2009年3月4日水曜日

ECBトリシェ総裁は金融政策に言及しなかった模様だが、ECB金融政策に変化の可能性

3月3日(現地時間)、ECB(欧州中央銀行)のトリシェ総裁は、すべての経済が厳しい状況にあるとの認識を示しました。


3月5日はECBの政策金利の引下げが確実視されていますが、トリシェ総裁は金融政策への言及はなかったようです。


最近、ECBの金融政策に関して、非伝統的な政策を含む選択肢を検討しているとの報道されています。


また、ECBの政策委員会メンバーの中で、ゼロ金利政策を提唱している模様であり、市場では、従来、ゼロ金利政策に消極的とみられてきたECBの金融政策は、量的緩和に進む可能性があるとの見方が出されています。


市場では、今後、ECBの金融政策は、追い込まれる形で転換していくのではないかとの見方があるようですが、景気動向も併せ、その推移が見守られるところかと思います。



2009年3月3日火曜日

気になる米国貯蓄率の行方

3月2日(現地時間)に公表された1月の米国個人消費支出はプラス0.6%となりました。


これは、7カ月ぶりのプラスでした。


米国の個人貯蓄率は5%となりました。


これは、ほぼ14年ぶりの高水準となりました。


先日(2/24現地時間)公表された米国のコンファレンスボード消費者信頼感指数は25.0と、過去最低の水準になりました。


また、先日(2/27現地時間)公表されたミシガン大学消費者期待指数は50.5と、2008年6月以来の低水準となりました。


こうした指標からすると、米国の消費マインドは冷え込んでおり、先行きに対する不安から貯蓄を増加させているように見えます。


市場では、一斉に貯蓄に向かうことを懸念する見方もあるようですが、今回の貯蓄率上昇が、急速な景気悪化に対応した一時的な現象とすれば、懸念を強めるまでもないのではないかと思います。


ただ、サブプライムローン問題に端を発した今回の景気後退が、米国消費者の消費に対する考えを変え、米国の長期的な個人消費の動向が変化するならば、景気回復のシナリオやスピードに影響を与えると考えられますので、慎重に、今後の推移を見極めることが重要かと思います。





ISM製造業景気指数は若干改善したが、底打ちを示すものか

3月2日(現地時間)に公表された2月のISM製造業景気指数は35.8となりました。


依然、厳しい指数ではありますが、大方の事前の市場予想を上回り、1月の35.6から若干改善しました。


一般に、ISM製造業景気指数は、景気回復の直前に底を打つ傾向があります。


現在進む自動車メーカーへの支援問題や米国金融動向などを勘案すると、今回の若干改善は、市場では、底打ちを示すものではないとの見方にあると言えます。


市場では、今後、ISM製造業景気指数は、さらに厳しい水準を示す可能性が高いとの見方がある中、今後の推移が見守られるところかと思います。



2009年3月2日月曜日

3/1に開催されたEU緊急経済・金融首脳会議の不安と期待

3月1日(現地時間)、EUは、ブリュッセルで緊急の経済・金融首脳会議を開催しました。


今回の会議では、EU各国が保護主義に反対するとの原則で一致しました。


ただ、EU域内の自動車産業にEUが支援していく、グローバリゼーションの悪影響を低減するような対応を進めるといった合意も行われたようです。


また、未確認情報ながら、フランスのサルコジ大統領は、フランス国内の雇用はフランス人に、といった発言もあったようです。


内容を精査したものではありませんが、海外メディアの報道を見る限り、保護主義反対の意味は何なのか、保護主義反対の足並みがどの程度揃うのか、やや不安が残るような気もします。


しかし、報道によれば、ハンガリーのジュルチャーニ首相は最大1900億ユーロの基金設置を柱とする東欧向け金融安定化対策を提案したことを明らかにしたようです。


EUの金融機関の東欧向けエクスポージャーは高く、東欧向け不良資産を金融機関から切り離していくことは、EUの金融の安定化を進めるために有効と考えられるところ、期待をこめて今後の推移が見守られるところかと思います。



厳しい内容となった地域経済動向、中小企業景況調査は適切な景気対策への期待を表現

先日(2月26日)に内閣府から公表された地域経済動向によれば、2008年後半の各地域における生産動向を、地域別の鉱工業生産指数の変化率でみると、2008年10~12月期は、全ての地域で大きく落ち込み、大半の地域で10%を超える極めて大幅な減少となりました。


業種別にみると、関東、東海、中国、九州では輸送機械が、東北、北陸では電子部品・デバイスが、各々減少に大きく寄与していました。


また、先日(2月26日)、日本政策金融公庫政策研究所から、中小企業景況調査が公表されました。これは、3大都市圏の同公庫取引先を対象にしたアンケート調査となっています。


同調査によれば、中小企業の売上げ見通し(DI)は、マイナス46.5からマイナス46.9へ低下し、8ヵ月連続のマイナスとなりました。
(※)DI=今月以降3か月間、過去3か月の実績比、「増加」-「減少」、季節調整値。


最終需要分野別に見ると、建設関連および乗用車関連のマイナス幅が縮小したものの、食生活関連がマイナスに転じ、設備投資関連、家電関連および衣生活関連のマイナス幅が拡大しました。


この中小企業景況調査のみに着目すると、関東、東海、中国、九州の地域経済の景況感に影響した輸送機械の生産の減少は、今後、落ち着きを見せる可能性があるものの、輸送機械以外の分野の市場落ち込みが続く可能性があるように見えます。


地域経済動向、中小企業景況調査の何れも、急速に進む景気後退に対し、景気対策への期待を表しているように思います。


落ち込みが続く家電に関しては、地デジ対応のTVに対する補助金の付与が与党で検討されているとの報道もあるようです。


政局も大切かと思いますが、適切な景気対策の早期の実行が期待されるところと思います。


中小企業景況調査による売上見通しDI


 売上見通しDI
2008/9-7.8
10-17.2
11-26.7
12-34.7
2009/1-46.5
2-46.9



2009年3月1日日曜日

米政府保有のシティ優先株の普通株転換に対する評価と期待

2月27日(現地時間)、米財務省は保有するシティの優先株のうち、最大250億ドル分を普通株に転換すると発表しました。


米政府のほか、シンガポール政府投資公社(GIC)、サウジアラビアのアルワリード王子なども優先株の普通株転換に応じる見通しであり、市場では、既存の普通株の株主価値は、今後、希薄化により、4分の1程度に低下する可能性が指摘されています。


[格付け]

・同日、ムーディーズはシティの格付けを従来のA2から1ノッチ引き下げA3としました。

・同日、S&Pはシティの格付けをAに据え置きましたが、見通しはネガティブに変更しました。


[株価]


終値
2008/8末18.99
2008/9末20.51
2008/10末13.65
2008/11末8.29
2008/12末6.71
年初(1/2)7.14
2009/1末3.55
2009/2/262.46
2009/2/271.50


株価の推移からすると、リーマンショック後の2008/9末時点の株価は2008/8末より小幅ながら上昇していました。


しかし、2008/10末は2008/9末に比べ大きく株価は下落しています。

当時、シティに何があったのでしょうか。

2008/10/3(現地時間)、米西海岸最大手銀のウェルズ・ファーゴは、米金融大手シティグループに銀行事業の売却で合意したばかりだった米銀大手ワコビアを151億ドルで買収すると発表しました。

ワコビアは、米金融大手シティグループへの銀行事業の売却を白紙化し、身売り相手を鞍替えしたのでした。

これにより、シティは、預金量で、3位のJPモルガンチェースから大きく引き離された4位に転落してしまいました。

シティが、米国メガバンクグループから脱落した瞬間でした。


[不良資産]


今年1月16日(現地時間)、シティが発表した2008年第4四半期決算は、82億9千万ドルの純損失となりました。
第4四半期決算の評価損とクレジット関連の損失は283億ドルでした。

シティの赤字は5四半期連続でした。


振り返れば、およそ1年前、市場では、シティに対し、サブプライムローンやCDO(債務担保証券)へのエクスポージャーが高く、相対的に資本基盤が弱い点が指摘されていました。


当時、シティにはパンディットCEOが着任したばかりでした。


2007年第4四半期決算は、サブプライム関連で181億ドルの評価損を計上したことを主要な要因として、1998年の合併発足以来、四半期として初めて赤字に転落しました。


振り返ってみれば、最近1年間はシティの不良資産の評価損は拡大する一方でした。


[イメージ]


シティは、グループの規模縮小に向かっており、かつてのシティのイメージはさらに大きく変化していくことは確実な情勢です。


歴史にifは禁物ですが、もし、シティが不良資産の処理を積極的に進めていたら、もし、ワコビアの買収が成功していたら、もし、パンディットCEOが大胆な戦略再構築を進めていたら、結果は違ったのかもしれません。


2月25日(現地時間)、FRBのバーナンキ議長は下院金融委員会で、国有化とは、政府が銀行を管理下に置き、株主を一掃し、経営を開始することだが、金融当局にはそのような計画はない、と証言しました。


市場が期待するのは、金融機関から問題となる不良資産を切り離し、不良資産の評価・処分を市場メカニズムを活用しながら進めるというものですが、今回の米政府による普通株転換に対しては、市場メカニズムを活用するというよりも市場メカニズムから隔離するというイメージとの市場の見方があります。


今後の米国の金融安定化策の行方が注視されるところかと思いますが、併せて、シティを他山の石として、多くの金融機関で適切な経営が進められることを期待しつつ、今後の推移を見守りたいと思います。



週明け後の主な予定

週明け後の主な予定は次の通りです。


2(月曜)

国内:毎月勤労統計 1月

海外:米 個人所得・消費支出 1月

      ISM製造業景気指数 2月

    EU 消費者物価指数 2月


3(火曜)

海外:EU トリシェECB総裁講演

    米 自動車販売台数 2月


4(水曜)

国内:須田日銀審議委員講演

海外:米 地区連銀経済報告


5(木曜)

国内:法人企業統計10-12月期

海外:EU GDP10-12月期

       ECB政策金利公表


6(金曜)

海外:米 雇用統計 2月

       消費者信用残高 1月



来週は、ECBの政策金利公表や米雇用統計などの重要なマクロ指標が公表されるとともに、先ごろの日銀金融政策決定会合で社債の買い取り検討に反対票を投じるなど、追加対策に消極的とみられる日銀の須田審議委員の講演があり、須田氏の金融政策に対する認識が注目されるところかと思います。