1月5日(現地時間)、アイスランドのグリムソン大統領は、金融危機で破綻した自国の金融機関に預金していた英国とオランダの預金者への返済保証を実行するかどうかは、国民投票を実施して決めると表明しました。
英国とオランダの預金者はアイスランドの金融機関に約50億ドルの預金をしていましたが、この金融機関は2008年10月に破綻しました。
国際間の預金保証に明確な規則はないものの、アイスランド議会は昨年12月にアイスランド政府が預金を保証するとして、英国とオランダの預金者に資金を返還する法案を可決しました。
払い戻しとなれば、増税によって調達する他ないことからアイスランド国民の反発は強く、アイスランドの有権者の25%から、国民投票に持ち込むよう署名が寄せられていました。
アイスランドの首相は返還に賛成の立場であり、大統領は反対の立場のようです。
英国はアイスランドが義務を果たすことを期待するとの姿勢を、オランダは受け入れられないとの姿勢をそれぞれ示しています。
アイスランドにとっては、こうした動きはEU加盟問題など対外関係に大きく影響する可能性があります。
個人的には、仮に、こうした主張が通るということになれば、国際金融システムへの信頼を損ね、海外からの債務に比べ外貨準備の少ない国などから資金が流出するきっかけになりかねないと感じます。
安定に向かっているとは言え、国際金融システムは自律的な安定段階まで入っていないと考えられるところ、こうした動きは市場の変動要因になりかねないと思います。
今後の推移を慎重に見守りたいと思います。