方の市場予想よりマイナス幅は大きなものだったと言えます。


ユーロ圏では、厳しい経済状況を示す指標が公表されているように見えますが、海外メディアによれば、4月7日(現地時間)、欧州の主要シンクタンクは、ユーロ圏16カ国の成長率が2009年1-3月期に景気の谷となる可能性が高いとの見通しを示したようです。


EUでは、昨年来の各国の景気刺激策の効果に疑問も出されている状況にありますが、主要シンクタンクは、政府の景気刺激策が奏功するとの見方を示したようです。 


今後のEU各国の政策も含め、推移が見守られるところかと思います。



オバマ大統領のイラク電撃訪問

海外メディアによれば、4月7日(現地時間)、オバマ大統領は、トルコ訪問後、イラクのバグダッドを就任後初めて電撃訪問したようです。


イラクはトルコの北に位置しています。


オバマ大統領は、駐留米軍の兵士に勲章を授与し、イラクの政治指導者と電話会談したとのことです。


現地の天候が悪く、電話会談になった模様ですが、飛び立てない天候ではなく、安全ないし日程上の問題ではないかとの見方もあるようです。


米国のイラク新戦略では来年8月までの戦闘終了を宣言しています。


イラクの政治指導者は、イラク駐留米軍が突然撤退するのではないかという懸念を持っているようです。


最近(4月6日(現地時間))もイラクの首都バグダッドでは、自動車爆弾により34人が死亡し、多数が負傷したなどの動きにあります。


オバマ大統領との電話会談で、イラクの政治指導者は、イラク駐留米軍の責任ある撤退を求めたとみられます。


海外メディアによれば、イラクの政治指導者とオバマ大統領は、今回の電話会談で一定の理解を深めたようです。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年4月7日火曜日

2月の景気動向指数 CI先行は前月比マイナス幅縮小、とDI先行は前月比プラス

4月6日、内閣府は2月の景気動向指数(速報値)を発表しました。


CI一致指数(2005年=100)は86.8となり、前月比マイナス2.7ポイントと7カ月連続のマイナスとなりました。
これは、2002年4月以来の低水準でした。


CI先行指数(2005年=100)は75.2となり、前月比マイナス2.0ポイントと20カ月連続のマイナスとなりました。


CI先行指数の推移は、次の通りで、低下幅は縮小傾向にありますが、反転には至っていません。


 CI先行指数前月差(ポイント)
2008年9月89.2+0.4
10月85.2-4.0
11月81.6-3.6
12月79.4-2.2
2009年1月77.2-2.2
2月75.2-2.0

(出所)内閣府


CI先行指数の採用系列でマイナスに大きく寄与したのは、新規求人数、鉱工業生産財在庫率指数、日経商品指数などでした。
CI先行指数の採用系列でプラスを示したのは、消費者態度指数、長短金利差、中小企業売上見通しDIでした。


今回発表されたCI一致指数とCI先行指標を見る限り、現状、日本経済の現状は厳しい状況が続いており、当面、経済後退は続く可能性が高いことを示しているように見えます。


景気動向指数は、2008年4月速報分から、これまでのDIからCIに移行しました。


従来のDIを見ると、2月の先行指数DIは20.0と、前月の9.1から上昇に転じています。


この先行指数DIを見ると、景気は底入れの兆しを示し始めたように見えます。


ただ、過去の景気動向指数を見ると、月次の動きは不規則な変動を生じることもあったことからすると、この2月の先行指数DIをもって景気底入れとするのは尚早かと思いますが、プラスを示したことから、今後の推移が見守られるところかと思います。



イタリアで地震

4月6日(現地時間)、イタリア中部で大地震があったようです。


報道によれば、今回の地震で判明しただけで90人以上が犠牲となり、1500人以上のけが人が出ているようです。


まだ多くの人が、がれきの中に閉じ込められており、被害は増加する可能性が高いようです。


被災した村々は崩壊したとの見方が出されています。


イタリアのベルルスコーニ首相は予定していたロシア訪問を急きょ中止し、非常事態を宣言しました。

被災者救援のため政府が資金を拠出することを決めたようです。


イタリアは、今回の景気後退により、外国人観光客が減っていると言われています。


今回の被災がイタリア消費者のマインドにどのような影響を与えるのか少し気にかかります。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年4月6日月曜日

中東欧のソブリン格付け

過日(3月30日)、格付機関のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)は、ハンガリーの外貨建ておよび自国通貨建て長期ソブリンの格付けをBBBから1ノッチ引下げ、BBBマイナスに引き下げたと発表しました。


引下げ理由は、ハンガリーの経済、財政状況の悪化が続いていることをあげました。


東欧では、ルーマニアの外貨建て格付けが投機的等級にあります。

ハンガリーは、投資適格等級とは言え、見通しはネガティブであり、仮にさらに1ノッチ引き下げられれば、投機的等級となります。


4月2日に閉幕したG20は、IMFの独自財源を3倍に増やすなどして融資枠を拡大することを決定したことは、中東欧経済にとって良いニュースと言えます。


確かに、IMF融資によって、対外債務に比べ外貨準備の少ない中東欧通貨の危機は回避できるかも知れません。

しかし、外資の導入と投資拡大によって経済成長を果たしてきた中東欧の経済の立て直しは容易ではなく、中東欧に信用供与してきた西欧の金融機関の資産にダメージを与える懸念は続くように思えます。


今後の推移を見守りたいと思います。


S&Pによるソブリン格付け


発行体名 発行体格付け(自国通貨) 発行体格付け(外貨建て)
ハンガリー BBB-/ネガティブ/A-3 BBB-/ネガティブ/A-3
ブルガリア BBB/ネガティブ/A-3 BBB/ネガティブ/A-3
ルーマニア BBB-/ネガティブ/A-3 BB+/ネガティブ/B
ロシア BBB+/ネガティブ/A-2 BBB/ネガティブ/A-3



プラハでのオバマ大統領演説

4月5日(現地時間)、オバマ米大統領は、プラハで演説を行いました。


オバマ大統領は、世界で唯一核兵器を使用した米国には核兵器に関し、道義的責任があると表明し、核軍縮を主導する構想を明らかにしました。


また、イランの核兵器の脅威が無くなるならば、東欧にミサイルを配備する必要がなくなるとの見方を示しました。


オバマ大統領は、ロシアに対し、イランの核兵器の脅威を除くため協力するよう求めたメッセージと理解されます。


ブッシュ前政権は、イランからのミサイル攻撃に対応するとの理由で、東欧のポーランドとチェコへミサイルの配備計画を進め、これに対し、ロシアは、真の狙いはロシアではないかと激しく反発していました。


オバマ大統領は、トルコのEU加盟に期待する旨のコメントも表明しました。これは、イスラム国を自陣営に引き入れることを重視した動きとみられます。


TV放送でオバマ大統領の演説の一部を見ましたが、理想を掲げつつ、タフな面も見せるオバマ大統領は世界を変えていくのかも知れないと期待させる演説との印象でした。


今後の米国対外政策の推移を見守りたいと思います。



2009年4月5日日曜日

週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


6(月曜)
国内:日銀金融政策決定会合
海外:EU ユーロ圏小売売上高 2月


7(火曜)
海外:EU ユーロ圏GDP 10-12月 改定値


8(水曜)
国内:金融経済月報 4月
   景気ウォッチャー調査 3月
海外:米 FOMC議事録


9(木曜)
国内:機械受注 2月
海外:米 貿易収支 2月


10(金曜)
国内:特定サービス産業動態統計 2月


報道によれば、日本の3大メガバンクが2009年3月期連結決算で最終赤字になる見通しとなったとのことです。
これから4月中旬にかけて、米金融機関の決算発表が予定されていますが、市場には金融機関の決算に関する不安を指摘する声もあり、今後の推移が見守られるところかと思います。



右派政権となったイスラエルと中東和平

過日(3月31日、現地時間)、イスラエル国会は、ネタニヤフ党首が主導する新連立政権を承認しました。

ネタニヤフ氏は約10年ぶりに2度目の首相就任となりました。


今回のイスラエル政権は、総選挙で勝利した最大政党の中道カディマを抜きにした、左右両派を抱える6党による政権となりました。


 リクード:27議席
 極右政党わが家イスラエル:15議席
 中道左派・労働党:13議席
 ユダヤ教超正統派政党シャス:11議席
 ユダヤ教超正統派の政党ユダヤ教連合:5議席
 右系諸派ユダヤの家:3議席
 
今回の政権の占める議席数の過半は右派で占められています。

ネタニヤフ首相は、パレスチナ国家とイスラエルの2つの国家共存に懐疑的とみられ、パレスチナ自治政府は懸念を強めているようです。

こうした点からすると、中東和平は遠のいたとの印象です。


ただ、ネタニヤフ首相は、ガザや西岸問題より、イランと核問題が重要な課題と考えているとの見方が出されています。

また、中東和平を推進する中道左派、労働党が参加し、呉越同舟とは言われるものの、中道左派労働党の参加がなければ、ネタニヤフ政権は、イスラエル国会定数120のうち、かろうじて過半数の61を占めるに過ぎません。


オバマ政権は中東和平を外交の最優先課題の一つと位置付け、イスラエルとパレスチナの2つの国家共存に向け和平交渉とイラク安定化やイラン核問題などを相互に関連付けてきています。


右派政権となったイスラエルで、中東和平にとって少ないプラス材料に殊更期待をかけているのかも知れませんが、今後の推移を見守りたいと思います。



2009年4月4日土曜日

バーナンキ議長の講演でのコメント

海外メディアによれば、4月3日(現地時間)、FRB(米連邦準備理事会)のバーナンキ議長は、講演で、市場の安定化と経済回復の基礎確立に向けFRBはあらゆる手段を用いると述べたようです。


バーナンキ議長は、経済回復には、金融市場の安定と金融機関の与信供与の回復が不可欠との旨も述べたようです。


個人的には、最近公表された指標の中には、景気底打ちの兆しを示すものが見受けられるところ、金融市場の機能が安定し、回復に向かうことが、景気底割れを避けるためには重要と考えるところ、バーナンキ議長のコメントが活かされることを期待するものです。


今後の推移を見守りたいと思います。



米国雇用統計

4月3日(現地時間)、米労働省が発表した3月の雇用統計によれば、米国の失業率は8.5%となり、非農業部門雇用者数は66万3千人減少しました。


失業率は、1983年以来の高水準に達しました。

大方の市場の事前予想とほぼ同様の水準と言えます。


2日前(4月1日、現地時間)に公表されたADP雇用統計が統計開始以来最大の落ち込みを示していたことからすると、新たな驚きは無かったと言えます。


4月2日(現地時間)、米労働省が発表した新規失業保険週間申請件数(3月28日終了週)は、66万9千件となりました。

前週から1万2千件増加し、約26年ぶりの高水準となりました。

4週間移動平均は65万6750件と、前週の65万250件から増加しました。


失業率の先行指標と言える新規失業保険週間申請件数が増加ペースを示したこと、米国政府は、GM、クライスラーにさらなるリストラを求めていることも併せて考えると、米国の失業率は、増加傾向を続ける可能性が高いと思います。


新規失業保険週間申請件数の4週間移動平均は、今回は増加しましたが、前週に10週ぶりに減少に転じました。


新規失業保険週間申請件数は、景気の谷を示す一致指標と言え、雇用統計と併せ、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年4月3日金曜日

4月のECB理事会は市場予想を下回る利下げ幅、量的緩和には踏み出さず

4月2日(現地時間)、ECBは、理事会で、政策金利を0.25%引き下げ、1.25%にすると発表しました。


トリシェ総裁は、理事会後の会見で、今回の1.25%が下限ではないとし、今後の利下げに含みを持たせた発言を行ったようです。


市場では、4月のECB理事会で量的緩和に踏み出すのではないかとの見方が一部から出されていましたが、今回は量的緩和に踏み出しませんでした。

この点について、トリシェ総裁は、非標準的措置については理事会が決定すると述べるなど、5月理事会で量的緩和に関し何らかの決定を行う可能性を示唆したと受け取られる発言を行ったようです。


トリシェ総裁は、世界経済が厳しい低迷状況にある中、銀行には可能な限り積極的な貸し手であるよう要請すること、デフレリスクが現実のものとなっているとは思わないことも発言したようです。


今回の利下げ幅は、大方の市場予想より小さいものだったと言えます。


ECBの5月理事会で追加利下げを行い、量的緩和策に関し何らかのメッセージを発するのかどうか、今後の推移が見守られるところかと思います。



G20は閉幕

4月2日(現地時間)、ロンドンで開かれていたG20は、共同声明を採択して閉幕しました。


・2010年末までに5兆ドル規模の財政刺激策を行い、経済成長を4%押し上げる。
・IMFは、各国の回復及び成長に向けた対応に関する定期的な評価を行う。
・金融監督及び規制を強化(タックス・ヘイブン、格付機関、ヘッジファンドなど)
・IMFの融資枠拡大など世界的な金融機関の強化。
・保護主義への対抗と世界的な貿易・投資の促進。
・IMF保有金売却益および余剰資金を活用して今後2-3年にわたり、最貧国のために資金を供給。


G20開催前、規制強化に慎重で財政刺激策の追加を求める米英と、規制強化を求め財政刺激策の追加実施に慎重な独仏との相違が懸念されましたが、独仏が求めているタックスヘイブンに対する規制強化で足並みを揃えるなどし、合意に至ったようです。


米、英、仏、独、日、中、露、新興国など幅広い国によって構成されたG20は、国際的な協調を示したと思います。今回、具体的な行動に向けた合意が成されましたが、今後の実行の推移が見守られるところかと思います。



2009年4月2日木曜日

厳しい雇用情勢は続いているものの、ISM,PMI等は景気底打ちの可能性を示唆

4月1日(現地時間)、公表された3月の米国のADP雇用報告は、民間部門雇用者数はマイナス74万2千人と、2001年の統計開始以降最大の落ち込みを記録しました。

大方の市場予想より大きなマイナスとなりました。


4月1日(現地時間)、公表された3月の米国のISM製造業部門指数は36.3となりました。
前月の35.8に対しプラスとなりました。
大方の市場予想より若干上回りました。


4月1日(現地時間)、公表された3月のユーロ圏の製造業PMIは33.9となりました。
前月の33.5に対しプラスとなりました。
大方の市場予想とほぼ同様の水準でした。


4月1日、公表された日銀短観の大企業製造業・業況判断DIはマイナス58と、過去最低水準を記録しました。
大企業製造業・業況判断の先行きDIは、マイナス51と、11期ぶりの改善となりました。


こうした指標からすると、景気回復の遅行指標である雇用は厳しい状況が続いているものの、景気の先行指標であるISMないしPMI、業況判断先行きDIは底打ちの兆しを示したように見えます。


景気が底割れしないためには、金融市場が安定化に向かうことが重要な局面にあり、その意味で開催されているG20と公表された米国バッドバンク構想の実行性の推移が見守られるところかと思います。



各国の考えは必ずしも一致していない中、G20開幕

4月1日(現地時間)、ロンドンでG20(金融サミット)が始まりました。


日本の報道では、会議では首脳宣言を採択し、世界経済を再び回復させるため、財政出動や金融規制などの措置にG20各国が全力を尽くす決意を表明する予定と報道されています。


しかし、各国の考えは必ずしも一致していない状況にあるようです。


フランスのサルコジ大統領は、規制強化で合意できなければサインしないと表明しています。
かなり強気の姿勢ですが、背景には、フランス国内での抗議デモの存在があり、国内世論を意識したものと理解されます。
また、サルコジ大統領は、新しい道義的な資本主義が必要とし、例えば、タックスヘブンへの取り締まり強化などを考えているようです。
こうしたサルコジ大統領の姿勢は、国内世論向けのパフォーマンスとの見方もあります。


ドイツのメルケル首相も、サルコジ大統領と同様に規制強化すべきとの姿勢です。


また、フランスもドイツもさらなる景気刺激策は当面必要ないとの考えで、メルケル首相は、今回のG20では金融規制強化を討議すべきで、景気刺激策は討議する必要はないとの考えのようです。


日本の麻生首相は、追加経済対策を取りまとめる方針を表明しています。


ロンドンでは、大規模な抗議デモが行われ、群衆の一部がRBSに侵入したようです。


G20が報道されているように、財政出動、金融規制などで合意に達するかどうか、推移が見守られるところかと思います。



2009年4月1日水曜日

不法移民を乗せた密航船沈没に思うこと

海外メディアによれば、過日(3月29日)、アフリカから欧州に向かう不法移民を乗せた複数の密航船の一部がリビア沖で沈没、300人以上が行方不明になったようです。


密航船はイタリアに向かっていたと見られています。

密航船の一部はリビアのトリポリに入港したようです。

この密航船には、アフリカ人、アラブ人など大人から子供まで約350人が乗っていたとのことです。


こうした不法移民は、世界で約2億人、出稼ぎ先からの送金金額は年間で約3300億ドルに達してるとの推計があります。

邦貨換算で約33兆円の規模に達するといわれる移住労働者の本国への送金による潜在的な経済開発効果は少なくないと見られます。


従来、不法移民を厳しく取り締まってきた国もあれば、安い労働力として黙認してきた国もあります。

昨年来の急速な景気後退で、こうした不法移民は失業の傾向を強め、本国に送還される流れにあるようです。


今回の景気後退は低所得層に特に厳しいものとなったと言えるのかも知れません。


不法移民の本国とも言える国々の経済、社会、政治情勢の行方が気にかかるところです。今後の推移が見守られるところかと思います。




G20に不透明感

4月2日から開催されるG20に不透明感が出始めているようです。


日本の麻生太郎首相は、昨夜、政府専用機で羽田空港から出発しました。G20が開かれるロンドンには各国首脳が到着しはじめているようです。


海外メディアによれば、出発に際し、米国のオバマ大統領は、G20で世界経済の回復支援のために国際的に団結する強力なメッセージを発信する必要性を訴えたようです。


フランスのラガルド財務相は、海外メディアのインタビューに対し、G20で中身の無い合意にはサインしなくて良いとサルコジ大統領から言われていると述べました。


フランスの提案をG20各国が受け入れなければフランスはG20合意にサインしないという趣旨のようです。


従来、ラガルド財務相は、米国の提唱する景気刺激策の規模として数値目標を設定することには財政悪化を懸念し、これに反対を表明してきました。ただ、ラガルド財務相は、追加の財政出動に前向きなコメントを行ったとの報道も見受けられます。


最近、フランスでは、金融危機で公的資金による救済を受けたフランスの民間金融機関が、経営幹部や従業員にストックオプションやボーナスを与えていたことが相次ぎ発覚し、世論の猛反発を受けています。


また、G20労働相会合で議長国のイタリアはIMF(国際通貨基金)改革の一環として、雇用維持型の金融支援の実施を迫り、ドイツやフランスも同調のようです。


G20に対し、市場はそれほど大きな期待はかけていないように思いますが、仮に、G20各国の足並みが揃わなかったという印象でG20が終幕することになれば、マイナスの影響が懸念されるところ、今後の推移が見守られるところかと思います。