11月29日(現地時間)、スイスで、イスラム教の礼拝所建設に関する国民投票が行われ、今後、スイス国内でミナレットと呼ばれるイスラム教の礼拝所に付属する塔の新規建設禁止が過半の支持を得たようです。
事前の調査では、新規建設禁止の支持は半数以下に留まると見込まれていたところ、予想に反した結果になったようです。
今回の国民投票の実施は、右派政党が中心になって求められたものですが、スイス政府は、イスラム教の礼拝所に付属する塔の新規建設禁止は、信教の自由に反するもので、反対の立場を明らかにしていました。
現在、スイス国内にはイスラム教の礼拝所が4ヵ所ありますが、今回の国民投票の結果は、これら既存の礼拝所には影響しないとのことです。
それでも、今回の国民投票の結果、ミナレットと呼ばれるイスラム教の礼拝所に付属する塔の新規建設禁止が認められれば、スイスとイスラム教圏各国との関係が悪化することは避けられない情勢です。
スイス国内でイスラム過激派が国際的にみて特に活発に行動しているといった動きにはなく、何故、イスラム教の台頭に対しスイスがここまで拒絶反応を示すのか理解に苦しむといった見方が出されています。
スイスでは近年、労働力不足に伴って移民が急増したようです。
最近(11月6日、現地時間)公表されたスイスの10月の失業率は4.0%と、1998年5月以来の高い失業率にあり、特に15~24歳の若年層の失業率は5.3%に達しているようです。
個人的な印象に過ぎませんが、今回のスイスの国民投票の結果は、イスラム教への恐れというより、悪化するスイス国内の雇用情勢に関し、移民への反発があるのかも知れません。
今後の推移が見守られるところかと思います。