2011年5月31日火曜日

過去最高になった昨年のCO2排出量

5月30日(現地時間)、IEA(国際エネルギー機関)は、昨年のCO2(二酸化炭素)排出量は306億トン(推計)と過去最高になったと発表しました。


増加した排出量の多くは、中国、インドによるものでした。


景気回復の動きを反映したものとみられます。


他方、ドイツが原子力発電所の全廃を決定するなど、原子力発電に対する見直しの流れもあり、温暖化防止の目標達成は容易ではないように見えます。


どの程度効果があるかは分かりませんが、従来に増して、エネルギー利用における節約に向かわざるを得ないのではないかと想像します。


経済活動とのバランスなどを含め、幅広い議論の進展を期待するとともに、今後の推移が見守られるところかと思います。



2011年5月30日月曜日

ナイジェリアで、大統領の就任式

5月29日(現地時間)、ナイジェリアで、大統領の就任式が行われました。


4月16日に行われた大統領選により、南部出身のキリスト教徒のジョナサン大統領が再選を果たしましたが、対立候補で北部出身のイスラム教徒のブハリ氏は選挙に不正があったと主張し、選挙結果をめぐり暴動が起き、また、裁判所に再投票の実施を求める動きが出ている中での就任式でした。


ナイジェリアはOPEC第7位(2009年)の産油国であり、日本は、原油や液化天然ガスなどを輸入しています。


今後、ナイジェリアの行方が気になるところです。推移を見守りたいと思います。



2011年5月29日日曜日

週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


30日(月曜)
国内:製造業部門別投入・算出物価指数 4月


31日(火曜)
国内:完全失業率 4月
   家計調査 4月
   鉱工業生産 4月
   毎月勤労統計 4月 速報
   電力需要 4月 確報
   自動車生産・輸出台数 4月
   石油統計 4月
   住宅着工統計 4月
   建設工事受注額 4月
海外:米 ケース・シラー住宅価格指数 第1Q
   米 コンファレンスボード消費者信頼感 5月
   EU ユーロ圏失業率、消費者物価指数 5月


1日(水曜)
国内:新車販売台数 5月
海外:米 MBA住宅ローン申請指数 先週分
   米 ADP雇用報告 5月
   米 建設支出 4月
   米 ISM製造業景況指数 5月


2日(木曜)
国内:法人企業統計調査 1-3月
   マネタリーベース 5月
   対外対内証券売買 先週分
海外:米 新規失業保険申請件数 先週分


3日(金曜)
海外:米 雇用統計 5月
   米 ISM非製造業景況指数 5月



2011年5月28日土曜日

米国の4月の個人消費

5月27日(現地時間)、公表された米国の4月の個人消費支出は前月比プラス0.4%、インフレ調整後の消費支出は同プラス0.1%となりました。


個人所得は同プラス0.4%でした。


食品・エネルギーを除くコアPCE価格指数は、前月比プラス0.2%、前年比プラス1.0%でした。


今回の結果をみると、懸念されていたインフレ懸念が消費を抑制するのではないかという見方に関しては、今のところそれほど厳しくないように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2011年5月27日金曜日

米国の先週分(5月21日終了週)の新規失業保険週間申請件数

5月26日(現地時間)、公表された米国の先週分(5月21日終了週)の新規失業保険週間申請件数(季節調整済)は42万4千件、前週比プラス1万件となりました。


トレンドを示す4週間移動平均は43万8500件、前週比マイナス1750件となりました。


今回の結果からすると、米国の雇用環境は、2月から3月にかけて改善が加速していく兆しを示したものの、年初の状況に戻り、改善は足踏みしているように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2011年5月26日木曜日

米国の4月の耐久財新規受注

5月25日(現地時間)、公表された米国の4月の耐久財新規受注は前月比マイナス3.6%となりました。


輸送機器を除く受注は同マイナス1.5%、航空機を除く非国防資本財受注は同マイナス2.6%でした。


今回の結果をみる限り、設備投資は減速しているように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2011年5月25日水曜日

米国の4月の新築住宅販売戸数

5月24日(現地時間)、公表された米国の4月の新築住宅販売戸数(戸建て、季節調整済、年率換算)は32万3千戸、前月比プラス7.3%となりました。


地域別(前月比)

North east +7.7%
Mid west +4.9%
South +4.3%
West +15.1%


販売価格は(中央値)は21万7900ドル、前月比プラス1.6%となりました。


4月28日(同)、公表された米国の3月の住宅販売保留指数は94.1、前月比プラス5.1%と2カ月連続のプラスになりました。


これらの結果をみると、米国の住宅市場は、回復に向けた兆しを示しつつあるように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2011年5月24日火曜日

ユーロ圏の5月のPMI

5月23日(現地時間)、公表されたユーロ圏の5月のPMI(購買担当者景気指数、総合、速報値)は55.4、前月比マイナス2.4ポイントとなりました(データ出所:マークイット)。


内訳は、製造業PMIが前月比マイナス3.2ポイント、サービス部門PMIが同マイナス1.3ポイントでした。


景気の分かれ目である50を上回っているものの、減速の兆しを示したように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2011年5月23日月曜日

オバマ大統領のAIPACでの演説

5月22日(現地時間)、米国のオバマ大統領は、AIPAC(米国イスラエル公共問題委員会)で演説し、イスラエルとパレスチナの国境は、1967年6月8日以前の境界線に立ち返って協議すべきだとの考えを表明しました。


そして、米国はイスラエルの安全確保に同盟国として協力していくと表明しました。


イスラエルは、オバマ大統領の演説を支持しているようですが、「米国はイスラエルの安全確保に同盟国として協力していく」という点に重点があり、必ずしも国境問題に関するオバマ大統領の考えを受け入れたものではないようです。


今回のこうした流れをみていると、改めて、中東和平は容易ではないとの印象を受けました。


今後の推移を見守りたいと思います。



2011年5月22日日曜日

週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


23日(月曜)
国内:特定サービス産業動態統計 3月 確報
   景気動向指数 3月 改定
   全国スーパー売上高 4月
海外:EU PMI製造業指数 5月


24日(火曜)
国内:工作機械受注 4月 確報
海外:米 新築住宅販売件数 4月
   EU 鉱工業新規受注 3月


25日(水曜)
国内:貿易統計 4月
海外:米 耐久財受注 4月
   米 MBA住宅ローン申請指数 先週分


26日(木曜)
国内:企業向けサービス価格 4月
   対外対内証券売買 先週分
海外:米 GDP 1-3月 改定


27日(金曜)
国内:消費者物価指数 東京都区部5月中旬
   商業販売統計 4月
海外:米 個人所得、個人消費 4月
   EU ユーロ圏マネーサプライ 4月
   EU ユーロ圏業況判断指数 5月
   EU ユーロ圏消費者信頼感指数 5月



2011年5月21日土曜日

ユーロ圏の5月の消費者信頼感指数

5月20日(現地時間)、公表されたユーロ圏(EU17)の5月の消費者信頼感指数(速報値)はマイナス9.7、前月比プラス1.9となりました。


EU27の5月の消費者信頼感指数(速報値)はマイナス10.6、前月比プラス3.3となりました。


事前の大方の市場予想は前月比マイナス予想だったところ、予想外のプラス(改善)だったと言えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2011年5月20日金曜日

4月の全国百貨店売上高

5月19日、公表された4月の全国百貨店売上高(店舗数調整後)は前年比マイナス1.5%となりました。


マイナスではありますが、3月が同マイナス14.7%であったことからすると、大震災による一時の強い自粛ムードは大きく改善し、百貨店に客が戻りつつあるように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2011年5月19日木曜日

日本の4月の首都圏のマンション発売

5月18日、公表された日本の4月の首都圏のマンション発売は前年比マイナス27.3%となりました(出所:不動産経済研究所)。


契約率は76.0%でした。


発売戸数が前年比大幅マイナスになったものの、契約率の水準からすると、首都圏全体からすると新築マンション市況が大きく悪化したということではなさそうです。


ただ、地域別の契約率をみると、都区部76.2%、都下95.2%、神奈川75.6%、埼玉61.8%、千葉86.2%となっており、地域により市況は異なるようです。


市場では、大震災による供給減は短期間で終わるとの見方が出されています。


供給が増加した時点での契約率の推移が見守られるところかと思います。



2011年5月18日水曜日

米国の4月の鉱工業生産指数

5月17日(現地時間)、公表された米国の4月の鉱工業生産指数(季節調整済、2007年=100)は93.1、前月比変わらずとなりました。


事前の大方の市場予想ではプラス予想だったところ、予想に反して横ばいになったと言えます。


設備稼働率は76.9%、 前月比マイナス0.1%となりました。


5月2日(同)、公表された米国の4月のISM製造業景気指数は60.4、前月比マイナス0.8ポイントとなりました。


これらの結果からすると、米国の生産活動は拡大ペースが鈍化しつつあるように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2011年5月17日火曜日

日本の3月の機械受注

5月16日(現地時間)、公表された日本の3月の機械受注は前月比マイナス15.8%となりました。

しかし、民間設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需は、前月比プラス2.9%となりました。


この調査の対象は主要機械等製造業者、調査時点は月末であり、3月11日の大地震の後です。

事前の大方の市場予想ではマイナス予想でしたが、予想外のプラスだったと言えます。


4~6月見通しをみると、受注総額は前期比マイナス0.3%ですが、船舶・電力を除く民需は同プラス10.0%となりました。


今回の結果について、被災した工場やサプライチェーンの復旧にむけた迅速な動きが反映されているのではないかと推定します。


今後の推移を見守りたいと思います。



2011年5月16日月曜日

米国の5月のミシガン大消費者信頼感指数

5月13日(現地時間)、公表された米国の5月のミシガン大消費者信頼感指数(速報値)は72.4、前月比プラス2.6ポイントとなりました。


事前の大方の市場予想よりプラス幅は大きかったと言えます。


米国の消費マインドは思ったより強いのかも知れません。


物価、雇用情勢とあわせ、今後の推移を見守りたいと思います。



2011年5月15日日曜日

週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


16日(月曜)
国内:機械受注 3月
   企業物価指数 4月
   中古車販売台数 4月
   特定サービス産業動態統計 3月
   商業販売統計 3月 確報
   消費動向調査 4月

海外:米 ニューヨーク連銀製造業景況指数 5月
   米 NAHB住宅市場指数 5月
   EU ユーロ圏消費者物価 4月
   EU ユーロ圏貿易収支 3月


17日(火曜)
国内:発受電速報 4月
海外:米 住宅着工件数、建設許可件数 4月
   米 鉱工業生産指数、設備稼働率 4月


18日(水曜)
国内:第3次産業活動指数 3月
   マネタリーサーベイ 3月
   毎月勤労統計 3月 確報
   マンション発売 4月
海外:米 FOMC議事録 4月26-27日分
   米 MBA住宅ローン申請件数 先週分
   EU 建設支出 3月
   英 イングランド銀行 金融政策委員会議事録


19日(木曜)
国内:GDP 1-3月 1次速報
   対外対内証券売買 先週分
   鉱工業生産 3月 確報
   石油等消費動態統計 3月
   全国百貨店売上高 4月
海外:米 中古住宅販売 4月
   米 米景気先行指標総合指数 4月


20日(金曜)
国内:電力需要 4月 速報
   全産業活動指数 3月
   コンビニエンスストア売上高 4月
海外:EU ユーロ圏経常収支 3月
   EU ユーロ圏消費者信頼感指数 5月



2011年5月14日土曜日

米国の4月のCPI(消費者物価指数)

5月13日(現地時間)、公表された米国の4月のCPI(消費者物価指数、総合)は前月比プラス0.4%、内訳をみると、エネルギーが同プラス2.2%、食品は同プラス0.4%と、エネルギーが総合指数の主たるプラス要因でした。

食品・エネルギーを除いたコア指数は同プラス0.2%となりました。


今回の結果のみみると、米国の金融政策の引き締めを促すほどの内容ではないように見えます。


ただ、5月12日(現地時間)、公表された米国の4月のPPI(生産者物価指数)は、食品・エネルギーを除くコア指数が前月比プラス0.3%、前年比プラス2.1%となりました。これは、2009年8月以来の伸びで、事前の大方の市場予想を上回るプラス幅でした。


中期的にみて、PPIはCPIの先行指標と言え、今後の推移が見守られるところかと思います。



2011年5月13日金曜日

ユーロ圏の3月の鉱工業生産

5月12日(現地時間)、公表されたユーロ圏の3月の鉱工業生産(EA17)は、前月比マイナス0.2%となりました。


内訳をみると、


資本財 同マイナス0.9%
エネルギー 同マイナス0.7%
非耐久消費財 同マイナス0.7%


が鉱工業生産のマイナスの要因だったと言えます。


ECB(欧州中央銀行)の金融政策を含め、今後の推移が見守られるところかと思います。



2011年5月12日木曜日

中国の4月のCPI(消費者物価指数)

5月11日(現地時間)、公表された中国の4月のCPI(消費者物価指数)は前年比プラス5.3%、前月比マイナス0.1%となりました。


内訳(前年比、%)は、


Foodstuff +11.5
Tobacco, Liquor and its Articles +2.4
Clothing + 1.4
Household Facilities, Articles and Maintenance Services +2.1
Health Care and Personal Articles + 3.2
Transportation and Communication + 0.5
Recreational, Educational, Cultural Articles and Services + 0.5
Housing + 6.1

(出所)中国国家統計局


でした。


食料品価格(Foodstuff)は前月が同+11.7%だったところ、0.2%低下しました。


今回の結果をみると、金融政策の引き締めによる効果が出始めている兆候を示したとの印象です。


市場では、今後も中国での金融引き締めが続くとの見方が大勢であり、今後の推移が見守られるところかと思います。



2011年5月11日水曜日

米国の3月の卸売在庫

5月10日(現地時間)、公表された米国の3月の卸売在庫(季節調整済)は前月比プラス1.1%、卸売売上高は同プラス2.9%となりました。


売上高在庫比率(在庫/売上高)は1.13ヵ月、前月比マイナス0.02ヵ月となりました。


卸売在庫の内訳をみると、耐久財が同プラス0.4%、非耐久財が同プラス2.0%でした。


今回の結果からすると、在庫の伸びは事前の大方の市場予想を上回ったものの、内訳をみると、非耐久財の在庫の伸びが牽引したものであり、耐久財の在庫の積み増しには慎重なように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2011年5月10日火曜日

S&Pは、ギリシャの格付けを引下げ

5月9日(現地時間)、格付け機関のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)は、ギリシャの格付けを2ノッチ引下げ、シングルB(ネガティブ)としました。


今回の引下げ理由は、債務再編に向けた措置をとるリスクが高まっているとみられるからです。


16日に予定されているユーロ圏財務相会合でギリシャ問題に関して話し合われるとみられます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2011年5月9日月曜日

米国の3月の消費者信用残高

5月6日(現地時間)、公表された米国の3月の消費者信用残高は前月比プラス3.0%となりました。


内訳は、リボ払いが同プラス2.9%、非リボ払いが同プラス3.0%でした。


前月までマイナスで推移していたリボ払いが今回プラスに転じたことは好ましい動きと思います。


米国雇用統計の結果と併せてみると、米国の消費は回復に向かっていくことを示唆しているように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2011年5月8日日曜日

週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


9日(月曜)
��

10日(火曜)
国内:車名別新車販売 4月
海外:米 輸入物価指数 4月
   米 卸売在庫 3月


11日(水曜)
国内:マネタリーベース 4月
   鉱工業出荷内訳表 3月
   景気動向指数 3月
海外:米 MBA住宅ローン申請件数 先週分
   米 貿易収支 3月
   中国 消費者物価指数 4月
   中国 鉱工業生産 4月
   中国 小売売上高 4月


12日(木曜)
国内:国際収支 3月
   マネーストック 4月
   貸出・資金吸収動向 4月
   オフィス空室状況 4月
   工作機械受注 4月 速報
   対外対内証券売買 先週分
海外:米 新規失業保険申請件数 先週分
   米 生産者物価指数 4月
   米 小売売上高 4月
   米 企業在庫 3月
   EU ユーロ圏鉱工業生産 3月


13日(金曜)
海外:米 消費者物価指数 4月
   米 ミシガン大消費者信頼感指数 5月
   EU ユーロ圏域内GDP 1-3月
   EU 欧州委員会、半期経済見通し



2011年5月7日土曜日

不自然に見える浜岡原発の停止要請

5月6日、菅直人首相は、中部電力浜岡原発の運転を停止するよう要請しました。


この件に関し、"原発か、安全か、エネルギーをどうするのか"といった問題提起をしているマスコミもあるようですが、少なくとも、今回の停止要請が、適切な基準や手続きにもとづいたものかどうかを検証可能な詳しい説明が必要であり、マスコミは、これを求めていくことが重要ではないでしょうか。


[事実関係]


4月30日、原子力安全・保安院の西山英彦審議官は、福島原子力発電所事故対策統合本部の共同記者会見で、東海地震の想定震源域内にある浜岡原子力発電所3号機の再稼働について、地元の自治体の意向を尊重する姿勢を表明。


5月5日、海江田万里経済産業相は、静岡県御前崎市の中部電力浜岡原発を視察し、福島第一原発事故を踏まえた緊急安全対策の実施状況を確認。


同日、川勝平太知事ら地元自治体の首長と会談。


5月6日、菅直人首相は、中部電力浜岡原発の運転を停止するよう要請。


5月7日、報道によれば、経済産業省の原子力安全・保安院は、電力各社が電源喪失に備えて実施した緊急の対策について、いずれの原発でも「適切に実施されている」と判断し、運転の停止を求めないと表明。


5月7日、テレビ番組の中で、細野豪志首相補佐官は、自らが福島第一原発事故を踏まえた浜岡原発の対策が十分でないとの心証を得たので、停止要請に至った旨をコメント。


[管首相の会見における停止要請の理由説明(骨子))]

・(文部科学省の想定を引用)30年以内にマグニチュード8.0程度の東海地震が発生する可能性は87%と極めて高い。

・国民の安全、安心を考えた結果の判断だと表明。

・現行規制では、運転停止の指示や命令がはっきり規定されていないため、中部電力への要請という形にした。


[不自然と見える点]

・今回の運転停止要請が、現行規制では、運転停止の指示や命令がはっきり規定されていないからという点は理解できます。


・しかし、なぜ要請に至ったのか、その理由らしきものは、①「30年以内にマグニチュード8.0程度の東海地震が発生する可能性は87%と極めて高い」、②「国民の安全、安心を考えた結果の判断」と表明していますが、これでは説明になっていません。

理由があるとすれば、①を前提として②に至った過程、


すなわち、

どういった基準をもって、
どのような手続きで検討し、
誰が最終判断を行ったのか、

が示されることが最低限必要と考えます。


管首相は、「あなた(国民)の為にやりました」と言っているようですが、一般に日常生活において、こうした言い回しをする人はろくなもんではないことが多い気がします。管首相が幅広い理解を得るためには、より詳しい説明が必要なことは明らかではないでしょうか。


[疑問な点]

海江田経済産業相は、中部電力管内で計画停電に至らないと考えている旨を表明しました。

しかし、仮に浜岡原発が停止したら、中部電力の供給は極めてタイト(※)になり、この結果、日本の主要都市圏である、名古屋を中心とした中京地域の経済活動は大きく制約を受けることになります。

こういったリスクについて管首相、海江田大臣も説明をしていません。


中部電力の供給力は最大約3000万キロワット、
同ピーク時の最大電力量を約2560万キロワットと想定、
差し引いた予備電力は約440万キロワット。
浜岡原発の供給電力量は、定期検査中の3号機と4、5号機の合計で約360万キロワット
浜岡原発を全面停止した場合の予備電力量は約80万キロワット、予備電力率は3%程度に低下。


福島原発の問題の結果、首都圏の経済活動が大きく制約を受けている中、日本の経済活動は大きく抑制されることになり、3大都市圏の内、首都圏と中京圏という2大都市圏の消費や企業の設備投資は抑制され、目先だけでなく、その影響は中期的な日本の経済活動に大きな影響を与えることになる懸念があります。


[仮定]


仮に、このまま詳細な説明がされない場合、明確な基準なく、適正な手続きで判断されたことではなく、菅首相は、東日本大震災の対応の不備で失墜した政権の信頼回復につなげるという、極めて政治的な狙いから出たものであったと推定すると辻褄が合います。


マスコミの中には、原発か経済か国民的な議論をしようと主張するマスコミもありますが、現時点でこのような主張をするマスコミは時機を誤っているように思います。



米国の4月の雇用統計

5月6日(現地時間)、公表された米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門雇用者数は前月比プラス24万4千人、民間部門の雇用者数は同プラス26万8千人となりました。


失業率は9.0%、前月の8.8%から悪化しました。


平均週間労働時間は34.3時間、前月比変わらず、時間当たり賃金は22.95ドル、前月比プラス3セントでした。


今回の雇用統計を見ると、雇用者数は市場予想を上回って増加し、また、平均週間労働時間及び時間当たり賃金は少なくとも悪化には向かわなかったと言え、失業率が増加したことは気がかりではあるものの、全体としては好ましい結果だったと思います。


こうした動きが継続的に示されるのかどうか、今後の推移を見守りたいと思います。



2011年5月6日金曜日

ECB(欧州中央銀行)は、政策金利の据え置きを発表

5月5日(現地時間)、ECB(欧州中央銀行)は、政策金利の据え置きを発表しました。


事前の大方の市場予想、"5月は据え置き、6月又は7月の利上げ可能性"、通りの結果だったと言えます。


トリシェECB総裁は、定例記者会見で、6月の利上げを示唆するコメントをしませんでした。


市場は、7月以降の利上げ可能性があると受けとめたようです。


ユーロ圏の潜在的なソブリンリスクが続く中にあっても、ECBの金融政策は、ユーロ圏の物価安定にあるとみられ、今後の推移が見守られるところかと思います。



2011年5月5日木曜日

米国の4月のADP雇用報告

5月4日(現地時間)、公表された米国の4月のADP雇用報告によれば、民間部門雇用者数は前月比プラス17万9千人となりました。


事前の大方の市場予想を下回る水準だったと言えます。


先月、3月のADP雇用報告の当初公表された内容は、ほぼ事前の大方の市場予想通りの内容でした。
3月の雇用統計は、事前の大方の市場予想を上回る大幅増でした。


最近、以前に比べ相関が高くないとみられていたADP雇用報告と雇用統計ですが、先月は相応の相関があったように見えます。


金曜公表予定の4月の雇用統計に対し、悲観的な見方が増えると推定しますが、推移が見守られるところかと思います。



2011年5月4日水曜日

疑問を感じる食中毒事件における記者会見とマスコミ報道

最近、報道で「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件が取り上げられています。


しかし、記者会見における事業者の姿勢、当該事件に関するマスコミの取り上げ方は必ずしも適当ではないと感じます。


[報道されている事実関係]

・富山、福井の焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」で食事した男児2人が腸管出血性大腸菌O111に感染して死亡した。

・神奈川県横浜市、藤沢市の同チェーン2店舗でも食事をした横浜市在住の男女計6人が下痢などの症状を訴え、このうち横浜市の店では19歳の女性が入院し重症。

・フーズフォーラス社の記者会見における実務担当者の説明によれば、過去、同社は自社で細菌検査を一切行ってこなかった。

・フーズ・フォーラス社は、石川県金沢市に本社を置き、北陸3県に16店舗、神奈川県に4店舗を展開している。
・今回問題になったフーズ・フォーラス社の「焼肉酒家えびす」を、テレビで、とても激安店とは思えない高級店並みの接客をしていると絶賛する内容の放送を行っていた。


(出所)FNNニュース http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00198713.html  

    サーチナニュース http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0501&f=national_0501_179.shtml  他

[フーズフォーラス社による記者会見]


(出所) TBS-NEWSi http://www.youtube.com/watch?v=YuTHc16Uwtc


[疑問に感じる点]


①食中毒による死亡は、原因となった食事を提供した事業者に第一義的な責任があるのが当然です。


 食中毒の原因となる食事を提供するに至った経緯、事業者の責任や今後の対策について説明すべき謝罪会見で、食中毒の原因となったメニューに関する国の規制を批判するのは不自然で、この事業者が自社に対する批判を緩和するため、意図的に問題をすりかえているとしか見えません。


②神奈川でもフーズフォーラス社の店舗で食中毒を引き起こしているとの疑念が出されています。これに対し、同社は、反論など適当と思われる説明を行っていないようです。

チェーン展開をする事業者で、一つの店で問題が起こったのであれば、当該店舗の特殊事情などがあるかもしれないとは思います。しかし、同時期に複数の店舗で問題が起こったということであれば、そもそもチェーン展開するだけのノウハウや管理能力がなかったと考えざるを得ません。


マスコミの中には、原因となった肉の生食について規制強化を問題提起していますが、正鵠を得たものとは思えません。

第一に問題とされるべきは、フーズフォーラス社の経営管理体制であって、マスコミが第一に主張すべきは、事業者のコンプライアンス遵守の意識向上と考えます。


③今回問題になったフーズ・フォーラス社の「焼肉酒家えびす」を、取り上げたテレビ番組(日本テレビ、人生が変わる1分間の深イイ話)は、公式サイトで、次のように記されています。


・たった1分の話であなたの人生が変わる!
・元気が出る「イイ話」、思わずうなる「深い話」そんな「深い話」を1分で次々と紹介します!
・さらに!スタジオでは人生経験豊かな「生き方のソムリエ」たちが話の解釈をめぐって大激論!


(出所) 日本テレビHP「人生が変わる1分間の深イイ話」 http://www.ntv.co.jp/fukaii/


放送したテレビ会社は、問題となった企業の広告宣伝の一環だったと言うかも知れませんが、上記の番組説明からすると、通常の放送より、厳しいチェックを行っていると視聴者が受けとめるものであり、その分、テレビ会社の責任は思いと考えます。


すなわち、今回問題になった事業者の経営管理体制が不適当だったとすれば、当該テレビ会社は、単に表面だけをなぞって放送した懸念があります。経営管理の充実には相応のコストがかかりますので、表面だけをなぞって安さを売りにした事業者を絶賛したとすれば、真面目に管理をしている事業者の営業展開を実質的に抑制したことになり、罪は深いと考えます。


(参考)人生が変わる1分間の深イイ話における「焼肉酒家えびす」の放送 http://www.youtube.com/watch?v=nnSbLoZ4Dgk


しかし、知りうる限り、件のテレビ会社は、この件についてコメントしていません。


マスコミの自浄能力はあるのか、報道は適正に行われているのか、懸念を感じます。



米国の3月の製造業新規受注

5月3日(現地時間)、公表された米国の3月の製造業新規受注は4629億ドル、前月比プラス3.0%となりました。

事前の大方の市場予想を上回るプラス幅だったと言えます。


航空機を除く非国防資本財は同プラス4.1%となりました。


4月15日(同)に公表された米国の3月の製造業の設備稼働率は75.3%、前月比プラス0.4%でした。


5月1日(同)に公表された米国の4月のISM製造業景気指数は60.4、前月比マイナス0.8ポイントとなりました。


設備投資の先行指標と言える、航空機を除く非国防資本財の新規受注は、大きく伸びたものの、設備稼働率は設備投資が活発になるとされる80%程度を下回っており、ISM製造業景気指数は景気の分かれ目である50を上回っているものの2ヵ月連続で前月比マイナスとなっています。


こうしたことから、足元の米国企業の設備投資は拡大しているとしても、現時点ではこのまま加速していくはっきりした兆しを示したとまでは言えないように見えます。


今後の推移を見守りたいと思います。



2011年5月3日火曜日

日本の3月の現金給与総額、総実労働時間

5月2日、公表された日本の3月の現金給与総額(事業所規模5人以上、速報)は243,425円、前年比マイナス0.9%となりました。
所定外給与は同プラス1.0%、所定内給与は同マイナス0.9%でした。

製造業の現金給与総額は、同プラス1.1%でした。


総実労働時間は145.4時間、前年比マイナス1.6%となりました。
所定内労働時間は135.3時間、同マイナス1.5%、所定外労働時間は10.1時間、同マイナス2.0%となりました。

製造業の所定外労働時間は同マイナス0.8%でした。


現金給与総額は13カ月ぶりにマイナスに転じましたが、実際のマイナス幅はさらに大きい可能性があると言えます。

従来、現金給与総額と小売売上高は相関して推移しており、現金給与総額の推移次第では小売売上の落ち込みが懸念されるところです。

また、製造業の所定外労働時間は景気動向と関連して推移しており、こちらも気になるところです。


なお、3月は大震災の影響を最も受け、以降は回復に向かっていくように思えますが、こうした事情により、今回の結果を額面通り受けとめることは適当ではなく、今回の調査(毎月勤労統計調査)は、岩手県、宮城県、福島県において統計調査員で行っている部分について調査を中止しており、また、被災地を中心として有効回答率が低下したとのことです。そのため、賃金についてはやや高めに、労働時間についてはやや低めに推計されている可能性があり、そういう理解の下に受けとめることが適当と考えます。


今後の推移が見守られるところかと思います。



2011年5月2日月曜日

米国の3月の個人消費支出

4月29日(現地時間)、公表された米国の3月の個人消費支出は前月比プラス0.6%となりました。
インフレ調整後の個人消費は同プラス0.2%となりました。


個人所得は同プラス0.5%となりました。


米国の消費はインフレによる圧迫を受けているように見えます。


貯蓄率は5.5%、前月と変わらずとなりました。

米国の消費者信用残高は増加傾向にあります。
5月6日に公表予定の米国の3月の消費者信用残高の行方が見守られるところかと思います。



2011年5月1日日曜日

週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


2日(月曜)
国内:毎月勤労統計 3月 速報
   新車販売台数 4月
海外:米 建設支出 3月
   米 ISM製造業景況指数 4月


3日(火曜)
海外:米 製造業受注指数 3月
   米 自動車販売台数 4月
   EU ユーロ圏生産者物価指数 3月


4日(水曜)
海外:米 MBA住宅ローン申請件数 先週分
   米 ADP雇用報告 4月
   米 ISM非製造業景況指数 4月
   EU ユーロ圏小売売上高 3月


5日(木曜)
海外:米 新規失業保険申請件数 先週分
   EU 欧州中央銀行 政策金利
   英 イングランド銀行 政策金利


6日(金曜)
国内:マネタリーベース 4月
海外:米 雇用統計 4月
   米 消費者信用残高 3月