2009年1月31日土曜日

低水準なユーロ圏CPI、高水準なユーロ圏失業率とユーロ圏政策金利

1月30日(現地時間)、EU統計局が公表した1月のユーロ圏CPI(消費者物価指数)上昇率は、前年比でプラス1.1%となりました。


これは、約10年ぶりの低水準でした。


ECB(欧州中央銀行)は、インフレ目標として2%を若干下回る水準を設定しています。


今回公表された1月のユーロ圏CPI(消費者物価指数)上昇率は、これを大きく下回るもので、デフレリスクが指摘される中、望ましいものとは言えないと思います。


同日公表されたユーロ圏の失業率は8.0%となりました。


これは、2006年11月以来の高水準でした。


当ブログ(2009年1月22日「欧州の金融政策の行方」)で、1月21日、ECBのトリシェ総裁は、2%が必ずしも政策金利の最低水準ではないが、ゼロ金利政策は意図していない旨の見解を明らかにした旨を記しました。


今回のCPIと失業率は、ECBに対する強い利下げ圧力となることは確実な情勢と思います。


必ずしも足並みが揃っているとは言えない欧州の景気対策の現状などをみると、個人的には、ECBは、年末までにゼロ金利政策に追い込まれていく可能性もゼロではないと思います。


まずは、2月にECBが利下げに踏み切るかどうか、その行方が見守られるところかと思います。


ユーロ圏CPI(前年比)


2008年 11月 2.1%
      12月 1.6%
2009年  1月 1.1%



米国GDPの落ち込みと米国景気刺激策の行方

1月30日(現地時間)、米国商務省が発表した2008年第4四半期の米国GDP伸び率(速報値)は、年率換算で前期比マイナス3.8%となりました。


これは、1982年以来の大幅な落ち込みとなりました。


ただ、事前の市場の予測は、より大幅なマイナス幅を予想していたとみられます。


昨年来、市場では、米国の経済は、早ければ今年後半から再成長に向かうとの見方がありましたが、その前提としては、オバマ政権による適切な景気刺激策が講じられるなどにより、2009年第1、第2四半期で経済の下落幅が緩和に向かうとの見方によっています。


現在、第1四半期の最初の1ヶ月が過ぎようとしていますが、米国では景気刺激策が検討されている真っ最中です。


この景気刺激策に盛り込まれたバイアメリカン条項が問題になりはじめていますが、上院ではさらに保護主義的な条項が追加されるとの見方も出ているようです。


個人的には、仮に、米国でWTOに抵触するような保護主義的な条項が景気刺激策に盛り込まれれば、欧州をはじめ各国の保護主義的な動きが強まることは確実であり、現在進行する景気後退から長期に亘り容易には脱け出せない状況に陥る可能性が相当高くなると予想します。


米国の景気刺激策の内容と検討スピードに関し、今後の推移が見守られるところかと思います。


米国 2008年第4四半期
前期比、季節調整済、年率)


GDP -3.8%

個人消費     -3.5%
うち耐久消費財  -22.4%
うち非耐久消費財 -7.1%

民間設備投資  -19.1%
民間住宅投資  -23.6%

輸出      -19.7%




2009年1月30日金曜日

米バッドバンク設立の行方と米下院の景気対策法案可決

海外メディアによれば、1月29日(現地時間)、米国のシューマー上院議員は、米金融機関の不良資産を買い取る、いわゆるバッドバンク設立にかかる政府費用は、1兆ドルから4兆ドルとなるとコメントしたようです。


過日(1月28日、現地時間)、米議会下院は、総額8190億ドル(約74兆円)の景気対策法案を可決しました。


内容は、道路に対する公共投資などで、今後2年間で300万~400万人の雇用創出を目指すものです。


今回の景気対策法案可決は、経済にとって良いニュースと言えますが、共和党は減税策を上積みした修正案などで反対攻勢を強化するなど、採決も賛成244票、反対188票と共和党からの賛成票はなかったようです。


個人的に、金融機能の安定化に向け、米国におけるバッドバンク設立構想に賛意を示すものですが、少なくとも1兆ドル必要と今回の景気対策法案より多額となり、おそらくは短期的な目に見える効果とはならないバッドバンク設立の決議の行方が気にかかるところです。


オバマ政権は、今回、米下院で可決された景気対策法案は、来月中旬の法案可決、成立を目指しているところ、野党共和党との協議の中で、法案修正のされる可能性も指摘されているようです。


個人的に、オバマ政権による早期の金融対策に期待するものですが、その行方を占う意味でも、今回の景気対策法案を見守りたいと思います。



厳しい米国マクロ指標と企業決算

1月29日(現地時間)、米労働省が発表した新規失業保険週間申請件数(1/24終了週)は58万8千件となりました。


これは、事前の大方の市場予想を上回る水準と言えます。


同日(同)、米国の自動車大手フォードが発表した第4四半期決算は、58億8千万ドルの赤字(前年同期28億ドルの赤字)となりました。


同日、日本のソニーが発表した昨年10月~12月期の決算は、180億円の営業赤字(前年同期2,362億円の黒字)となりました。


厳しいマクロ指標の公表が続きますが、市場は、個別の企業決算に対する注目を高めているように思えます。



2009年1月29日木曜日

ダボス会議が開幕

1月28日(現地時間)、スイスでダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)が開幕しました。


1年前に開催されたダボス会議では、現在の大幅な景気後退を予想しておらず、開発途上国に対する積極的な投資が訴えられていました。


現在、環境は大きく変化しました。


ダボス会議に出席している南アフリカの財務相は、TVインタビューの中で、世界各国の財政収入が低下する中、開発途上国への投資は低下し、開発途上国の経済は大きく後退するだろうとの見通しを明らかにしています。


同日(同)、ILO(国際労働機関)が発表した年次報告によれば、2008年末時点の世界の失業者数は過去最高の1億9020万人に達しました。

2008年末の失業者数は、前年末比1070万人の増加となり、2009年は、5000万人が新たに失業する可能性があると分析しています。


同日(同)、IMF(国際通貨基金)は、世界経済見通しを改定し、2009年の世界全体の経済成長率は、0.5%(前回予測2.2%)と大幅に下方修正しました。


日本の経済成長率は、マイナス0.2%(前回予測マイナス0.2%)と大幅に下方修正しました。


今後、景気後退の影響から財政収入が減少する中、政府に対し大幅な景気刺激策が期待されるところ、政府の迅速かつ適切な対応が重要と考えられます。


IMFによる米国の経済成長率はマイナス1.6%(前回予測マイナス0.7%)と大幅に下方修正となったものの、新興国の成長鈍化が鮮明になる中、米国オバマ政権の経済政策の具体的内容により注目が集まっていくのではないかと思います。



FOMCはゼロ金利継続と長期国債買い入れ検討を表明

1月28日(現地時間)、FOMC(米連邦公開市場委員会)は、事実上のゼロ金利政策を当面継続する方針をあらためて示すとともに、市場への資金供給量を増やす信用緩和の一環として、長期国債の買い入れを前向きに検討する方針を決定しました。


今回、FOMCは、物価に関して、デフレ懸念に言及しました。


市場には、今回の長期国債買い入れ検討を疑問視する見方もあるようですが、個人的には、デフレリスクが高まっていけば、米国政府が不良資産を銀行システムから取り除く必要が強まり、FRBは、さらなる資金供給に踏み込む可能性があるのかもしれないと思います。


今後、経済、金融に関する動向の行方が見守られるところかと思います。



2009年1月28日水曜日

米の消費者信頼感指数は事前の市場予想を下回る水準に低下

1月27日(現地時間)、米民間調査機関コンファレンス・ボードが発表した1月の消費者信頼感指数は、37.7(前月比マイナス0.9)となりました。


これは、事前の大方の予想を下回るものでした。


同指数は、前月に続き、過去最低の水準となりました。


昨年のクリスマス商戦は期待したほどではなく、景気の大幅後退懸念が強まる中、最近では、キャタピラー社やホーム・デポ社など米大手企業のリストラの発表が続いています。


オバマ米大統領の掲げる雇用創出策は、まだ具体的に動き出してはいませんが、既に、景気後退の中で生じる失業者を吸収することは難しく、さらに対策を講じることが求められるのではないかとの見方もあるようです。


市場では、消費者信頼感は当面は低水準で推移し、経済成長にとって大きな下押し圧力になるとの見方が出ています。


期待指数も43.0と前月比マイナス1.2となりましたが、雇用の項目は若干の低下に留まりました。


さらなる消費者のセンチメントの低下を抑制するには、米政府による迅速な景気対策の実施が期待されるところ、今後の推移が見守られるところかと思います。